祈りの日。

16年前の震災の後、アンケートに答えたことがある。
たぶん市か、何かのメディアの依頼だったと思うけれど、FAXで回
答した時の控えが手元にいまも残っている。

全11ページ、質問数41。
質問内容は家の築年数や損壊状態に始まり、地震直後からの行動、
ライフライン断絶時の様子、避難場所での状況、通勤手段、価値観
にいたるまで多岐にわたり、こちらからの回答もかなり具体的に書
き込んである。いま読むとずいぶん気持ちのギャップを感じる部分
があったり、自分らしいなと苦笑する記述もある。
その時の感覚を自分自身忘れないために、一部をここに書き写して
おこうと思った。

1月17日朝、地震直後のことについてお尋ねします。
Q1 午前5時46分、最初に揺れたとき、とっさにあなたがしたことは？

悲鳴をあげながらベッドの上で半分体を起こした状態で、ただ天井を
見つめていた。（天井が落ちてこないか心配だったのと、飛び出すこ
とすらできなかった。）

（※このときの状況は4年前のブログに実況中継形式で書いた。）

Q4 間一髪、この偶然と幸運で命拾いしたこと、日頃からこんな配慮
をしているので助かった、という実例があれば教えてください。

・新築マンションに１年前に引っ越していた。
・すべての部屋がビルトイン式の収納になっているため、家具の下敷
きになったりすることがなかった。
・ベッドの周囲には倒れたり、落ちてきたりするものを置かないよう
にしている。天井の照明からは頭をずらして寝ている。

ライフラインが途切れた生活で役に立った道具、生活の知恵について
お聞きします。
電気が切れたとき
Q27 重宝した道具は？

大型のサーチライトや懐中電灯、携帯できる灯り。
特に山用のライトはクリップで衣服に止めたまま作業ができるので、
夜間でも水汲みや荷物運びに便利だった。（ヘッドバンド式なら
なおよかったと思う。）
昼間でもマンションの非常階段は暗かったので役立った。

水道が途切れた時
Q31 最も困ったことは？

飲料水、入浴、洗顔、トイレの水洗・・・ 水は生活のすべてである
ことに気づきました。一番困ったのは下水難。

最後に
Q40 震災後、あなたの中で価値観の変化したものはありますか？

物事の表面ではなく、本質が大切。人でも物でも本当に地に足がつい
たものだけを信用していこうと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・
以上。
毎年、この日が来ると思うのだけれど、震災直後に犠牲となられた人
はもちろんのこと、震災によって疲弊消耗し、寿命を縮めてしまった
人もたくさんおられたことにも思いを馳せたい。
生き残ったことに後ろめたさを感じる私が、自分にできる最低限のこ
とはこれだと思う。
「生かされた命を自ら断つことはしない」
「1年に1度は震災について書く」

だから、今年も1月17日を祈りの日にしよう。