ヒューストンに来てからというもの、毎日結構忙しい生活を送っているが、DCにいた時と比べてそれなりに充実した生活をおくれているので、忙しさ自体はそれほど苦にはならない。(ただ、ブログの更新の時間を捻出するのが一苦労ではあるのだが、、、)
ところで、先日、元衆議院議員で国家公安委員長を務めたこともある、弁護士の白川勝彦氏のホームページでイヤーな記事を見つけた。
白川勝彦氏の記事はこちら。
この記事を読んでいて僕は大学時代の苦々しい出来事を思い出さずにはいられなかった。
何を隠そう、僕も白川氏の記事の内容と似たような経験をしたことがあるのだ。
(とはいえ、当時単なるアホな大学生でしかなかった僕は白川氏のような豊富な法律の知識など持ち併せているわけもなく、結局は警察のいうなりだったのだが、、、)
あれは僕が大学2、3年の時だ。時間は夜の10時ぐらいだったろうか。仲の良かった友人と二人で缶コーヒーをのみながら世田谷のとある夜道を歩いていると、前方から私服のいかつい顔をした二人組みの男達が歩いてきた。(その時、僕らは別に奇抜な服装をしていたわけでも、奇声を発するなどの怪しい行動をとっていたわけでもない。ただ、ごく普通に談笑しながら歩いていただけだ)
その二人組みは僕らに近づくと、うち一人が僕の友人の持っていた缶コーヒーをいきなり取り上げた。
僕達があっけにとられていると、男はクンクンと缶コーヒーの匂いを嗅ぎ、
「アンパン(シンナ-のことだと思われる)じゃないだろうな」と言い捨て、「警察だけど、かばんの中身を見せなさい」と言って僕達のカバンに手をかけ、とりあげようとしたのだ。
僕達が反射的に後ずさりすると「どうしたの?悪いことしてなけりゃ見られたっていいだろ?それとも何かやましいことでもあるのか?」と。これには、正直言葉を失った。
何が起きているのかさっぱりわからないまま、仕方なく彼らの言うがままにカバンを渡すと、彼らは荒っぽい手つきでカバンを開け、中にあるモノを一つ一つ取り出しては「これは何?」と聞くのである。
挙句の果てに、僕の筆箱を開けながら「注射器でも入ってるんじゃないのか?」と言い出す始末であった。
突然近づいてきて、しかもここまで高圧的な態度に出る彼らの神経に激しい怒りを覚えつつ、しかし僕達は何も言い返すことが出来ず、ただ突っ立っていることしかできなかったのである。
かれらの執拗な職質は続き、最後の言葉に僕達は再び言葉を失った。
「お前たち、ヤクでも持ってるんじゃないのか?隠したってダメだぞ」
「はっ?。。。」 絶句する僕達。
そして次の瞬間、彼らは僕らのポケットに強引に手を入れてきたのである。
きっと今だったら、そんなことをされたら絶対拒絶したと思うが、なんせその当時の僕らは警察官はみんな正義の味方で偉い人達に違いないと思っていたから、釈然としないながらも彼らのなすがままになったのである。
その後、僕達は住所、氏名、年齢、職業を控えられ、ようやく開放された。
後に知ったことであるが、実は僕達がその強引な職質を受けた場所の近所で、数日前に一人暮らしの女子大生がアパートの一室で殺害される事件が起きていたのである。(“美人女子大生、世田谷、白いアパート殺人事件”として当時散々ワイドショーを賑わせていたのを覚えている方もいらっしゃるかもしれない)
そして、どうやら僕達は、その事件に関わっているのではないかと疑われてしまったらしいのである。
それにしても、一体僕達のどこがそれほど怪しく見えたのだろうか、今でも不思議でならない。
これは想像だが、おそらく彼らは夜間にその周辺を歩いていた人間達を僕たちに対して行ったのと同様な方法で片っ端から職質しまくっていたのではないだろうか。
そして実は、この話には後日談がある。
その、強引な職質を受けた数日後の早朝。僕の友人のアパートに「指紋をとらせてほしい」と数人の警察官がやってきた。
友人は、「別に悪いことしてないからいいですよ」と警官の要求に素直に応じたらしいのだが、、、そこで、もし彼が要求を突っぱねていたら果たしてどうなっていたのだろうか。。。
ちなみに、友人の名誉のために言っておくが、僕の友人は別に怪しい風貌をしているわけでもないし、まして人に迷惑にがかかるようなことをする男では断じてない。彼は、現在立派な精神科医として活躍中である。
