「回転木馬」柴田よしきさんの作品です。
柴田よしきさんの作品もずいぶん読んでます。
ミステリーあり、ハードボイルドあり、ファンタジーありで好きな作家さんです。
「回転木馬」は謎の失踪をした夫の消息を捜し求めていく女性のお話です。
自ら私立探偵という職業を持ちながら活動し、
徐々に夫の失踪の謎が明かされていく‥
私は謎解きより、主人公の彼女が捜索するなかで関わった人々の人生が生き生きと語られていくことに感動もし、ある意味恐れのようなものも感じました。
アラフォーなどという言葉がありますが40台の女性にとっては女としての岐路であったりします。
そのことも、関わったある女性のこととして実にうまく書かれています。
読んでいて切なくてたまりませんでした。
病気で亡くなるまで明るく生きた女性のことも書かれていました。
潔さに感動しました。
そして、考えのない若者に夫と子供を殺された女性がいました。
その若者は無期懲役の刑となります。
今の日本の法律では本当に無期ということはなく
10年くらいで出所ということになるようです。
その若者を許せない、復讐したいと思う女性は迷い苦しみ、
心の闇が消えることはない。
作者はその女性にどんなメッセージを贈るのだろうかと思って読みました。
「しかしもし、あなたがまだ迷っておられるのであれば‥‥決断し切れていないのであれば、どうか、迷うことを投げず、最後まで迷ってくださいと、お願いしたい。もしかしたら明日、いや、今日にでも、あなたの人生にさし込むかも知れない明るい光を、わたしは信じたいと思います」
と、車椅子の写真家に語らせます。
人の心は誰かによって救われるのではなく、その人自信が闇に差す光を求めて闘うことでしか立ち直ることはできないのだと思います。
こう書いてしまうと、重いストーリーのようですが
うまい文章に読まされてしまいます。
本を読むことでいくつもの人生を生きたような気分になってしまいました。
次回の本は底抜けに明るい能天気な本に挑戦してみようかと思っています。