中小でブラック企業の我が社に何故ツネ師匠の様な方が入社したのかは従業員の間で話題になり、明確な答えは分からずにいた。ツネ師匠は過去の事を全く語ることはなかったのだ。
『どのような仕事をされていたのですか。』
と我が社の若い女子社員が興味本位で聞いても、大したことはしてませんよ。と笑顔で答えを曖昧にした。
そんな中、我が社の社長と個人的な知り合いであることが、会社のお偉いさんから噂話しとして出てきた。そして我が社の従業員は、ほぼその噂は間違いないと感じた。我が社では、社長の知り合いの入社は珍しい話では全くなかったのである。
私も実は社長の事は学生時代から知っていて、かなりコネ入社に近い形で入社した経緯がある、その辺の事を書いてしまうと原稿用紙50枚位書いてしまうので割愛するが、当時の社長は人間味あふれる、昭和の豪快さと、いい加減さを兼ね備えた、愛すべきワンマン経営者であった。