今日はアップリンク吉祥寺に原一男監督「れいわ一揆」を観てきた。
残念ながら50人程度の収容人数だと思うが、12人しかいなかった。残念。
ご存知の通り2019年の参院選を闘ったれいわ新撰組を追ったドキュメンタリーである。描かれている中心は安富歩さんで、すでに数冊の著書を読んでいたし、YoutubeやTwitterで「子供を守る」思想に触れていた。共感するなどと言えば、おこがましいが、近代社会、国民国家への隷属を乗り越える思想に、この映画を通してさらに学ぶことができたと思う。
4時間の上映だったので、2時間で一旦休憩が入った際に、ロビーで休んでいると、年配の男性に声をかけられた。彼は安富さんの思想に共鳴しており、「安富さんは本当に勉強している」と唸っていた。僕の方も「経済学の本読んだら、哲学や社会学の議論で、経済学批判ですよね」などと知ったかぶりしたのだが、共感してくれた。
さて、映画はもちろん素晴らしいと思ったのだが、一番印象に残っているのは安富さんの涙以外に、参院選に立候補した渡辺てる子さんである。「てるちゃん」と呼ばれていた。シングルマザーで2人の子供を育て、派遣労働者で、一時はホームレスの生活を余儀なくされたという。その話は聞いていた。しかし、映画を通すと、実に現実として迫ってくる。
普通に働く意志がある人が普通の生活をできる社会が当たり前だと、僕は考えている。それができない、この社会の矛盾から発する言葉は聴衆の胸を打つものであった。彼女の演説こそが生活者としての魂の叫びとの印象を受けた。
映画を観ながら、彼女をれいわ新撰組の代表にしたらいいのにとさえ思ったほどだ。彼女がもう一方の主役であった。