だいとう塾特別講座(1)からのつづきです。
●歌舞伎の役
どちらかといえば敵役が好き。理由は「ストレスがたまらないから!」
でも、ふだんは辛抱立役をやることが多い。
たとえば、封印切の忠兵衛。特に松嶋屋の型は(成駒屋のような見得も
なく)ギリギリまで我慢して我慢してというような役なので、精神的に
疲れるのだそう。
役を教わるにはその役を演じた人に聞くのが一番いいので、最近は必然
的に仁左衛門さんになるとのこと。
でも、意外と秀太郎さんに教わることも。それは十三代目の相手役をし
てきたから。我當さんは同じ立役でも仁左衛門さんと違うタイプなので、
いろんな役が学べて「恵まれた環境にいますね」とのこと。
当時は聞く能力もなかったので、もし今十三代目さんが生きていたら
教わりたいことがいっぱいある。唯一習ったのは勉強会で演じた『吃又』
の修理之助だけだそう。
『夏祭浪花鑑』は当代の仁左衛門さんがやったことのない演目で「やっ
たことのない役を教えるのは初めてや、言うてました」。
その時は十三代目さんが台本から書き抜きしていたものが何パターンか
あり、それを台本と照らし合わせ、今回はどれでやるかをいっしょに決
めていったそうです。
(十三代目さんに直接教わらなくても、こんなふうに伝えられていくも
のなんだな~と、ちょっと感動。)
今まで勤めた役は道成寺の所家にいたるまで全部好き。役を好きになら
ないと演じられないから。
今までで印象に残っているお芝居は? どの時代の役が好き?
「難しいですね。(かなり考えている)新幹線とフェラーリはどっちが
好きかと聞かれているようなもので。全然違うので選べません」。
ちなみに、今年は封印切りの八右衛門を2回演じるそうです。
忠兵衛役は扇雀さん(6月 六月博多座歌舞伎)、藤十郎さん(8~9月
公文協歌舞伎 西コース)
●楳茂都流家元襲名・ナレーション
「僕は本当に運がいいんです!本当に感謝しています」。
楳茂都流は知っていたし、十三代目とも親交があったけれど、このお話
には本当に驚いた。お引き受けするかどうかはかなり考えた、とのこと。
楳茂都流は他の上方舞の流派に比べて芝居がかっているものが多い。い
つか歌舞伎の舞台でも披露したい。
そちらの舞台が増えて、もっと忙しくなる?(河内さん)
今までの仕事にプラス、というより、舞踊公演のある月は他の舞台には
出ないので、その分時間がとれるようになったそうです。
ほかに、歌舞伎以外の仕事では「浪花の華 緒方洪庵事件帳」のナレー
ションを担当。本当は出演する予定だったのが語りだけになってしまっ
たらしい。「一人寂しく録音しました」。
●出石永楽館こけら落とし公演
芝居小屋とはまさにこんな感じだな~と思える体験だったとか。
「ただ、昔を再現するのは素晴しいことなんですけど、なにもこんな細
部まで再現しなくても。冷房をもうちょっと効かすとか。」
(会場でウケる。)
「博物館じゃないんだしそこまでお客さんに強要しなくても。松竹さん、
よろしくお願いします」(会場後方に笑顔で視線を送る愛之助さん。)
役者さんたちの楽屋もけっこう細部まで再現されているようでした(笑)。
今年の永楽館公演が実は日程的にあやうくなってきている、とも・・・。
●今までで一番感動したこと
応募ハガキのこの質問、今までで一番考え込んでいました。
考えあぐねている時、遠い目をしてマイクに顎を軽くのせるようにし、
顎をかす~かにコンコンとマイクにあてるような仕草を繰り返している
のが微笑ましくて♪(へんなとこをチェックする私・・・スミマセン。)
この質問だけ宿題みたいに後回しになってしまったのですが、話題が差
し入れの話になり、復活のチャンス♪
博多座で「イチゴが好き!」と言ったら楽屋の冷蔵庫がイチゴでいっぱ
いになってしまったとか。自分の冷蔵庫では足りないぐらい。
「イチゴくさいって言われたんですよー。」
一度白いイチゴをもらったことがあり、食べてみると甘くてすごくおい
しかった。「あ、これです。今までで一番感動したこと!」
答えが見つかり、とってもうれしそうな顔の愛之助さんでした。
●仲のいい役者仲間
亀治郎さん、獅童さん、松緑さん、海老蔵さん。
海老蔵さんはやっぱりああいう人?(河内さん、アバウトな質問。笑。)
「いい人ですよ。誕生日の当日はどこにいるの?って聞いてきて。今年
もわざわざ僕の誕生日に届けてくれたんですよ。焼き肉券!