疑うのが商売だというのならそれはそれで結構だが、この白川氏の記事を読む限り、少なくともあの夜の彼らの行為は明らかに職権を逸脱していたといわざるを得ない。
僕達一般人には十分な法律の知識もないし、下手に逆らって公務執行妨害でしょっ引かれるのもいやなので、泣き寝入りするしかないと言われればそれまでだが、あれから15年も経つというのに、彼らのやっていることが当時とまったく変わっていないというのは何とも悲しい限りだ。
「A」というオウム真理教を扱ったドキュメンタリー映画がある。この映画の中に、公安警察がオウム信者を公務執行妨害で逮捕するシーンがある(ちなみに、僕達が職質を受けたのは公安警察ではない)。公安が自分で勝手に転んでおいて相手を公務執行妨害でしょっ引くという、いわゆる“倒れ公妨”という典型的な公安の手法らしいが、このシーンなどはまるで昔の特高警察でも見ているかのようだ。(このシーンを観るだけでもこの映画は観る価値があります)
最近、民族派右翼団体“一水会”の元代表、鈴木邦男氏が“公安警察の手口”という本を出してこれがかなり売れている。彼自身、朝日新聞阪神支局が襲撃され記者が射殺された「赤報隊事件」の首謀者と疑われ、公安から散々マークされてきた経験があるだけに、彼の本には妙にリアリティがある。(暇な人は是非読んでみてください)
件の白川勝彦氏がそんな公安警察のトップだったというのも何とも皮肉な話であるが、それ以上に、副署長以外誰も白川氏を知らなかったという渋谷署の警察官達のお寒い知識のほうこそどうにかして欲しいと思う今日この頃である。
ところで、先日、元衆議院議員で国家公安委員長を務めたこともある、弁護士の白川勝彦氏のホームページでイヤーな記事を見つけた。
白川勝彦氏の記事はこちら。
この記事を読んでいて僕は大学時代の苦々しい出来事を思い出さずにはいられなかった。
何を隠そう、僕も白川氏の記事の内容と似たような経験をしたことがあるのだ。
(とはいえ、当時単なるアホな大学生でしかなかった僕は白川氏のような豊富な法律の知識など持ち併せているわけもなく、結局は警察のいうなりだったのだが、、、)
あれは僕が大学2、3年の時だ。時間は夜の10時ぐらいだったろうか。仲の良かった友人と二人で缶コーヒーをのみながら世田谷のとある夜道を歩いていると、前方から私服のいかつい顔をした二人組みの男達が歩いてきた。(その時、僕らは別に奇抜な服装をしていたわけでも、奇声を発するなどの怪しい行動をとっていたわけでもない。ただ、ごく普通に談笑しながら歩いていただけだ)
その二人組みは僕らに近づくと、うち一人が僕の友人の持っていた缶コーヒーをいきなり取り上げた。
僕達があっけにとられていると、男はクンクンと缶コーヒーの匂いを嗅ぎ、
「アンパン(シンナ-のことだと思われる)じゃないだろうな」と言い捨て、「警察だけど、かばんの中身を見せなさい」と言って僕達のカバンに手をかけ、とりあげようとしたのだ。
僕達が反射的に後ずさりすると「どうしたの?悪いことしてなけりゃ見られたっていいだろ?それとも何かやましいことでもあるのか?」と。これには、正直言葉を失った。
何が起きているのかさっぱりわからないまま、仕方なく彼らの言うがままにカバンを渡すと、彼らは荒っぽい手つきでカバンを開け、中にあるモノを一つ一つ取り出しては「これは何?」と聞くのである。
挙句の果てに、僕の筆箱を開けながら「注射器でも入ってるんじゃないのか?」と言い出す始末であった。
突然近づいてきて、しかもここまで高圧的な態度に出る彼らの神経に激しい怒りを覚えつつ、しかし僕達は何も言い返すことが出来ず、ただ突っ立っていることしかできなかったのである。
かれらの執拗な職質は続き、最後の言葉に僕達は再び言葉を失った。
「お前たち、ヤクでも持ってるんじゃないのか?隠したってダメだぞ」
「はっ?。。。」 絶句する僕達。
そして次の瞬間、彼らは僕らのポケットに強引に手を入れてきたのである。
きっと今だったら、そんなことをされたら絶対拒絶したと思うが、なんせその当時の僕らは警察官はみんな正義の味方で偉い人達に違いないと思っていたから、釈然としないながらも彼らのなすがままになったのである。
