明治維新から142年。列強に対抗するために、わが国は中央集権国家を作り上げてきました。小沢前幹事長が掲げている「補助金の一括交付金化」は、わが国を地域主権国家に転換する「革命」です。
公共事業、文教費、高齢者医療、国民健康保険、生活保護、介護に、子供手当て・・・。総額21兆円の補助金が国から地方に流れています。
補助金の最大の問題は、中央省庁と地方の従属関係の固定化です。地方自治体は、補助金の支出に関して、箸の上げ下ろしまで、中央省庁から指示を受けます。結果、地方自治体の個性は失われてきました。
中央官庁からすると、そこで発生する規制と金は、地方自治体を縛る格好の手段となっています。中央省庁が、補助金の一括交付金に反対するのは、当然の帰結です。
小沢前幹事長が主張している通り、補助金がばら撒かれる影で、税の膨大な無駄遣いが行われています。代表選挙の論争では、21兆円をいくら削減できるかどうかだけが議論されていますが、効果はその他に3つあります。
まずは、地方自治体のコスト削減効果。地方自治体が行っている業務の中で、補助金の申請に費やしている割合は、都道府県も市町村も約3割。補助金が一括交付金化されれば、自治体は、行革することもできますし、住民と正面から向き合うこともできます。
そして、中央省庁のコスト削減効果。いわゆる中央の官僚は、約30万人。霞ヶ関にいるのは、約10万人。残りの20万人は、地方にいます。そのかなりの部分は、補助金などを配布する業務をしていますので、行政改革の対象とすることができます。
また、補助金の存在は、必ずしも必要ない事業を生み出しています。小沢前幹事長が例に出した、福井県の美山町(現・福井市)のスキー場建設は、その典型です。美山町は、融雪装置がほしかった。しかし、スキー場をつくらないと、補助金が出ない。結局、国と町が2億5000万円でスキー場と融雪装置を造ったが、スキー場は12年間も放置されて閉鎖されてしまった。融雪装置に費やされた費用は、計8000万円。1億7000万円の税金は、どぶに捨てられたようなものです。
かつて、公共政策プラットホームで試算したところ、3つの効果だけで4兆円を下りません。
この一年、私は自治体や団体からの陳情の受付をひたすらやってきました。外交、安全保障、エネルギー、食糧、通商などに、国会議員が関わることのできる時間は限られます。私は、そのことを身をもって体験してきました。国会議員の定数削減は、一括交付金化が実現してこそ可能となります。
週末、私は打越あかし議員の国政報告会に出席するため、維新の舞台・薩摩にいました。薩摩における西郷隆盛翁は特別な存在です。
時を同じくして、菅総理と小沢前幹事長の間で維新論争が行われました。実に興味深い。小沢前幹事長を維新後の田原坂で最期を迎えた西郷隆盛翁になぞらえた菅総理。政権交代で維新はすでに実現したことを意味します。一方、小沢前幹事長は、明治維新の必要性を訴えました。果たして、すでに、維新はなったのか?否か?
我々民主党政権は、改革に努めてきました。戦後65年、いや、維新後142年続いた官僚主導、中央主導の政治は転換されたのか?「維新は未だし」というのが、私の判断です。