11月に新橋演舞場に出た時も彼のほうが先に帰るんですけど、最後の出
番が終わって楽屋に戻ったら座布団の上に小さな紙きれが置いてあって、
また遊ぼ、って。海老蔵くんからでした」。(←ニコニコ顔で)。
●結婚・女性
3日前にお誕生日だったそうですね。そろそろ結婚の話は?と冒頭に聞
かれ、否定していたのですが・・・。
ハガキで寄せられた「独身主義者ですか?」という質問に反応して・・・
「結婚!今年しちゃいましょうか」と突然の重大発表。
「ええっ!」会場、どよめき。すかさず「あはははっ!」
本当は自分のことでいっぱいいっぱいで、そんな余裕はないのだそう。
(どれだけ忙しいかという話がしばらく続く・・・)
他の人はいったいどこで見つけてるんでしょうね、と勘太郎さんの話に
振ったりするところがちょっと怪しかったりして(笑)。
好きな女性のタイプは?(応募ハガキの質問)
いまは価値観の同じ人がいい。苦手なのは、たとえば食事に入った店で
お店の人にえらそうにする人。「そういう人はもうシャッターがらがら」
と片手でシャッターを閉める手つき(笑)。
女性を見るときに最初にどこを見る?(応募ハガキの質問)
「顔。目ですね。足を見るわけにはいきませんからね」。
女性のどんな仕草に魅力を感じる?(応募ハガキの質問)
「・・・・・・。うーん。」考えたあげく、気が利いて、ものをパッと
とってくれる人、という答えに「平凡ですね」と河内さん(笑)。
●ハガキから
タイムマシンがあったら会いたい人は?
初代仁左衛門。近松門左衛門。未来だったらUFO。
将来、ほん(脚本?)を書いてみたい気持ちは?
いい作品があって時間があれば書いてみたいですね。
パソコンは?
全くしません。壊れてしまったので。
秀太郎さんの役で好きなのは?
小春(河庄)、おえん(封印切)。おえんは特に自然体なところ。
役を演じる時に所縁の場所に行きますか?
