うすぼんやり突っ立って

ちょっと出かけて田舎のちいさな駅で
電車をうすぼんやり待ってた

ホームの向こうに一台電車が止まっていて
その窓ガラスに喫茶店が映って見えた

「白十字」だって・・古臭い名前・・

でもね・・
生まれて始めて入った喫茶店の名前
初恋のヒトと・・・１５，６だったかなぁ

新宿の三越の裏にあった・・・
もうとっくにないんだろうなぁ～

キンチョーしまくって
白いカップのミルクティ・・喉を通らなかったっけ・・

なんてさ・・５０００年も前の話なのに覚えてる

ちぇっ・・昨日の大事なことも忘れててるくせに

でも・・なんか
はぁ～色あせちゃったなぁ～なんてさ・・

ちょっとふくれて眺めてたら
ゴトゴト電車が発車して、その喫茶店も消えちゃった

窓の向こうに見えてるんだとばっかり思ってたら
どうやらアタシの背中の景色を映してたらしい・・・

全然勘違いもいいとこさ・・
目の前は、グレーの壁があるばかり・・・

ま、人生なんていつもそんなもんだね・・・

まっすぐな線路の先にちいさく電車が見えてきた

アタシの乗る電車・・

ひとりふたりまばらに座っている昼間の田舎の電車・・・

まざって座る・・