宮部みゆきさんの作品です。
ジャンル的にはミステリーなのでしょうか。
何か心にじんわり染みてくるお話でした。
宮部さん小説に出てくる少年少女は子供っぽくなくて
大人な雰囲気がします。
それが何故かしっくり感情移入できる物語になっていて好きです。
あらすじとしては中古住宅として買った「小暮写真館」で
住み始めた花菱一家が不思議な現象に見舞われ、
それを主人公の高校生の男の子「花ちゃん」が
解き明かしていきます。
心霊写真バスターとでもいうのでしょうか。
厳密には心霊写真ではなくて人の想いが写りこんで
しまったということななのですが。
とにかく登場人物の一人一人が面白いです。
花ちゃんの同級生のコゲパンちゃんという女の子が
たんかをきるシーンはスカッとします。
そして四話めではちょっぴり悲しく、でも希望に満ちた旅立ちで
終わっています。
家族の物語でもあり、恋の物語でもあると思います。
花ちゃんはこの小暮写真館を仲介したST不動産に
勤める事務員垣本順子さんと
心霊写真バスターをしていて知り合いになります。
始めは読んでいてもこの彼女は嫌味な女だと思いました。
彼女にはやりきれない過去があってそこから逃げて逃げて
でも最後には逃げずに旅立って行きます。
恋ともいえない、でもきっと恋だったに違いない「花ちゃん」とは
別れがあります。
読んでいる時には泣くこともなかったのですが
あらためて思い返すと涙がこぼれました。
切ないです。
でもそれぞれに旅立ちはあるのです。
謎解きとしても面白いし、宮部ワールドにひたって読んだ1冊です。
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