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70代での移住生活

筆で字を書くこと

日常の中で
筆を使うことは
なかなか無い

パソコンは止めたが
スマホは使っている

紙に書く時は
鉛筆かボールペン

昔の人の手紙を見ると
筆で書いてあって
皆んなうまいなぁーと
感心する

あんな手紙が
書けたらいいな

昔学生の頃
書道の時間があったのかさえ
忘れている


息子に法華経の写経を
した方がいいよ
と言われて
写経をする事にした

どうせなら筆で
書いて見ようと思って
筆ペンを買ってきた

一回目は半紙に書いて
壁に貼ってみた

二回目は少し字が
上手くなってきた

三回目の途中から
替えのインクも無くなって
筆ペンをやめて
細筆で墨汁を付けて
書いてみる事にした

筆ペンと全然違う

なんか味があって
書きやすい

筆の違いなんだろう

もっと早く墨汁で
書けばよかった


昔工芸作家と書家の
コラボ展をやっていた

作家は字くらいは
書けないとなぁ
という事で

皆んなで集まって
書家の船本先生に
書を習う事になった

年に一度の展示会の前は
書を書くのに忙しい

アトリエに泊まり込みである
夕方から集まって
書き始め晩飯を食べて
また書き出す

朝になると
行ってきますと言って
それぞれの仕事場へ

また次の日も
同じ感じ

何日か書いていると
上手くなるもんだ

もちろん先生の指導もいい

展示会には
各自の工芸作品と
書の作品も並べる

こんな事を何年もやって来た

中断しては
また何年かして
また始める

書道と革と七宝焼は
いつも同じメンバーだったが

工芸のメンバーは
変わっていった

陶芸家がいたり
ガラス作家がいたり
木彫家がいたり
折り紙作家がいたり

皆んな一流の作家達だった

それぞれの仕事場に
体験しに行ったりした

群馬の陶芸家の所へは
泊まり込み
奥さんの実家が酒蔵で
酒蔵で飲む酒は
格別だった

伊豆の一碧湖の陶芸家は
笠間で笠間焼を習って

歯医者さんをしていたが
陶芸家になって
一碧湖の別荘地に引っ越し
わざわざ
伊豆から横浜まで
字を書きに来ていたし

我々も
泊まり込みで陶芸を作りに
一碧湖に行って

いろいろ作らせてもらった


書の雑誌が
今でも送られてくる

後ろの方に
手本が書いてあって
皆んなが提出するように
なっている

昔習っていた頃は
何度も書いて
見てもらっていた

そういえば
最近書いてないな

筆を取って書いてみた

我ながらうまいんじゃない?
なんて感心しながら
何枚か書いてみた

筆はいいね

また少し書いて見よう


子供に
写経を筆で書かせたら
面白いかななんて
思っている

法華経は
漢字とひらがなとカタカナ
で書かれている

難しい字や
読めない字が
あってもいいじゃない

同じように
真似して書いてみたら
どうだろう

大人もやってみたら
どうだろう


また忙しく
なりそうだ




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