今朝4時から行われたEURO2024決勝戦は、過去最多4度目の優勝を狙うスペインと初優勝を狙うイングランドで争われ、1-1の同点から86分にスペインの途中出場のFWオヤルサバルが決めた得点が決勝点となり、スペインが4度目の優勝を勝ち取りました。
イングランドは前回大会に続いての決勝進出も初戴冠ならず。
下馬評ではイングランドが優勝候補最右翼で、対抗フランス、スペインは開催国ドイツらとその次くらいのカテゴリーと見られていましたが、7戦全勝での優勝と文句なしの結果に終わりました。
準々決勝でのドイツ戦、準決勝フランス戦、決勝でのイングランド戦はすべて2-1のスコアでしたが、FIFAWorldCup2010において、決勝トーナメントをすべて1-0で勝って優勝したとき同様、安定感は群を抜いていました。
決勝戦は 4-2-3-1のスペインに 3-4-2-1のイングランドという構図でしたが、両チームとも実質3トップに近い布陣になっており、スペインは右からヤマル、モラタ、ニコ・ウィリアムズ、イングランドはサカ、ケイン、ベリンガムと今大会屈指の攻撃陣を要する対決に。
試合は序盤からスペインがボールポゼッションで優位に立ち、特に右サイドのカルバハルとヤマルからの連携による進出はゲーム通して脅威でした。
前半は両チームとも大きく破綻することなく進み、スペインのバイタルへの侵入も世界屈指のCBストーンズやウォーカーらの献身的な守備で決定機を作らせず。
しかし、試合は後半開始早々の47分に動きました。
スペインのセントラルMFロドリが前半のプレーで怪しい挙動を見せていましたが、後半開始からスビメンディに交代。
前半の中盤を制圧していただけに影響が懸念された中、先制したのはスペイン。
カルバハルからのワンタッチでの縦へのパスをヤマルが受けると、縦への突破ではなく中への侵入でイングランドDFの注意を引き、左サイドのニコ・ウィリアムズへグラウンダーのパス。
それを落ち着いて右足インサイドで逆サイドネットへ流し込んで先制。
両チームとも締まった守備で付け入るスキを与えなかった状態を、後半開始早々のまだ落ち着かない時間帯でスペインが先制に成功。
しかし、イングランドは決勝トーナメントすべて先制されながら追いついて勝利している自信からか、少しずつ流れを引き寄せます。
61分にキャプテンでもあるFWケインを交代させワトキンスを投入、70分には中盤であまり仕事ができていなかったメイヌーに代えてパーマーを投入すると、右サイドのサカからペナルティエリア内中央のベリンガムに当て、落としたボールをペナルティエリア外からパーマーが左足インフロントでシュート。
スペインDFの足にかすったようなボールはそのままスペインゴールに転がり込んで同点に。
これまでの戦績から追いついたイングランドが勢いをつかむかと思われましたが、スペインも交代選手が大仕事をしました。
68分にキャプテンのFWモラタに変わって入ったオヤルサバルは、86分にペナルティエリア外で受けたパスを左サイドのニコ・ウィリアムズにはたくとそのままゴール前へ侵入、ダイレクトでゴール前に流すと、オヤルサバルがイングランドDFと競いながらスライディングシュートで放ったボールは、イングランドGKピックフォードが守るニアサイドを破って値千金のゴール。
ロスタイム4分を含めて前へボールを送るイングランドの最後の攻撃もいなして、スペインが2012年大会以来4度目、3度で並んでいたドイツ(西ドイツ時代を含む)を上回る最多の優勝を勝ち取りました。
FIFA WorldCup2018でベスト4、2022でベスト8、EUROでは2020(延期で2021年実施)に決勝進出と、常に上位に進出しながらビッグトーナメントに勝ち切れなかったイングランドは、今大会でも決勝で涙を飲む結果に。
イングランドはU-17WorldCup2017ではスペインを決勝で下して優勝、U-20WorldCup2017で優勝、U21欧州選手権では2023年大会にスペインを決勝で下して優勝と年代別で輝かしい成績を残して、そのメンバーが現代表にも入っており、かつクラブレベルではマンチェスターシティがプレミアリーグ4連覇、EUFAチャンピオンズリーグ2022-23・FIFA ClubWorldCup2023に優勝し、フル代表の主要国際大会のタイトルをつかむのも近い将来ありうるほどのタレントを揃えていましたが・・・。
一方でスペインもU-17欧州選手権ではイングランドを破って優勝、U-20欧州選手権では2019年に優勝、2023年に準優勝しており、そのメンバーがやはり今大会に出場していて、若手のタレントでは今大会大活躍のヤマル、ニコ・ウィリアムズなどイングランドに劣らないメンバーを擁していたんですよね。
EUROチャンピオンズリーグでも2021-22、2023-24にレアルマドリードが優勝していましたし。
カルバハルやナチョなどベテランも健在でしたしね。
両チームとも年代別主要大会で実績を残した若手、FIFAWorldCup2018・22やクラブレベルでの主要大会等を経験した中堅・ベテランが揃う陣容と言う点では甲乙つけがたいレベルでしたが、その差を挙げるとするとフォーメーションと中盤のタレントと1トップの献身的守備でしょうか。
スペインのFWモラタは攻撃での決定的な場面こそほとんどないものの、チーム全体としての守備に前線から献身的に効果を発揮していましたし、ロドリとファビアンのセントラルMF2人は速くて正確なパスを前線に供給して両翼の攻撃陣を活かしていました。
対して、イングランドのケインや、メイヌー、ライスの両セントラルMFが同レベル以上の仕事をしていたかと言うと、少なくとも決勝ではそうではなかったように思えます。
(準決勝までは全試合はハイライト観戦でしたので・・・。大会通しての実際のところはよくわからず申し訳ありません。)
そして、個人的な好みですが、3-4-2-1は4-2-3-1に咬み合わせが悪いと思います。特に近代サッカーで重点が置かれるサイドの攻守において、2対1の数的不利が発生するという点で。
イングランドは、ストーンズが持ち上がる際に4-3-3にもシフトする「偽CB」をマンチェスターシティが用いており、今日も同様の戦術で効果を発揮する場面がありましたが得点には至らず、カウンターを狙われる諸刃の剣でもありました。
そして、4年後の2028年は英連邦4チーム+アイルランドの共同開催が予定されています。
決勝はイングランドのウェンブリースタジアムでの開催が予定されており、2021年に延期されて各国分散開催された2020年大会以来、2大会ぶりにイングランドが地元で決勝を戦うチャンスが来ます。
イングランドのEURO初優勝なるか、それとも実力伯仲のライバル国がサッカーの母国で戴冠なるか、4年後が早くも楽しみです。
おっと、その前にワールドカップ2026北米大会もあるのでしたね。
参加国数が48か国に増える初の大会で、さすがにスペイン、イングランドとも本大会には出場すると思いますが、本大会での戦いぶりがEURO2028を占う材料になるのは間違いありません。
そしてこの後開催される南米選手権決勝の行方も気になりますね。
世界王者でディフェンディングチャンピオンのアルゼンチンと復活したハメス・ロドリゲス擁するコロンビアの一戦は、大嫌いなAmazonPrimeでの放送なので、ネットで確認するしかありません(泣)。