アルバン・ベルク - Alban Berg (1885-1935)
ピアノ・ソナタ Op. 1
Piano Sonata, Op. 1
内田光子 - Mitsuko Uchida (ピアノ)
〘 務川慧悟が浜離宮朝日ホールで4日間のリサイタルを行った。プログラムは2種類で、2022年12月15日(木)・16日(金)と、20日(火)・21日(水)がそれぞれ同一プロ。中心軸となったのは、リリースされたばかりのCDとリンクする形で、ラヴェル作品である。前半には、ラヴェルの世界観とどこか通底するものや、希望の声が寄せられた曲、そして何より務川が4日間の舞台を浜離宮朝日ホールに選んだ理由に則した作品が置かれ、後半はラヴェルで固めた。筆者は15日(木)と20日(火)のコンサートに足を運んだ。本稿はその公演に基づいたレポートである。…
…アンコールに入る前のMCで、務川は一つの種明かしをした。この日使用したピアノは、15日(木)・16日(金)に弾いたスタインウェイとは違い、ホールが所有するもう一台の楽器とのことだった。両日聴いた方々の中には、この日の音色の方が、どちらかといえば太い響きのように感じた人もいたのではないだろうか。筆者は個人的には15日(木)・16日(金)の、より線の細く透明感のある響きのピアノの方が、ラヴェルには合っているように思った。西村作品をそちらのピアノで聴けたのもよかった。20日(火)のピアノは、シューマン作品を念頭に置いたのだろうか。いずれにせよ、それぞれの特性を感じ取りながら演奏していた務川は、「こちらのピアノでも、15日(木)・16日(金)のプログラムの曲を弾いてみたくなった」ということで、アンコールに《水の戯れ》を弾いた。よく伸びる、まろやかさのある音色が印象的だった。日本のリサイタルで《クライスレリアーナ》を初披露したことは「一大イベント」だったと話す。アンコール2曲目には、シューマンの《ユーゲントアルバム》から第30曲を披露してくれた。シンプルで繰り返しの多いこの作品を、務川はじんわりと心に深く染み入る音色変化で聴かせた。やはり帰り道にずっとずっと、その響きが耳と心に残った。
取材・文=飯田有抄 〙
〘「原由莉子ウィーン世紀末シリーズ」と題したピアノによるレクチャー&コンサートが一部の音楽ファンの間で話題となっている。
ウィーン仕込みの確かな技術に裏打ちされたスケールの大きな音楽と、軽妙な関西弁に人懐っこい笑顔が印象的な原由莉子とは、どんなピアニストなのか?
今年の「富士山河口湖音楽祭2022」に招待され、音楽ファンや関係者が注目する大きな舞台で、ウィーン世紀末音楽を演奏出来る!とハイテンションの原由莉子に、あんなコトやこんなコトを聞いてみた。…
…―― そして今年2022年、「富士山河口湖音楽祭2022」から正式にご招待を受けられたそうですね。
はい、驚きました。「ウィーン世紀末シリーズ」レクチャー&コンサートを評価して頂いたそうです。2019年に帰国して、思ったよりも早く結果が現れているようで、狙いは間違っていなかったという思いと、ちゃんとやって来たことを見て頂いていることに対する感謝の思いが入り乱れています。
―― プログラムはもう決まっているのでしょうか?とても大切ですね。
はい。リヒャルト・シュトラウスの「5つのピアノ小品」と アルバン・ベルク の ピアノソナタ、それにシューマン、モーツァルトの作品を予定しています。リヒャルト・シュトラウスの珍しいピアノ曲に、ベルク の 作品番号1番 となる ピアノソナタ は、共に若書きの曲ですが、とてもいい曲なので、こんな機会でもないと皆様にお聴き頂けないと思い、選びました。シューマンからベルクまで、この時代の曲の変遷のようなものが上手く伝われば良いのですが。… 〙
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