みけの物語カフェ ブログ版

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0533「沈没船の謎」

2019-05-02 18:25:22 | ブログ短編

 陸地(りくち)から数キロ離れた場所(ばしょ)で沈没船(ちんぼつせん)が発見(はっけん)された。それは何世紀(なんせいき)も前の貿易船(ぼうえきせん)で、保存状態(ほぞんじょうたい)はかなり良かった。船(ふね)の中には財宝(ざいほう)が詰(つ)まっているのではないかと誰(だれ)もが想像(そうぞう)した。たが、海流(かいりゅう)が速い場所でもあり慎重(しんちょう)に調査(ちょうさ)が進められた。
 潜水(せんすい)調査は、まず船の周(まわ)りから始まった。どうして沈(しず)んだのか? 嵐(あらし)で難破(なんぱ)したとか、海賊(かいぞく)に襲(おそ)われたとか…。いろいろ検討(けんとう)されたが、船の状態(じょうたい)から見てどれも当てはまらないようだ。いよいよ船内(せんない)の調査にとりかかったダイバーたち。だが、彼らが船内で見たものは――。何もないガランとした空間(くうかん)だけだった。航海(こうかい)に必要(ひつよう)な最低限(さいていげん)のものがあるだけで、積(つ)み荷(に)も、財宝も、食料(しょくりょう)や水を積み込んだ形跡(けいせき)すらなかった。これはどういうことなのか。誰もが首(くび)を傾(かし)げた。
 調査をさらに進めると、船底(ふなぞこ)に小さな穴(あな)を発見した。その穴は直径(ちょっけい)10センチほどで、これが沈没の原因(げんいん)のようだ。その穴は、どうやら最初から開けられていたようだ。そこにはめ込まれていたと思われる木片(もくへん)が近くで見つかっている。
 この船は沈めるために作られたのか。でも、誰が何のために? もしかして、誰かを欺(だま)すために造(つく)られたとか…。何世紀も前に、大がかりな詐欺(さぎ)グループが存在(そんざい)していたのかもしれない。謎(なぞ)は、ますます深まるばかりである。
<つぶやき>人間の世界はどこまで行っても欺(だま)し合い。人間の欲(よく)には限りが有りません。
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