立憲民主党代表選への立候補を表明する泉健太代表=9月6日、東京・永田町の党本部(佐藤哲紀撮影)
立憲民主党の泉健太代表(50)=衆院京都3区、8期=は6日午前、党本部で記者会見し、党代表選(7日告示、23日投開票)への立候補を表明した。国会議員20人の推薦人集めが難航し、表明が告示前日までずれ込んだ。立候補表明は枝野幸男前代表(60)、野田佳彦元首相(67)に続き3人目。
泉氏は、2023年の統一地方選や2024年の衆院3補選で立憲民主党が議席を増やした実績などをアピール。その上で、自民党派閥の裏金事件で「国民の皆さまが不満や怒りを感じている」と指摘し、「自民党をいったん退場させねばならない局面にある。
次の総選挙でわれわれは政権交代を目指す。私はその先頭に立つ」と訴えた。
◆「だからこそ泉健太でしょ」
かねて次期衆院選で、150議席を獲得できなければ代表を辞任するとの考えを示してきた泉氏は「150席、決意は変わりません」と強調。この日会見時間が重なった自民党の小泉進次郎氏について「小泉さんのようなすごい爽やかな刷新感がある方が与党の総裁となる可能性もある。どうやってそ選挙勝っていくのか」と記者から質問されると、「小泉さんが総裁になるなら、だからこそ泉健太でしょっていうふうに言っていきたいですね。負けませんよ。はい。むしろ勝たせていただきます。ぜひ小泉進次郎こいと言いたいですね」と決意を語った。
◆ぎりぎりで推薦人確保
泉氏は2021年衆院選で敗北した責任をとって辞任した枝野氏の後任として、同年11月に代表に就任。今回の代表選に向け、繰り返し再選出馬の意欲を示していた。しかし、代表を務めた3年で党勢が上向かないことへの批判があり、党内の支持が広がらなかった。自らが率いる党内グループ「新政権研究会」の所属議員で、他の候補者の支援に回った議員もいる。
泉氏は党内の他のグループにも支援を要請するなど働き掛けを続け、5日深夜になって、X(旧ツイッター)で「まずスタート台に立つことが出来そうです」と推薦人を確保したことを明らかにした。
代表選では、江田憲司元代表代行(68)と吉田晴美衆院議員(52)も推薦人確保を目指し、取り組みを続けている。(中沢穣)
報道陣の質問に答える泉健太氏=9月6日、東京・永田町の党本部(佐藤哲紀撮影)
記者会見での主なやりとりは以下の通り。(佐藤裕介、小寺香菜子)
━出馬表明が今日になった。推薦人を集めるのに苦労されたと思うが。
「届出は明日(9月7日)。それまでに推薦人が揃えば大満足ということで考えていた。仲間の努力に感謝している」
━新たに、これまでの党の政策を変えていくというものがあるのか。
「3年間、党を引っ張ってきて政策を作り上げてきたので、今の党の政策が私の政策であるということをお伝えしたい」
◆「『小泉進次郎、来い』と言いたい」
立憲民主党代表選への意欲を語る泉健太氏=9月6日、東京・永田町の党本部(佐藤哲紀撮影)
━以前、次の衆院選で150議席取れなければ代表を辞するという話があったが、考えは変わらないのか。小泉進次郎氏のような刷新感のある方が与党の総裁となる可能性もある。どうやって選挙に勝っていくのか。
「小泉さんが総裁になるなら、だからこそ泉健太でしょうと言っていきたい。負けませんよ。むしろ勝たせていただきます。ぜひ『小泉進次郎、来い』と言いたい。150議席、何も決意は変わらない」
━支持率は自民党と引き離されている。3年間振り返っての反省や、これができなかったということは。
「政権交代だ。総選挙に追い込んで、政権交代をしたかった。それができなかった」
━自民党の裏金問題に端を発し、代表選でも衆院選でも政治改革が一つの争点になる。どのように訴えるか。
「(政党から政治家個人に配布され使途が非公開の)政策活動費の全廃、(国会議員に月額100万円支給される非課税の)旧文書通信費の公開。これは基本だ」
◆「立民自身が自民を上回る議席を獲得する戦いをする」
━自民党で新総裁が選出された後、すぐに解散総選挙との見方も。他の野党、連合との連携のあり方は。
「連合は当然、連携する支援団体で、しっかり全国で連携していきたい。どの党と連携するうんぬんより、立憲民主党自身が自分たちで政権を取る、自分たちで選挙区を勝ち抜く、その決意がなければ、国民への訴えも弱いし、伝わらない。できる連携というのは、やれるところはやって、しかしやはり立憲民主党自身が自民党を上回る議席を獲得するという戦いをして、その中で単独政権にいたれるか。連立政権にいたれるかということを考えていきたい」
━安全保障政策について。
「今の党の政策を踏襲をするということが基本。安全保障環境は大変深刻な状況。そのときに国民の保護、さまざまに取り組むべき点がある。自衛隊の処遇改善もそうだ。そういったことには、立憲民主党としてちゃんと直視をして取り組んでいくという姿勢が大事だ。まさに堅い守りをつくっていくという思いだ」
立憲民主党代表選で訴える政策を説明する泉健太氏=9月6日、東京・永田町の党本部(佐藤哲紀撮影)
◆衆院選の候補者調整「もっと仲間を大事にしないと」
━衆院選に向けた候補者調整について。野田佳彦元首相はテレビ番組で選挙区調整の結果次第で候補者を取り下げる可能性に言及した。
「もっと仲間を大事にしなきゃいけないということだ。中央の動き一つで、首を飛ばす。最後の最後までそうじゃない可能性を探るのが党のリーダーだ。軽々に言っちゃいけないことだ」
━党の人事について。
「自民党の総裁選や(衆院)解散総選挙の行方もにらまなければいけない。いつ選挙があっても良いように、この体制を整えている。現在も選挙準備を進めているさなかにある」
◆野田氏の「穏健な保守層取り込み」は「新しいものではない」
━野田氏は自民党に失望した穏健な保守層の取り込みを目指すと。泉さんはどのような考えか。
「野田氏の取り組みが新しいものではない。既に我々として取り組んでいることだし、枝野氏もそういった考え方で訴えを始めているのではないか。高い理想を掲げる政党であるけれども、その理想だけで戦うということをするべきではなくて、一歩一歩政策を前に進めていくという姿勢が大事だ。旧民主党政権のさまざまな不安や反省もある。政権を担った時に必ずやれるという政策を絞って選んで訴えて、約束するということの方が誠実だと考えてきた」