みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0195「特別な微笑み」

2018-04-09 19:14:39 | ブログ短編

「君(きみ)は何てことしてくれたんだ」平山(ひらやま)部長は困惑(こんわく)顔で言った。「綾瀬(あやせ)君に暴言(ぼうげん)を吐(は)いたそうじゃないか。彼女が、我(わ)が社(しゃ)にとってどれほど大切(たいせつ)な人材(じんざい)か分かってるのか?」
「でも部長(ぶちょう)」高野(たかの)は不満(ふまん)そうに、「僕(ぼく)は別に、そんなつもりで…」
「何で、つまんないなんて言ったんだね。そのせいで、彼女は笑(わら)えなくなったんだぞ」
「僕は、彼女を傷(きず)つけようとか、そういうんじゃなくて。ほんと、冗談(じょうだん)みたいな…」
「そんなことはわかっとる。だがな、綾瀬君は自分はつまんない女だと思い込んでしまってるんだ。最悪(さいあく)、彼女が会社を辞(や)めるなんて言いだしてみろ、我が社は倒産(とうさん)だ」
「部長、それは言いすぎですよ」
「清和(せいわ)物産が取引(とりひき)の停止(ていし)を打診(だしん)してきた。あそこの社長(しゃちょう)が、なぜ毎月うちへ来るのか知ってるか。綾瀬君の淹(い)れるお茶(ちゃ)を楽しみにしてるんだ。今月おみえになったとき、彼女に微笑(ほほえ)んでもらえなかったことを気にされて、このままじゃ取引できないと」
「そんな…。でも別に、他の女子社員だっているんだし。そんな大人気(おとなげ)ない…」
「君は分かってない。いいか、彼女は特別(とくべつ)なんだ」
「どこがです? あんなチャラチャラした奴(やつ)の…」
「これは業務命令(ぎょうむめいれい)だ。彼女の笑顔を取り戻(もど)すんだ。これには、我が社の運命(うんめい)、いや、社員(しゃいん)とその家族(かぞく)の生活(せいかつ)がかかってるんだ。頼(たの)むぞ」
<つぶやき>可愛(かわい)い人に微笑んでもらえたら、それだけで幸せな気分になっちゃいますね。
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