みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1345「しずく184~見えない壁」

2023-01-06 17:40:50 | ブログ連載~しずく

 ここは市外(しがい)へ出る県道(けんどう)の一つ。自動車(じどうしゃ)が何十台も停(と)まっていて道を塞(ふさ)いでいた。どうやら通り抜(ぬ)けができなくなっているようで、集まっていた市民(しみん)たちは困惑(こんわく)しているようだ。
 そこへ、川相初音(かわいはつね)と琴音(ことね)が姿(すがた)を見せた。みんなの話を聞いていると、どうやら見えない壁(かべ)があるらしい。二人は、止まっている車の先頭(せんとう)へ向かった。そこにも大勢(おおぜい)の人たちが集まっている。壁の向こう側(がわ)にも人が集まっていて、両側(りょうがわ)の先頭の車は衝突(しょうとつ)で壊(こわ)れていた。
 二人は人の間をすり抜けて、見えない壁がある場所(ばしょ)に立った。手を出して前へ進んでいくと、何かにぶつかった。ふわふわしたもので、押(お)すと押し返してくる。これは一体(いったい)何なのか? 二人は顔を見合わせた。
 柊(ひいらぎ)あずみからテレパシーが届(とど)いた。初音は現在地(げんざいち)を伝(つた)えた。あずみたちと合流(ごうりゅう)するのにさほど時間はかからなかった。四人が壁の前に集まったとき、それは起こった。
 突然(とつぜん)、集まっている人たちが耳(みみ)をふさいでしゃがみ込んだのだ。四人もそれぞれに、耳鳴(みみな)りがして顔をしかめた。でも、すぐにそれはおさまった。その後、集まっていた人たちは、何事(なにごと)もなかったように無言(むごん)で引き返していく。これは異様(いよう)な光景(こうけい)だった。
 あずみは、その人たちの顔を見つめて呟(つぶや)いた。「これは、正気(しょうき)じゃない。操(あやつ)られてる」
 初音もそれに答(こた)えて、「そうね。でも、あたしが使う能力(ちから)とは違(ちが)うみたい。それに、これだけの人に能力(ちから)を使えるなんて…。そんな能力者(のうりょくしゃ)、いるのかしら?」
<つぶやき>強力(きょうりょく)な能力者が登場(とうじょう)するのかもね。しずくの行方(ゆくえ)も気になるところです。
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