岡山県議会議員 森脇ひさき

2023年の岡山県議選で5期目当選させていただきました。
「命と暮らし、環境が最優先」の県政へがんばります。

映画 「シッコ」 を観ました

2007-10-23 | Weblog
 アメリカには日本のような医療保険制度はありません。多くのアメリカ人は民間保険会社の保険に入りますが、民間保険にも入れず治療が受けられない人も少なくありません。映画「シッコ」は、保険に入れない人々の悲劇ではなく、民間保険に入っている、いわば普通のアメリカ人の医療事情を描いたものでした。市民によびかけたアンケートをもとに構成されています。

 〇事故で2本の指を切断し、接合手術を受けるべきところ、治療費が高く1本しか手術できなかった男性 〇交通事故で意識不明になり救急車で病院に搬送。救急車の搬送代金を保険会社に求めたところ「事前に連絡がなかった」と拒否され、「いつ連絡できると言うのよ!」と怒っている女性 〇病院の医師の判断で必要な治療をしたいと思っても、保険会社から「それは実験にすぎない」「治る見通しがない」などと拒否されるケース・・・
 保険会社は、とにかく保険金を支払わない、そのためなら徹底的に調べ上げると言います。申し込み時の「既往症覧」に、昔かかった忘れてしまっているような病気であっても「記載漏れは虚偽申請にあたる」とか・・・、保険会社に雇われた医者が判断を下すそうですが、拒否ケースが多い医者にはボーナスをはずむとか・・・。とにかく保険会社が支出しないようにしているわけで、アメリカの患者は病気と闘うだけでなく、保険会社との闘いも余儀なくされているということでした。
 病気治療のために借金を重ねて自己破産。娘夫婦の家の地下室へ引っ越すケースも紹介されていました。ご夫婦共稼ぎで、保険にもはいっている方です。
 高齢者で、治療をしても改善がみられないケースもあります。このような場合、当然のように保険は打ち切られることになります。自己負担できればいいわけですが、できない場合、病院が見てくれることなどありません。病院では片道だけのタクシー代は出してくれます。行き先はまさに「姥捨て山」。古ぼけた施設の玄関先で無理やりタクシーから放り出されるわけです。

 一方、カナダやイギリス、フランスは医療費は無料です。アメリカの事情と対比して、これらの国々の様子をムーア自身が取材していました。
 「無料で治療などできるはずない」とムーアは医師に「治療に制約があるのか」訪ねます。医師は「我々の判断で最高の治療をおこないます」とキッパリ。ある病院で「会計窓口」を見つけました。「やっぱりあるじゃないか」とムーアはそこにいた係員に尋ねました。係員は「ここは患者がお金を払うところではなく、受け取るところです」と。低所得の方々には交通費が支給されるのです。
 「きっと国民は莫大な税金を払わされているはずだ」とムーアはある家庭を訪ねました。もっとも大きな負担は「旅行費用かな」と夫婦はにっこり答えていました。「フランスで医療費が有料化されるとなればクーデターが起こるでしょう」とも語っていました。それくらい大事な制度です。

 日本の医療制度はこの約20年、負担が大きく大きくなりました。来年4月からは後期高齢者医療制度、75歳以上の高齢者だけを別の制度にし、新たな負担を押し付けるだけでなく、診療報酬に上限をもうけ、この病気には医療費いくらと、保険では治療を受けさせない仕組みを導入しようとしています。さらには全世代に拡大される危険もあります。アメリカ版の医療制度を許すのか、あるいは医療を守る闘いを大きく広げ、改悪阻止、そして充実へ道をひらくのか、重要な岐路に立っています。
 映画「シッコ」はシネマ・クレール丸の内で、11月16日まで上映されています。まだの方、ぜひ観られてはどうでしょうか。 
 
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