星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

第十七回 南座歌舞伎鑑賞教室  観劇メモ

2009-04-26 | 観劇メモ(伝統芸能系)

もう17年目になるという歌舞伎鑑賞教室。
去年に続き、今年も楽しんできた。

公演名    「第十七回 南座歌舞伎鑑賞教室」11時の部
劇場     京都南座
観劇日    2009年4月26日(日)
座席     自由席(1階5列)




一、解説「南座と歌舞伎」
案内:桂九雀

浅黄幕が落とされると「八幡宮」と書かれた背景が。
九雀さん、もう芝居に入り込んでいる。
上手奥には石の手水鉢。刀を抜き、エイヤッ!
割れた手水鉢の間を抜けて来て、九雀さんが観客にごあいさつ。
ふふ。今年の冒頭のお芝居。
南座年末の顔見世で2年続けて見た「梶原平三誉石切」でした♪

九雀さんの心地よい解説を聞きながら、ウォーミングアップ。
観客から募って、歌舞伎の衣裳を着て記念撮影という趣向、今回の役名は
私の知らない演目からだった。
平将門の娘、滝夜叉姫。
白地の衣装には蜘蛛の巣の刺繍があり、帯は体の前で結んでいた。
演目名は何だろう? 「忍夜恋曲者」かな?

南座の解説のなかで初めて知ったこと。
舞台のセリといえば中央に1つだけかと思っていたけれど、南座では大小
11のセリがあるそうな。登場人物が時間差で現れる時に使うのかな?
それらのセリを同時に、回り舞台の装置を使いながら見せてもらったのが
今回は一番トクした気分♪

そんな解説の後、吉弥さん、今年は白拍子花子でご登場。


二、京鹿子娘道成寺   長唄囃子連中
白拍子花子:上村吉弥
強力:片岡千志郎、片岡千次郎
後見:片岡當吉郎、上村純弥
振付:藤間勘祖、藤間勘十郎  照明:笠井信明  狂言方:吉田正清

<解説>
宝暦3年(1753年)、名女方の初世中村富十郎が初演した長唄舞踊。
能の「道成寺」を素材にした作品で、歌舞伎では女方が次々に衣裳を替え、
「引き抜き」という手法を使うのがみどころ。
花傘、振鼓(ふりつづみ)、鞨鼓(かっこ)、手ぬぐい等の小道具を使い、
若い女性の一途な恋心を様々に踊り分け、その美しさから女方舞踊の最高
峰とされる大曲。



道成寺ものを拝見する機会はけっこうあるけれど、京鹿子娘道成寺はなぜ
か年末の顔見世でしか見たことがない。
たくさんの演目のうちの1つとしてではなく、今回はこれだけを集中して
見たせいか、はたまた、顔見世ではすわれない1階前方席で見たせいか、
細かい振りまでよく見えて、とても楽しめた。
先月、長唄演奏会の舞台を見たことも関係しているかも。
吉弥さんでは初めて拝見する娘道成寺。とにかく私には新鮮に映った。

はじめに、聞いたか坊主ではなく、強力が登場。(人数の関係?)
二人ともクリクリ頭ではなく布の帽子をかぶっている。でも、だいたいの
台詞は同じだった。
○○づくしはなかったが、花子のことを「いま南座に出演中の美吉屋に
生き写し!」と言って笑わせる。

花子は舞台中央から登場。赤い着物に金の烏帽子。
花道まで進み、七三で鐘を振り返った時に、大向こうが一斉に「美吉屋!」
そこへ一拍遅れて「みよしや~」と、少年の声が聞こえた。
あまりに可愛らしくて自信なげな声に、なごむ客席。
花子はキッと鐘をにらんでいる。

赤から白、白から藤色と、藤色から黄色・・・というように次から次へと
衣裳替え。そのたびに後見の純也さん、真剣そのもの。
強力役の千志郎さん、千次郎も息をぴったり合わせている。

花子が扇をもって踊るのもきれいけれど、踊りで印象に残っているのは
白っぽい衣裳に着替えた後。
このとき、落ちてきた花びらを掌にとり、指でつまんでふっと吹く振付が
素敵だった。花びらを集めて手鞠りにし、鞠をつくところで拍手。

無邪気に楽しげに恋している様子も可愛らしかったけれど、吉弥さんは
やっぱり大人の女の切なげな踊りがいいなあ~。
間奏の後、藤色の着物に着替えて登場すると、いままでの早く明るい動き
とは変わり、ゆっくりした振りが続く。
しっとりとした演奏と唄に、吉弥さんの切なげな色気が香ってくる。
長唄の歌詞がときおり聞き取れるようになったせいだろうか、その踊りを
見ながらナント涙ぐんでしまった。左と右の指と指をからめて踊るところ。
手ぬぐいを持って紅で文を書く仕草・・・。

この演目ではうまいと思ったり、意外に若いとびっくりしたり、恐さを感
じたりすることはあったけれど、こんなところでウルウルしたのは初めて。
何度か入る後ろ振りもきれいだ。
情感をこめて踊る吉弥さんにすっかり見入ってしまった。
吉弥さんが後向きに投げた手ぬぐい、もうあと20cmのところで前席の人が
キャッチ。おしーいっ!

その後の早いテンポの踊りが続く。
両手に振鼓をもったり、体の前に鞨鼓をつけたり、このあたりは機敏な振
付がたくさん入っているので、終盤に向かってどんどん引き込まれてゆく。

釣鐘が下がってきて、赤い消し幕(九雀さんの解説にあったもの)も
やってきて、蛇体となった花子はついに鐘の上に駆け上る。
吉弥さん、今回もすご~く素敵だったな♪
6月の舞台では久々に立ち役が見られそうだ。

今回は間奏の時間も楽しかった。
先月見に行ったばかりの今藤佐敏郎さんら三味線やお囃子の人たち、その
時に初めて顔を覚えた長唄の人たちが舞台に並んでおられたから。
こうやってまた少しずつ、歌舞伎の楽しみが増えていくのかもしれない♪


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4 コメント

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よかったですね (とみ(風知草))
2009-04-26 22:45:17
>ムンパリさま
短縮版でしたが、充実のぶたいでした。恋の手習いは圧巻でした。
返信する
恋する女♪ (ムンパリ)
2009-04-27 00:46:33
とみさんは2回行かれたのですね!
吉弥さん、千穐楽の昼の舞台もよかったですよ~。
どのあたりが短縮なのかイマイチわからなかったのですが、
とみさんのブログで再確認させていただきました。

>恋の手習いは圧巻でした。
おっしゃる通りです。
あまりに素敵なんで息をつめて見つめてしまいました。
5月、6月も舞台の吉弥さんを拝見しますが、艶っぽい大人の
女性をぜひほかの舞台でも見たいものです♪
返信する
私も… (ぶーぶ)
2009-05-10 21:51:05
拝見すれば良かった

実は先日、たまたま『道成寺』へ行く機会があり、『絵とき説法』なるものをお聞きしたところなので、行きたいなあと思ったのですが、その時には既に終わってました。
返信する
また来年も! (ムンパリ)
2009-05-11 07:50:59
ぶーぶさん♪
この鑑賞教室は毎年あります。来年はきっといらしてくださいね。
歌舞伎の演目に所縁のあるお寺や神社に行くと、本当に
ウレシイものですね。お芝居が好きでよかったと思います。
京都の妙満寺には道成寺の鐘が保管されていますよ♪
機会がありましたらそちらもぜひどうぞ!
返信する

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