トヨタのMIRAIってどうだろう

水素で動く電気自動車、トヨタMIRAI。
どんな車なのかを買って乗って調べてみます。

販売在庫の確認

2019-11-29 03:46:24 | 購入まで
電話した翌日、販売店に実車確認に行きました。MIRAIは人気車ではありませんが、中古車は水物。早めに動くに越したことはありません。



販売店は、神奈川県のトヨペット系中古車専売店。ディーラー系の「認定中古車」ですから、車両の状態がWeb掲載の情報と大きく違うことはないだろうと思うわけですが、それでも一通りの確認は必要です。

車検証をみると、初度登録は2018年4月で掲載の情報通り。前の所有者は同系列の新車ディーラーでした。販売店で試乗や業務のために用いられていた車と推測できます。

ただし、この車の製造時期は2016年秋頃と推定できます。なんらかの理由で長期在庫となっていて、結局、ディーラー自らが自社で登録した車のようです。



車の製造時期を判定する方法は色々ありますが、ミライ独自のやり方として、水素タンクの充填期限を確認する方法があります。水素タンクは、使用期限(充填期限)が製造から15年と定められています。

タンクの充填期限は、フューエルリッドの裏側に貼ってあります。この車の充填可能期限は2031年8月ですから、タンクの製造時期が2016年8月であることがわかります。「カンバン方式」でお馴染みのトヨタが、部品としてのタンクを在庫として長期間寝かせるはずはなく、タンクは製造とほぼ同時に組み立てラインに乗り、車として完成されたと考えられます。

タンクは、使用期間内に定期的に再検査を受ける必要があります。最初の検査は4年1カ月、その後は2年3カ月が期限。これはあくまで製造からの期間で、初度登録からの期間ではないことに注意が必要です。タンクの点検は有料。

完成即登録というケースなら、最初の車検までタンクのことは考えないですみますが、長期在庫になっていた車の場合は、検査期限が車検よりも早く来てしまうことがあります。この車も、初回のタンク点検期限は2020年9月ですから、車検どころか、1年点検の前にタンクを点検しなくてはなりません。

なお、車両としての保証は、通常の車両と同じく、初度登録が起点になります。タンク以外に特別な配慮は必要ないようです。



走行距離は1740kmで、これも掲載の情報通り。試乗車だったとすれば、1年半で1800kmとはずいぶん走っていないと思うわけですが、MIRAIの試乗を希望する人は少なそう。業務に使うにも、水素ステーションの少なさを考えればあちこち乗り回すわけにはいきませんね。



内外装の状態は、1年半1800キロ走行という履歴の通りでまったく問題ありません。しかし、業務用車ということで、扱われ方はそれなり。内装にはあちこちに蹴り跡があったりします。もっとも、大きな損傷はなく、クリーニングすればほぼ元通りになりそう。



フロントの機器ルームはほぼ新車同様。



タイヤの溝も十分残っています。タイヤの製造時期は2016年37週(9月上旬頃)で、車の製造時期が2016年秋頃であるという推定を裏付けます。



付属品も、欠けているものはなさそうです。メーカーオプションのナビ、ディーラーオプションのドライブレコーダーやサイドバイザー、三角表示板も装備されていました。

さらにあちこち調べてみて、車両の状況に問題のないことが確認できたので、そのまま購入交渉に入ることにしました。

中古車を探す

2019-11-21 04:50:12 | 購入まで
ということになりまして、早速、中古車情報サイトでミライの売り物を検索してみました。中古車はタマがなければ話になりません。

「カーセンサー」で探してみたところ、ミライの在庫は20台あまり。年式については、「4年縛り」を終えた2015年式がメインかなと思っていたのですが、意外に16年以降の車もありました。

価格は平均で250万円くらい(車両本体価格、以下同じ)。安いものは180万円くらいからありますが、高いものになると345万円とかいうものもあります。確かに、2017年式で走行距離0.3万キロ。並んでいる車の中では、年式、走行距離とも上位です。

新車価格700万円オーバーのミライは、2年経つと半額以下になってしまうわけで、値落ちの大きさは輸入車を彷彿とさせるほどです。もっともこれは、補助金分が最初から織り込まれているからでしょう。

補助金分を割り引けば、実質的な新車価格が450万円程度と考えられるわけで、そうすれば2年落ちで300万円強という価格は理解できます。ですが、決して人気車ではないことも伺えます。

国のCEV補助金(202万円)は、中古車を明示的に排除する旨の規定はないようですが、申請の期限が「初度」登録、つまり初めて登録された日から1カ月以内とされています。中古車マーケットで流通しているような車の申請は事実上無理だと思われます。また、仮に初度登録から1カ月以内であったとしても、1度補助金を受けている車は交付対象外となります。

中古車の場合は補助金を使うことは無理ですが、補助金のおかげで中古価格が割安になっているわけで、その意味では中古を買っても補助金の恩恵には預かれるといえます。むしろ、「4年縛り」が発生しない分、新車よりも有利な点があります。

さて、在庫の中に、2018年式で走行0.2万キロという車があるのをみつけました。価格は284万円。



状態の割には安いので、何かワケあり車かと思ったのですが、特にそういうわけでもなさそうな感じ(ネットの情報だけでわかるはずもないのですが)。

しかも、販売しているのは隣県のディーラー。実車の確認は容易です。

すぐに連絡を入れ、「詳しく話を聞きたい」旨を伝えました。幸い、まだ商談には入っていないようです。

新車よりも中古車?

