星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

二月大歌舞伎 昼の部「通し狂言 彦山権現誓助剱」(2)

2011-02-11 | 観劇メモ(伝統芸能系)
(1)からのつづき。

<四幕目>
ポスターのにざ様、いや六助の額には赤い傷跡がある。
その理由が明らかになるのが四幕目だ。

一見なんの関係もない毛谷村の六助と、京極内匠。
それがアレヨアレヨで気がついたらパーフェクトな敵同士に!
そうなってゆくプロセスが見もので、これはコメディ? 
と思えるほど可笑しい場面もある。

親孝行な六助は母の墓参りに来ている。
そこへ現れたのが、老女を連れた京極!
年老いて耳の遠い母のために自分が勝つ姿を見せてやりたい。
そこで八百長勝負をして負けてくれないだろうか・・・なんて、
まるでTVのワイドショー番組がヨロコビそうな申し出を、武士の
京極が杣人の六助に持ちかける。
親孝行者の情にほだされた六助は快諾する。
実は・・・・・・。
えらいタイムリーなんで急きょ入れたネタかと思ったほど。
毛谷村の八百長は人の温情を利用した計略だからユルセマセン!
この八百長試合のあと、京極が六助の額にあんなことを。
(詳しくは後日。)

いかにも人の良さそうな六助を仁左衛門さんは機嫌良さそうに、楽
しげに演じておられる。が、どこかカッコよさを隠しきれない。
杣人なのになぜ強いの?
その身のこなし、この六助はいったい何者?

番付によれば、六助は宮本武蔵、京極は佐々木小次郎をあてこんだ
人物だそう。イヤホンガイドでも六助は宮本武蔵であることを匂わ
せた解説になっていた。これを頭に入れておくと楽しめる。
(武蔵は吉岡一門を絶やしたはずなのにここでは真逆!)


このあとがヨシモト?と思うようなツッコミどころ満載の場面へ。
だってー、身なりの上品な老女や、男の格好をした女が次々と六助
宅にやってきて、母にしてくれだの、妻にしてくれだの(笑)。
六助がビク!とまじめに驚いているところがますます笑える。

竹三郎さん演じるお幸が六助に向かって包みをピシッと投げるシー
ンが大好き。本気で笑った。
お園が吹き竹と間違えて尺八を吹いてしまうところは本気でツッコ
ませていただいた。かまどに尺八は置かヘんやろ、フツー!
竹三郎さんも孝太郎さんもまじめにオモシロイんだからっ。

ソウコウしているうちに、京極が我が師の敵とわかった瞬間の六助
の豹変ぶり。
ここからは義太夫狂言らしい糸に乗った台詞や、人形振りを思わせ
る表現が芝居に厚みをもたせて見せ場たっぷり。
怒りで庭の石を踏み込むところ、メリメリメリメリッと。
3階から見ていると、地面にめり込んだ大きな石が六助の足の下に
見えていた。

ここらあたりでひとまずアップ。
大詰を含めた2回目の観劇レポは次回!
コミカルな要素をふんだんに盛り込みながら、義太夫狂言の魅力を
損なうことのない演出。
通し狂言の楽しさがたっぷり味わえる演目だ。
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