時間があれば。「かさね」の与右衛門とか。何かあったら怖いから。
●上方歌舞伎・裏方さん
今までもこれからも大阪に住み続けるという愛之助さん。
「松嶋屋にご縁があって入れて頂き、十三代目の背中を見て、仁左衛門
学校で育った人間ですから。やはり関西の劇場で毎月歌舞伎がかかると
いうのが夢ですね。そのためにはお客さんに見に来ていただかないとい
けませんから」。私たちのほうに視線を移して・・・
「ぜひ一生見に来てください!」客席から思わず拍手が~。
(す、すごい。一生という言葉のこんな用法、ハジメテ♪♪♪)
舞台では裏方さんの仕事がとても大事。「僕らは出てるだけですけど、
裏方さんは大変なんですよね」と。幕が閉まっている時も昔の人は音だ
けで我慢できたけれど、最近はそういうことがわかってもらえない。
それから演奏者、職人さん。
特に床山さんは後継者がいないのだそう。衣裳さんも。
昔は衣裳も小道具もたくさんあったけれど、上方では最近芝居がかから
ないので作り替えもせず、どんどんいいものがなくなってしまう。
「そういう後継者の問題もあるんです」とのこと。
<追記>
写真は全部で23枚。
すっかり有名になった船のプロペラ、『歌舞伎修行』にあるお母さんに
抱かれた写真、おなじみ千代丸くん。それから10月に見た「御所五蔵郎」
の傾城逢州カラー写真にも再会できました♪
映画「築城せよ!」撮影中のスナップ写真が4枚。
「変な顔して撮ろう」と海老瀬さん、藤田さんと3人でとった写真、うま
い棒を手に持った殿様など、面白写真もありました。
新八犬伝、寺子屋、義賢最期、梅川(亀治郎さん)忠兵衛も見られました。
まだまだイロイロありましたが、本日はこれ切り!(笑)
大笑いした印象が強かったんですが、走り書きグチャグチャメモからこ
うしてまとめてみると、けっこういいお話もしてたんですね(笑)。
最後は客席に向かって、そして河内さんに対して、それぞれ「ありがと
うございました」と挨拶し、その後は車で東京に向かった愛之助さん。
「赤い城黒い砂」の台本を読みながら眠ってしまいませんように(笑)。
来週は東京の皆様が熱いレポを書いてくださることでしょう♪
だいとう塾特別講座(1)(このブログ内の関連記事)
●愛之助さんの過去のセミナー、講演レポ
「古典はともだち歌舞伎セミナー」第一部だけ(2006年12月)
「歌舞伎講座「片岡愛之助 歌舞伎への招待」(2008年3月)
講演会「愛之助」とわたし(1)(2008年5月)
講演会「愛之助」とわたし(2)(2008年5月)
7日遅れの福知山レポ(2008年10月)
やはりファンの皆様はご集結なさいましたか。お人柄が伝わるよい高座だったようですね。
花形歌舞伎のときにお話したセミナーはこのことです。
大笑いしながらも、歌舞伎の世界のことがそこはかとなく
わかる楽しいトークに大満足でした。
こういうセミナーこそ、もう少し大きな会場でもっと
たくさんの人が聴講できるといいなと思います。
吉弥さんのセミナーも楽しみですね!
とみたさん、星影土右衛門しらべましたよー。
遅れてきたファンには即答できませぬ(汗)。
それは2005年の新春浅草歌舞伎
「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」ですね。
団七は2007年だからたしかにヘンですねー(笑)。
仁左衛門さまのおっしゃってるのはおそらく主役の意味
なんでしょうね。
団七については秀太郎さんからも習ったか、アドバイスを
もらったようなことをどこかで読んだ気がします。
夏の八右衛門も仁左衛門さまの持ち役ですから、それを
教わるんでしょうかね。それとも成駒屋さんに合わせるのか、
いずれにしても楽しみですね・・・
と言いつつ、私、博多には遠征しないんです(涙)。
せめて西コースだけでも行きたいと思いますが。
「一生見てください」、にはインパクトありますね。
大阪に生まれ大阪を愛し、大阪で芝居をしたい愛さま。
引っ越そうかなあ・・・気取らない大阪。
> 触るのもおそれ多いような藤十郎さん
ホントにそうでしょうね(笑)。
「封印切」の話が出た時にそう言ってました。
八右衛門になって大先輩を踏みつけるのは大変。
やっぱり稽古場では気を遣ってしまう、って。
舞台でどれだけ開き直れるか見ものですね!
メモの字をまず解読することから始まって(笑)
単語から話のシチュエーションを思い出して書いています。
> 一生見てください」、にはインパクトありますね。
ハイ。耳に残った「一生」という言葉を反芻するたびに、
今でもちょっとドキドキしてしまいますね。
> 引っ越そうかなあ
私も遠征のたびに思います。公演期間限定ですが(笑)。
愛之助さんのためを思うと東京の舞台に出てほしいと思ったり、
いやいやもっと大阪で見たいと思ったり・・・。
ファン心理はフクザツなんですけれどね。