2019-11-20 23:51:36 | 購入まで
ミライの新車を買うと、どのくらいの支払いが必要になるのかがわかりました。

新車を買う場合は補助金の利用が不可欠になりますが、問題は納期です。一時期、3年とかいわれていたようですが、現在ではおよそ3カ月程度で納車が可能。それでも、11月に注文したとしても納車は2月頃。本年度の補助金の枠が残っているかどうかは微妙です。

そもそも、来年度も補助事業が継続されるかどうかも不明。もし、同内容で継続されたとしても、申請できるのは来年の6月で、それまでの間、202万円は自分で立て替えておかなくてはなりません。東京都の補助金については細かく調べていないのですが、同様の問題が生じることでしょう。

また、補助金を受け取ると、4年間は原則として売却することができません。もちろん、補助金の一部を返納すれば売却は可能ですが、今度は売却額が問題になります。

かりに、303万円の補助金を除いた金額で、4年後残価50%の残価保証ローンを組んだ場合、支払いのかなりの部分が利息に消える計算となり、ローン残債はあまり減りません。ざっくりとした計算ですが、2年間毎月4.4万円を払い続けても、借金は470万円程度が残ります。

2年後のミライの下取り価格が、残債である470万円を上回っていれば、負担は補助金の返納分だけですむわけですが、そんな高値で売却するのはおそらく無理。中古価格を見る限り、せいぜい200万円ちょいというところではないでしょうか。残りの270万円程度は全額自己負担となります。

4年後の残価「保証」50%というのは、あくまでも4年間の保有に対するものであって、2年くらいで売却するとすべての計算が狂うことになります。残価「保証」ローンのお得さは、そのリスクを受け入れる代償でもあるわけです。

というわけで、このあたりまで検討を進めてみると、最初から中古車にすればいいんじゃないかという気になってくるわけです。中古車情報サイトをみると、「4年縛り」を終えたと思われる2015年式だけでなく、16年以降の比較的新しいものもマーケットに出ています。無理に新車にすることもなさそうです。

見積をもらう(3)−残価「保証」ローン

2019-11-16 02:38:16 | 購入まで
購入プラン検討の続きです。

ローンの試算をしてもらいました。私がおじゃました東京都内のディーラーでは、ミライについては4年後の残価を車両本体価格の50%とするローンを組むことが可能です。据置額は370万4800円で、実質年率は4.8%。

このローンは、車両の状態が一定の基準を下回らない限りは、車両の返却をもって据置金額の支払いに充てることができるというタイプです。いわゆる残価「保証」ローンにあたります。「保証」という言葉の響きがトラブルの元になるのか、このような言い方をしていないディーラーやメーカーもあります。

ミライの中古市場の状況をみると、最初に購入された2015年式が出回り始めており、平均価格:258万円、価格帯:184万円~345 万円(カーセンサーのデータ)という感じです。売値がこの程度ということは、4年後の買取額の相場は100万円台半ばがよいところでしょう。370万円の買取を「保証」しているというのは、メーカーあるいはディーラーからそれだけの持ち出しがあることを意味します。

「保証」の条件は、月の走行距離が1000km、つまり4年で48000km以下であることと、車両の内外装の状態が基準を下回っていないことです。軽微な板金修理が1箇所だけとかいうことであれば問題ありませんが、大きな事故で「修復歴」が付いたりすると、最終回の支払いで精算金が必要になります(もちろん、事故の損傷は修復されていることが前提)。

車両総支払額798万4380円でフルローンを組むと、返済プランを組んでもらうと、月々の支払額は11万5160円になります。据置額50%といっても、さすがに800万円弱のローンは厳しいですね。なお、総支払額は911万7320円となり、金利相当分は113万3320円。

なお、残価設定ではない通常ローンだと、同じ金利だとしても、月の支払額は18万3143円になります。かなり厳しくなりますが、残高が減るのが早い分、総支払額は879万864円(金利分80万6864円)に減ります。もっとも、普通のローンでいいなら、銀行などのマイカーローンの方がずっと金利が低くてお得です。

さてここで、補助金303万円が入ることをあてにして、車両価格から補助金を引いた、ローン元金495万4380円で計算するとどうなるでしょうか。月々の返済額は4万4322円に大きく減少します。なんか、急に現実味が出てくるような気がしますね。

