顔

テレビをつけたら、漫画に出てくるような、ものすごく悪そうなおじいさんが出ていて、「このお金は孫の貯金通帳にいれさせてもらったの。自分のを作るのに2，3日かかるでしょ」と言っていた。通帳は基本的に即日発行である。判子と身分証明になるものさえ忘れなければ・・・ああ、見え透いた嘘を。でもこんな典型的な悪徳の人って本当にいるんだなあと思った。
もともと目が悪いのでろくすっぽ人の顔が見えないのだが、最近人の顔を良く見るようにしている。もちろん自分も見られているのだが。どんなに笑っていても、泣いていても、人の顔には知性と良心がむき出しになり、それは年をとるにしたがってよりいっそうくっきり明暗が分かれていき、高須クリニックで直しても直らない。ああ、顔にすべてが出るということがつくづくわかり、それで顔を見たら、いろいろな邪教やセールスから守られるのだ。
やさしそうとか、こわそうとかでもない。なんと表現したらいいのかわからないが、きれいか、きたないか、もちろん見た目の美醜とはちょっと違うが、恥じらいやためらいのある顔か、に近いかもしれない。