午後の検査まで時間がある。午前の検査が終了したのが10時ごろのなので3時間もの間ひまつぶししなければならない。
検査のために朝ごはんは食べられなかった。午後から検査があるが、昼ご飯は食べていいという。そこで、病院を出て近くの駅の方に散歩して時間を潰しつつ、ご飯を食べられるところを探すことにする。
ちょうど味の素スタジアムの近くなので、そちらに向かう。5分である。隣には武蔵の森総合スポーツプラザがあり、味の素スタジアムとの間にいくつかレストランがある。どれかに入ろうかと思ったが、時間つぶしに最寄駅の方をぶらついてみる。
この程度歩くだけなら、身体はすこぶる調子いい。ちょっと早起きであったが、目も覚めてきたので、頭もスッキリしてきた。いま血圧測定すれば、140程度ではないだろうかと考えつつ、歩いていたが、味の素スタジアムがあるので、スポーツ関係のショップが目立つ程度である。
見るところもないので、少し戻って、ロイヤルホストに入る。人はまばらだが、老夫婦と中年男性と子供の四人組が目立つ程度であった。私はその隣の席に案内され、朝のセットを頼んだ。まだランチの時間ではなかったのだ。飲み物はドリンクバーである。とはいえ、水分制限もあるのでガブガブ飲むわけにはいかない。持参した本を読みながら時間を過ごすことにした。
隣の四人組の子供が地べたに座って遊んでいる。お父さんが注意しているが、老夫婦は「まあ、いいじゃないの」とたしなめている。私が水を取りに行くと、お父さんが「すいません」と声をかけてくるが、子供らしい恥ずかしさも感じられる好印象で「元気でいいですねえ」と返す。
話を聞くつもりなどないのだが、聞こえてくる。「王さんが・・」「原さんが・・・」「巨人は恵まれているから・・・」という感じなのである。「うちのじいじは・・・」との話から想定される「じいじ」は明らかに400勝投手の金田正一さんである。ちょうど金田さんが亡くなって数日という頃であった。どうも金田さんの親族のようで、そういえば裕福そうな家族であった。
ロイヤルホストで読書して、1時間半以上過ごした。そこで病院に戻る。途中、入院中世話になった看護師さんとばったり出くわした。勤務が終わり、自転車に乗って帰るところだという。勤務時間が終わって数時間経っているんじゃあないだろうかと思いつつ、お互い挨拶をして、私が元気な様子なのを喜んでくれた。痩せた森三中の大島という感じの世話好きの方であった。
病院に戻りまごまごしていると、予定の13時である。午後の検査は午前中のルームランナーは省略される。再度放射線医薬品の分布や変化などを画像にして観察する。確か20分だったと思う。ちなみに放射線医薬品の分布を画像化することをシンチグラフィという。午前中と同様、大きな機械にただ座っているだけで、楽な検査である。
時間になると、検査技師がやってきて「お疲れ様でした」と言って検査終了を知らせてくれる。「以上です」とあっけない。部屋を出て着替えると、そのまま会計行きである。なんの説明もないし、次回診察の時に説明があるとも言わない。私はこの時点で、次回の診察の時に説明があるのかと思い、帰途についた。大げさな機械での検査であったが、なんか検査した感じが残らなかった。なんというか手応えがないというか。
ただ、心臓に問題を抱えていることは実感できた。角度をつけてルームランナーを歩くだけで、大変な負担を感じたからだ。ここに課題があると思いつつも、ウオーキング程度しか対策はないのだと思ってもいた。