ただし、総返済額は578万7934円で、金利相当分は83万3554円になります。借入額が300万円も大きい通常ローンと金利負担は変わりません。月々の支払額はぐっと少なくなりますが、据置額が大きい分、金利負担は相当なものになることがわかります。

ともかく、走行距離は月1000キロ以下、大きな事故を起こさないこと、内装に大きな傷をつけないことが条件ですが、303万円を自分で用意できれば、月々44322円を48回、合計208万3134円でミライに4年間乗れるということにはなります。

仮に、ナビなどのオプションを諦めて、車両本体+諸費用の750万円でローンを組めば、月の支払額は約3.3万円、合計158万円程度に安くすることができます。

ところでこの購入プラン、750万円(車両本体)−303万円(国・都補助金)−370.5万円(ローン据置額)=76.5万円でミライが買える!と考えたくなります。他の補助金を獲得できたり、交渉次第で値引を得ることで、さらに安く購入することも可能になりそうですし、そのように紹介している記事もあります(あえて紹介しません)。

しかし、仮に残りの76.5万円をゼロにできても、月々の支払額は約1.5万、総支払額は約445万円、そのうち金利分は75万円程度にもなります。本当にゼロ円でミライが買えるわけではありません。4年の間に大きな事故を起こせば、最終回の支払いで精算金も必要になります。そんなにうまい話があるわけではないということです。

とはいえ、4年後に50%という、中古市場の状況からいえばありえない高値の買取を「保証」してくれているおかげで、月々の支払額が安く抑えられるわけですから、金利は高めとはいえ十分検討に値する購入手段だと思います。

見積をもらう(2)−補助金のリスク

2019-11-15 02:42:12 | 購入まで
[disclaimer]本記事における助成事業の説明は、筆者の個人的な理解に基づくもので、正確性は全く担保されていません。助成事業を利用される際には、必ずご自分で確認していただくようにお願いいたします。

東京都でMIRAIを買う場合、少なくとも、国の事業である「CEV(クリーンエネルギー自動車)導入事業費補助金」202万円と、都の事業である「燃料電池自動車の導入促進事業」101万円の合計303万円の助成があることがわかりました。

補助金が申請できるのは、車両代金を払って車が登録された後で、給付されるのは申請からおよそ2カ月程度かかります。補助金は「後払い」であり、とりあえずは、車両代金全額を自分で準備する必要があります。

とはいえ、これは給付で貸付ではなく、返済の必要はありません。実にありがたい措置です。納税者の一人としては使わないと損になるような気がしてきます。

しかし、これらの助成金は、CEVを所有して使用することに対して公金から支出されるものですから、買った車は助成目的に則って使用することが条件です。助成を受けた人は、助成者(国や都)の許可を得ないで勝手に車両を処分(売却など)してはいけません。

ただし、国も東京都も、取得から4年を経過した場合はこの限りではない、とも定めています。補助金を受けた場合に「4年縛り」があるというのはここから来ています。

なお、4年経過しないと絶対に処分できないというわけではなく、所定の様式で申請を行い、助成者の承認を得られれば処分することは可能です。この場合、助成金の一部を返還することが求められます。本来、禁止されていることを特別に認めてもらう形になるため、それなりの手続きが必要になるわけで、簡単にはいきません。

国のCEV補助金の場合、返還額は、「売却額×補助金比率」で計算されます。売却額が低ければ返還額も低くなりますが、売却額が残存簿価相当額よりも低い場合は残存簿価相当額が適用されますので、故意に低い価格で売却したことにして返還を免れることはできません。

東京都の補助金についても、「助成金等交付財産の財産処分承認基準」による返還が求められます(詳細はよく調べていません)。

私は、あまり長く車を所有する方ではないので、この「4年縛り」はかなり気になります。実際の売却額や残存簿価はそれほど高くないはずで、いただいた補助金の返還額はそれほど高くはならないことも予想されますが、金額の確定しない出費が生じるのは望ましいことではありません。

また、補助金の財源は予算で決まっているので、支給できる額には限りがあります。予算が不足する際には補助金の受付が中止になります。中止されるときにはホームページで予告されることになっていますが、年度後半の登録の場合は中止リスクが高くなります。

基本的に、補助金申請の期限は、車両代金全額の支払いを完了した上で、初度登録した日から1カ月以内となります(事務手続きが遅れた場合などはさらに1カ月の猶予があります)。ただし、今年度の助成では、前年度の1月から4月に登録された車は、今年度の6月末までは申請が可能になっていました。

ですので、仮に、登録が1月末になって、その時に今年度の予算が無くなったことがわかっても来年度の助成事業に申請することはできそうです。しかし、助成事業は、基本的に年度単位なので、来年度も同じ内容で事業が継続されるかどうかわからないという根本的な問題が存在します。

4年縛りと予算不足、次年度の助成事業の有無とその内容、この3つのリスクは私にとって小さくはありません。貴重な税金を財源にしているわけですから、仕方ないことではあるのですが……。