学校(がっこう)の放課後(ほうかご)、教室(きょうしつ)に残って友香(ともか)は和也(かずや)に勉強(べんきょう)を教えていた。今度のテストで成績(せいせき)が悪いと、和也は補習(ほしゅう)を受けなくてはいけないのだ。
「あーっ、そうか、分かった。なんだ、簡単(かんたん)じゃねーぇか」
和也は大きく伸(の)びをして言った。それを見て友香はため息(いき)をつき、
「こんなこと、授業(じゅぎょう)をちゃんと聞いてれば分かるはずよ」
「そうなんだけどさぁ。なんか、ずーっと座(すわ)ってると眠(ねむ)くなっちゃって」
「いい、これが分かったら次の問題(もんだい)も簡単なはずよ。やってみて」
「えっ、まだやるのかよ」
「なに言ってるのよ。まだ三十分もたってないじゃない」
「まぁ、そうだけど…。よし、やるぞ」和也は問題を睨(にら)みつけた。そして、唸(うな)った。
しばらく黙(だま)って見ていた友香だが、我慢(がまん)しきれず口を出した。「だから、これとこれで…」
友香が手を出したとき、思わず和也の手に触(ふ)れてしまった。二人とも一瞬(いっしゅん)とまり、見つめ合う。その距離(きょり)のあまりの近さに、二人は飛(と)び上がった。
「もう、あたし帰る。あとは、自分で考えて」友香は逃(に)げるように教室を出て行った。
「えっ、何だよ? なに怒(おこ)ってんだよ。俺(おれ)、なんか…」
<つぶやき>男ってほんとに鈍感(どんかん)なのです。分かんない奴(やつ)にはぶちかましてやりましょう。
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