経緯なんてどうでもいい・・・
事実だけ・・
子猫が死んで、捨てられた
まだやわらかく温かく・・・
あのオトコが首ねっこをつかんでぶらぶら広っぱのフェンスの隅に捨てるときには
まだ息があったのだろうか・・・
始めはなにをぶら下げてくるのはわからなかった
白く末端がそれぞれグレーの3ヶ月位の子猫
広っぱの奥まったことに、置いた
なぜたり、こずいたりしてる・・・
とりあえず・・遠巻きに監視してた
なにしろ死んだんだね・・・ヤツはココに放置しに来たんだ
だけど、折悪く、犬の散歩者が居たんだ・・
だからすぐさま、その場を去ることが出来なくて
時計を見たり、キョロキョロしたり様子を見たりしてる振りしてる
そりゃっぁ~ウチの子だって興味津々さ・・・
こっちだって、カンタンにそんなとこに放置させやしない
飼い猫だろうが、見つけた子猫だろうが・・・
ずっと見ていてやった・・困ればいい・・命を考えればイイ
だんだん街も稼動し始めて、あちこち人が歩き始めてきた
いよいよ、ヤツは挙動不審になる
リキを放すと、リキは、一直線にフェンスに走っていって
隙間からフェンス向こうに回りこみ
子猫の前でうずくまってるヤツのカオの前まで行ってフェンス越しにワンワン吠え立てた
身を硬くしてリキを見るオトコ
リキはいよいよ背中の毛を逆立てて広っぱに戻ってヤツの丸めた背中に猛烈抗議をした
GOODJOB!リキ♪
リキを呼び戻す
近くの工事現場の作業員もどんどん出勤してくるし、犬連れの監視者は立ち去らない
八方塞でキモチを固めたのか、ヤツは立ち去ることを決め
居直った態度でこっちに歩いてくる
10代後半から20代前半かもしれない図体のでかいずっと薄暗い室内にこもってそうなオトコ
アナタのネコ?
イヤ・・死んでいたのでね・・・
そこに置いていっちゃダメじゃない!
どうすることも出来ないのでね・・・ と淡々と去っていく
それ以上なんか言う必要あったんだろうけど・・言えなかった・・言わなかった
そして・・白い小さな塊だけが残った
カラスがすでに近寄ってきた・・鳥葬も正しいよね・・とか思いつつ
そうもいかない・・・
シンが異様反応し、どうにもならない!近寄ったら咥えてしまった
リキも興奮している
無理やり子猫を口から離させて、あばれるシンを抱きかかえ、広っぱを後にする
走って家まで戻って、しゃびぃご愛用の小さなダンボールを持って
あの子を迎えに行った
ちいさなやわらかいかわいらしい体はすっぽり箱に収まった・・
箱の底から温かさがまだ伝わってくる
経緯なんかどうでもいい・・・
とにかくこの子は死んだんだ・・
連れて帰る・・そして役所に電話して埋葬してもらうことにしょう
それがアタシの今回の役目
少しの間ウチの子・・・
静かにお休み・・・