ことば咀嚼日記

日々読んだ活字を自分の頭でムシャクシャ、時にはゴックン、時には、サクサク咀嚼する日記

K夫人の思い出

2010-03-28 | 日記
今日は、一度お昼過ぎに帰ってまた教会へ。ほとんど一日いた。お昼にいったん帰ろうとして駐車場に向かったら、時々行くラーメン屋さんの前で83歳のK夫人がにこやかに手招きしておられる。ぜひ私に見せたいものがあるというので、いっしょにお店に入った。K夫人は最近身の回りの整理をしているらしく、机の引き出しから私が10数年前に書いた文章のコピーが出てきたといって見せてくれた。その文章は私があるところに発表したもので、与謝野晶子の短歌の感想(何でこんなものを書いたのか覚えていない)と、「K夫人の思い出」という文章で、K夫人はその頃も今もお元気なのに、何故こんな文章を書いたのか・・・まったく自分でも意味不明だが、読み返しているうちに、たしかにこれ、私が書いた、と思い出してきた。いったん最初の文章を思い出すと、次に来る文章が順番にに思い出されてきて、その時の切羽詰った感情までもが蘇ってきた。
悩み事をK夫人のお宅で訴えながら、出されるお菓子やチーズや果物やお茶を私が次々に平らげ、帰りに蜜柑のお土産をもらって嬉しかった、という小学生の書くような文章だった。K夫人はそのコピーを私に下さるのかと思いきや、また丁寧に折りたたんでニコニコして封筒にしまわれた。
きっと、気に入ってくださったのだろうと思い、ひそかにK夫人の葬儀にはこの文章を読もうと心に決めた。私の手元には原文も残っていないが、今日読んでみて大体暗記した。もともと自分の書いたものだから覚えやすい。
K夫人は、別れる時「次回は、教会が終わったらカラオケにいきましょ!」と言って、元気にお家に帰られた。
私の方が先に召された場合は、K夫人はどんな思い出を語ってくださるのだろう。こればっかりはわからないもものであるから。