その後、僕達は住所、氏名、年齢、職業を控えられ、ようやく開放された。
後に知ったことであるが、実は僕達がその強引な職質を受けた場所の近所で、数日前に一人暮らしの女子大生がアパートの一室で殺害される事件が起きていたのである。(“美人女子大生、世田谷、白いアパート殺人事件”として当時散々ワイドショーを賑わせていたのを覚えている方もいらっしゃるかもしれない)
そして、どうやら僕達は、その事件に関わっているのではないかと疑われてしまったらしいのである。
それにしても、一体僕達のどこがそれほど怪しく見えたのだろうか、今でも不思議でならない。
これは想像だが、おそらく彼らは夜間にその周辺を歩いていた人間達を僕たちに対して行ったのと同様な方法で片っ端から職質しまくっていたのではないだろうか。
そして実は、この話には後日談がある。
その、強引な職質を受けた数日後の早朝。僕の友人のアパートに「指紋をとらせてほしい」と数人の警察官がやってきた。
友人は、「別に悪いことしてないからいいですよ」と警官の要求に素直に応じたらしいのだが、、、そこで、もし彼が要求を突っぱねていたら果たしてどうなっていたのだろうか。。。
ちなみに、友人の名誉のために言っておくが、僕の友人は別に怪しい風貌をしているわけでもないし、まして人に迷惑にがかかるようなことをする男では断じてない。彼は、現在立派な精神科医として活躍中である。
疑うのが商売だというのならそれはそれで結構だが、この白川氏の記事を読む限り、少なくともあの夜の彼らの行為は明らかに職権を逸脱していたといわざるを得ない。
僕達一般人には十分な法律の知識もないし、下手に逆らって公務執行妨害でしょっ引かれるのもいやなので、泣き寝入りするしかないと言われればそれまでだが、あれから15年も経つというのに、彼らのやっていることが当時とまったく変わっていないというのは何とも悲しい限りだ。
「A」というオウム真理教を扱ったドキュメンタリー映画がある。この映画の中に、公安警察がオウム信者を公務執行妨害で逮捕するシーンがある(ちなみに、僕達が職質を受けたのは公安警察ではない)。公安が自分で勝手に転んでおいて相手を公務執行妨害でしょっ引くという、いわゆる“倒れ公妨”という典型的な公安の手法らしいが、このシーンなどはまるで昔の特高警察でも見ているかのようだ。(このシーンを観るだけでもこの映画は観る価値があります)
最近、民族派右翼団体“一水会”の元代表、鈴木邦男氏が“公安警察の手口”という本を出してこれがかなり売れている。彼自身、朝日新聞阪神支局が襲撃され記者が射殺された「赤報隊事件」の首謀者と疑われ、公安から散々マークされてきた経験があるだけに、彼の本には妙にリアリティがある。(暇な人は是非読んでみてください)
件の白川勝彦氏がそんな公安警察のトップだったというのも何とも皮肉な話であるが、それ以上に、副署長以外誰も白川氏を知らなかったという渋谷署の警察官達のお寒い知識のほうこそどうにかして欲しいと思う今日この頃である。
みんな良い人なんですよ・・・
真摯だし・・・
だから、そういう警察官がいると
すごく哀しい・・・・
こんにちは。
実は、僕の遠い親戚にも警察官がいます。
いい人です。悪いこと大嫌いだし、正義感あります。
でも、多分、職質で自分達がやってよい範囲、人権に抵触するラインについては意識したことがほとんどないのではと想像します。
ましてやdue process of lawなんていう考え方は微塵も持ってないでしょうね、、、、(なんて、これ読んでないだろうなー^^;)
きっとそれが問題なのだと思います。やはり日本には民主主義という概念は根付きにくいのでしょうか。。。
力があると思うと人はそれを使いたくなるものなのかもしれません。人権っていう言葉の意味も日本でどのくらい普通に考えられているのか、とっても疑問だし・・・
人が人として存在することをちゃんと個人の次元で考えられないと、自己の存在価値とかキチンと確立できないでしょ?
だから、変な「自分探し」とか言う奴を日本人はとかくしたがるんでしょうかね・・・?