みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1391「歴史のIf/恐竜世界」

2023-06-06 17:27:42 | ブログ短編

 藤原真空(ふじわらまそら)が目を覚(さ)ますと、そこはじめじめした森(もり)の中だった。突然(とつぜん)、地面(じめん)がドスンドスンと揺(ゆ)れ出した。彼女は慌(あわ)てて立ち上がると、周囲(しゅうい)を見回(みまわ)した。大きな木に囲(かこ)まれていて周(まわ)りを見渡(みわた)すことができない。彼女は思わず呟(つぶや)いた。「ここは、どこよ? 何で…」
 その時、ブレスレットが光りを放(はな)った。見ると、画面(がめん)が飛(と)び出して数字(すうじ)を映(うつ)し出した。
「何よ、この数字は…。800……年ってこと?!」
 急(きゅう)に周りが暗(くら)くなった。彼女は目を上げるのと同時(どうじ)に、彼女の身体(からだ)は何かに掴(つか)まれた。すごい速(はや)さで移動(いどう)していく。恐(おそ)ろしい吠(ほ)え声が後ろの方から聞こえた。
 しばらくして、どうやら止(と)まったようだ。彼女がこわごわ目を開けると、目の前に大きなトカゲのような顔(かお)があった。彼女は思わず悲鳴(ひめい)を上げた。そのトカゲは耳(みみ)をふさいで、
「ちょっとやめてよ。そんな大声ださないで。もう大丈夫(だいじょうぶ)だから…」
 彼女は目を大きく見開(みひら)いた。トカゲがしゃべってる。そ、そんなことって…。
「あたしはグーよ。あんた、もう少しで食べられちゃうとこだったんだよ。狂暴(きょうぼう)なヤツにね。ほら、あそこにも同じヤツがいるわ」
 グーが指差(ゆびさ)した方を見て、彼女は足がすくんだ。彼女のいる場所(ばしょ)は高い崖(がけ)になっていた。周りがよく見渡せて、彼女は目を疑(うたが)った。そこには、絶滅(ぜつめつ)したはずの恐竜(きょうりゅう)たちが動き回っている。そして、グーが指差したのは、あの…ティラノサウルスだった。
<つぶやき>真空は何でこんな世界(せかい)へ迷(まよ)い込んでしまったのか? 生きて帰ることは…。
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