僕(ぼく)は毎晩(まいばん)日記(にっき)を書いていた。その日の出来事(できごと)や感(かん)じたことなど思いつくままに…。
ある日、僕は今まで書きためていた日記を最初(さいしょ)から読み返してみることにした。
二年ほど前まできたとき…。ちょうどこの頃(ころ)は彼女がいて幸(しあわ)せを感じてたときだ。彼女とはいろんなところへ遊(あそ)びに行った。彼女の顔(かお)が浮(う)かんでくる。何で別れちゃったのか? 今となってはよく思い出せない。日記には彼女と遊園地(ゆうえんち)へ行ったと書いてあった。
僕はそこで首(くび)を傾(かし)げた。遊園地に行った記憶(きおく)がない。それに、ジェットコースターに二人で乗(の)ったと…。でも、そんなはずはない。僕は、子供(こども)のときから高い所(ところ)はダメなのだ。だから絶対(ぜったい)に乗るはずがない。何でこんなことを書いたんだ?
僕は読み飛(と)ばしていく。彼女と別(わか)れた理由(りゆう)が書いてあるはずだ。でも、いつの間にか彼女のことが出てこなくなった。あんなに好(す)きだったのに、何で別れたときのことを書かなかったんだろう。僕は、もやもやとした気持(きも)ちがわき上がってきた。
読み進めていくと、知らない女性(じょせい)の名前(なまえ)が出てきた。日付(ひづけ)は、十日前だ!?
何でだ? 何で覚(おぼ)えてないんだよ。日記には、その女性と食事(しょくじ)をして、二人で一晩(ひとばん)を過(す)ごしたと…。これは、おかしいだろ? こんなこと僕が書くはずは…。
その時、玄関(げんかん)のチャイムが鳴(な)った。のぞき窓(まど)からそっと見てみると、見たことのない若(わか)い女性が立っている。いったい誰(だれ)だ。もしかして、僕と一晩過ごした女なのか?
<つぶやき>あなたなら扉(とびら)を開けちゃいますか? ここはとっても悩(なや)ましいところかも。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます