Drマサ非公認ブログ

さすがに何か言いたくなる森会長発言⑷

 さて、「わきまえる」をパターナリズの言説として捉えると、上下関係があることを前提とする認識が必然であるから、森発言は女性を下位に位置付けているわけだ。そんな気持ちはないといったところで、そのような構造から発しているのだから、差別が間違いなくある。

 ではパターナリズム(家父長主義・温情主義)にもう少し接近していこう。どのような社会的場面でも想定できる。家庭、学校、職場、サークル、国家(政治)あらゆる社会的場面だ。

 パターナリズムが浸透した世界のメカニズムをラフスケッチしよう。偉い人、つまり家父長主義の父親がいる。彼は権力者であり、独裁者だ。その下に母親や子供が存在し、父親の言うことに従順である。従順であれば、権力者からの褒美がもらえる。それで、生活自体はできる。叛逆すれば、生活ができなくなるので彼らはそうする。

 しかしながら、ここにある種の転倒した考えが組み込まれている。褒美を温情とみなすことだ。父親の温情で生活できると。父親の温情で教育を受けられた、温情で幸せだと。父親は言う「誰が働いていると思っているんだ」と。父親が頑張ってくれているからだとの思いがインプットされる。父親と家族の関係が独裁ではなく、温情との装いを身につける。よって父親は頑張っているし、だから偉いし、温情は「やさしい」とさえ表象される。彼自身もそう思っている。このような社会意識が構造化される。

 もちろん、このような権力関係から逃れた真に愛情に基づく関係がないとまでは言わない。しかし、このようなパターナリズムにどっぷり浸かった世界で生きていると、偉い人に従うことはすなわち、何か褒美がもらえる。敷衍すると、褒美が利権っていうこともあるわけだ。

 森会長はそのようなパターナリズムという社会構造の中で父親役をになってきたのである。なんせ元総理だ。彼が決めたことで、彼の周りにいる人々に褒美をあげることができる立場になっている。あれ、安倍前総理の問題と重なって見えてくる。彼の周りにいる人々も褒美を期待する。彼の温情が私に向いてくれればと期待している。

 この世界の中でうまくやってるんだから、女性蔑視の問題はこの世界に水を差すだけだ。現状維持が彼らの生き方になっている。水を差す奴は反逆者だ。父親が攻撃されることは、自分が攻撃されることである。いや、自分の生きてきた世界が、その規範や価値観が攻撃されていることになる。父親は守られねばならない、そういう意識を構築する。

 森会長批判が内外で吹き荒れているのもかかわらず、IOC、世耕、二階、経団連会長は森会長を擁護する発言をしている。彼らこそ、パターナリズムの住人である。何が問題かを理解することはない。そう断言しておく。だから、謝罪会見だというのに謝罪の意識が作られていないし、逆ギレする始末なのだ。

 実はパターナリズムには大きな問題が他にもある。それは社会を停滞させることだ。権力である父親役が無能である場合、彼が人々に褒美を配るだけであるから、新しい褒美を作り出すことができないわけだから、縮小再生産にしかならない。下の者は新しい褒美、つまりイノベーションであるが、イノベーションはそれまでの構造自体を変化させてしまうから、下の者は構造変化に伴う不利益を回避する。

 下の者が考えること、その方向は上の者から褒美や温情を頂戴することに終始する。ちなみにイノベーションとは技術革新であるから、科学技術に限定して考えがちであるが、運営方法の変革、新しい領域の開拓などソフトな面が含まれる。いくら新しい科学技術が現れようと、その技術の社会的な応用がなされなければ、社会に定着しないわけだから、人々になんの影響も与えない。

 そして誤った保守思想はパターナリズムと親和的だ。保守は変革を求めないのではなく、急激な変革が人間に何をもたらすかわからないから、変革に慎重なのだ。だから変革も漸進主義である。ところが、パターナリズムへの固執は漸進主義さえ否定する。なぜなら父親である権力者は変革による新しい世界を理解できず、下の者は新しい世界からの褒美を手にすることができないからだ。

 これは安倍や麻生、二階による自民党政治である。

 森会長を解任することとは、このような日本の社会構造に亀裂を入れることである。安倍も逮捕したら、日本は良くなるきっかけとできるのではないか。思想や生活の変革は男女平等で起きていたのである。彼らにはまだ遠い。

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