みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0949「見つめる」

2020-09-05 17:58:56 | ブログ短編

 ずっと見られている男がいた。彼はどうにもその視線(しせん)が気になって、
「あの…、さっきからずっと僕(ぼく)のこと見てますよね。何か……?」
 話しかけられた彼女はそわそわしながら、「えっ、あたし? いえ、見てませんけど」
「いやいや、さっきからずっと見てましたよね。間違(まちが)いないと思うんだけど…」
「何を言ってるんですか? あたし、そんなことしてません。なぜ、あたしがそんなことしなきゃいけないんですか? まったく意味(いみ)が分かりません。ちゃんと説明(せつめい)して下さい」
「説明って…」彼はため息(いき)をついて、「分かりました。もう、いいです」
 彼は行こうとする。それを、彼女は呼(よ)び止めて言った。
「あの…、あなた、あたしのこと気になってるんでしょ? いいですよ。ここにいても…。あたしも…、あなたのこと…」
「じゃあ、やっぱり見てたんですね。もうやめてもらえませんか」
「なぜです。あなた、気になってるんでしょ? いいですわよ。何でも訊(き)いて下さい」
「だから…、僕は別に…。あなたには何の関心(かんしん)もありません。もう見ないで下さい」
「分かりました。じゃ、こうしましょう。明日も、今日と同じ時間にここでお話しましょ」
「えっ? なに言ってるんですか? 何でそんなことを…」
「だって、時間とか決(き)めた方がいいと思うんです。ねぇ、いいでしょ?」
<つぶやき>ものすごく強引(ごういん)で、めんどくさい女の子です。彼は付き合うことになるのか?
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