私にはちょっと変わった姉(あね)がいる。もう、普通(ふつう)じゃないの。子供(こども)の頃(ころ)はそれほど気にならなかったけど、今では彼女が何を考えてるのかまったく理解(りかい)できない。
この間も、大量(たいりょう)の食料品(しょくりょうひん)を買い込んできて、私は驚(おどろ)いてしまった。
「ねえ、そんなに買ってどうするのよ?」
「今日から冬眠(とうみん)するから」姉は平然(へいぜん)と言った。「外へ出なくてもいいように買ってきたの」
「えっ? どういうことよ。仕事(しごと)はどうするの?」
「何か、仕事は行かなくてもよくなったから」
私はため息(いき)をついて、「何よそれ。まさか、仕事辞(や)めたんじゃないよね」
「まあ、そんな感じかな」姉はたいしたことないみたいに、さっぱりと言ってのける。
「お姉ちゃん! どうしてよ」私はイライラしながら言った。
「だって、彼がね。もうお前とは会いたくないって…。そう言うから」
「彼って? お姉ちゃん、付き合ってる人いたの!」
一緒(いっしょ)に住んでいるのに、そんな話(はな)し一度も出なかった。でも、振(ふ)られたからって仕事辞めなくてもいいじゃない。何で冬眠なのよ。
「お姉ちゃん、これからどうするつもりよ。もう、そんなんだから…」
「なに怒(おこ)ってんの? 大丈夫(だいじょうぶ)よ。冬眠からさめたら、またバリバリ働(はたら)くから」
<つぶやき>恋の傷(きず)を癒(いや)すには時間がかかるもの。でも、本当に冬眠がベストなのかな?
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