甲府城の跡地は公園になっていて
謝恩塔という一角がある。
明治天皇に対するお礼。
アラベスクというか2001年宇宙の旅の
モノリス。
19歳の時一つ下の私立女子高生と
デートをした、
電話をかけたのは覚えているが
電話番号をどうして知ったのかは記憶がない。
お母さんに、睦子さんいますかと
言ったら ああ、睦美ねといってくれた。
緊張で名前を間違えてしまった。
でも 結構 さばけたお母さんだと思った。
甲府駅前の喫茶店で待ち合わせをして
コーヒーを飲んでから、甲府城跡地の
謝恩塔に行き 他愛もない話をした。
彼女は制服だった。
夏の初めの7月の夕暮れはなかなか
暗くなることはなかった。
ブラッドべりのSF小説にあった
羽化する途中の蝶の脆くも美しい姿を
思い出しながら長く伸びた二人の影を
ぼんやりみてた。
いつのまにか少女はを聴くと思い出す。
一回だけのデート。
その後彼女にあった事はない。