看護師に求められる要素は、あらゆる書物で、さまざまな角度から色々な表現で述べられているが、私なりの見解を残しておきたい。
看護師に求められる要素。それは、端的に
※看護師として必要な能力
と捉えて差し支えないだろう。そう考えると、まず最低限必要なものに、
①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術
が挙げられる。これは、基本的には身に付けば付くほど邪魔になるものはなく、これから述べる能力に付加して看護師としての能力にシナジー(相乗効果)的に作用する要素であるといえる。
マクロ的技術とは、肉眼的と表現しているように、精神科には精神科の、外科病棟には外科病棟の、ICUにはICU独特の知識と技術がある。これらのことを言っているのだが、精神科に勤務していても、また、ICUに勤務していても、その他の技術があるからといって邪魔になることはなく、むしろ広い視野で思考する事が出来、その技術が、役に立つ事もある。もちろん、その視野の広さが仇となって、当該病棟のstaffと折り合いが付かず、チーム医療が遂行できないということもないことはない。しかし、これは、マクロ的技術が豊富だから起こった問題ではなく、またべつの“看護師としての要素”が欠けているからであることをまずは理解して欲しい。ここで“欠けている”と表現しているものの、誰しもどこかの能力はあったりなかったりするものであることも同時に理解しおいて欲しい。
次に、
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力
これは、ごく基本的なことであるが、これが欠けてしまえば、信頼を損ねたりする事もあるし、一つの技術を磨く事の弊害となることは明白。また、これが物事の“持続力”に大きな影響を及ぼし、多少の能力の問題もカバーする事が出来る。ここでも誤解のないように説明しておく必要があろう。能力の問題は、多少を問わず誰しもがもっている。つまり、2と能力は双方が相対的に成り立っていることを意味していることを理解していただけるだろうか。
③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
指揮・監督する能力は、プリセプターやナーシングチームのリーダーなど、管理職でなくとも必要である事は周知の事実であるが、仮に新人であってもそれは必要である。そこで求められるのが、指揮・監督能力の冷静な考察力である。指揮・監督しているものの難しさは、その立場に立った人間が一番よく理解している。その立場にたった事のない人間は、当たったか当らずかは関係なく、好き放題注文をつける。そこで、一度振り返ってもらいたいのが、冷静に考察する能力である。少なくとも、一定の役職についている人間は、何かの部分で目立っているから抜擢されたのであって、全く無能であるというわけではない。世間からいえば、無能とされる者が役職についていると疑問視される事も多いが、これら、必要とされる能力のどれかが経営者の目にとまり出世できたのであるから、その点は見習うべきであろうし、ここを冷静に理解する必要があるところである。もし、評価される点が間違っていても個人を恨むのではなく、その企業体を冷静に評価すればよいだけの話である。
④チームを中心とした意識を持つ
“私だけ動いているのに”
“これほど忙しいのに何故、あなた達は、そこで手をとめて話をしているのだろうか”
このように、色々と思ったことはないだろうか。これは、自分自身が中心となっているために現れてくる発想である。変化を求めなければ、このような感情は、おおよそどの場面でも浮き出てくる。作業効率の良いスタッフであれば、尚更であろう。これは、個人プレーとしては、せかせかと業務をこなしており、一部としては評価されても良いが、チームプレーとしては評価されがたい。この詳細を見極めて評価できる管理者がどれだけいるかというのも疑問であるが、そこは置いておくとして、まずは、我々一個人の意識の改革を重要としなければならない。
※まずは、一見動いていない様に見えるスタッフは、どのように優先順位を考えているかを、相手の立場になって、長時間考えてみる。
このことが重要となってくる。その時は、業務に忙しく、考える時間もないだろうが、家に帰ってゆっくり相手の立場になって考えてみれば、少しは状況が把握できてくる事もある。逆に、自分自身が、その立場になり、そう見られてるとはしらずに平然と業務をしているときもあることにも気付くだろう。
そこで、期待されたような答えが出なかったとしても、固定観念を持ってはいけない。そこで、周りが見えなくなっている人間をどのように業務に導けばよいかを考えればよい。さらに、自分自身が業務をおこなっていることの正当性をあわせて評価し、相手の当番や役割分の立場も合わせて冷静に見てみる必要があろう。最終的には、業務に導けない自分への評価、そして、自分は仕事が出来ているという自己陶酔への評価もしてみると良いかも知れない。
ここに、自分がチーム医療を育むという事の意識と、相手をチーム医療に引き込むという意識の相補関係が成り立つ。
⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。
システム上のフォローとは、書類、事務的な処理、管理職からのフォローの事。人的フォローとは、その後の個人的フォローをいう。管理職の人間が、個人的フォローに回れば、これは、人的フォローともなり得ることはいうまでもない。
ヒューマンエラーは、確実におこり得る。医療においては、人命に直結することも少なくない事から、許されがたいものとされているが、ヒューマンエラーをゼロにすることは不可能である事は世間にも理解されているところであり、そこには大きな拮抗関係が生じている。ただし、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づける努力は惜しんではならず、その努力の一環としてのシステム上のフォローと、人的フォローは、双方重要なウェイとを占める。
相手のミスを責め立てたり、見つけて指摘し、放置するだけの事であるなら、自己満足の域を超えない。ミスの指摘から、共同してミスに対して見つめあうことが最も求められている事であり、同時にこれは、4で述べたようなチーム医療に大きな影響を及ぼす事項であることも理解されたい。
以上、
①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力
③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
④チームを中心とした意識を持つ
⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。
という①~⑤の要素を、まずは強烈に意識してみる事を目標に1年取り組んでみてほしい。1年後には、自分のキャパシティの変化に気付ければ儲け物というもの。またその頃には次の課題が明確になり、看護師としてだけではなく、“人間として”の大きなステップを踏む事になる。
☆お知らせ☆ 当NPOのロゴDesignを請け負ってくださった
田辺 富士男氏のHPは
こちら!!!
なかなか粋なHPですよ。・・・ですが、重いので、結構なスペックがいるかもしれません。覚悟してごらんアレ。
---------------------------------------------
※NPO泉州精神看護研究会への寄付金・募金を正式に開始いたします。以下の振込先ですが、お振込みの際は必ずmoth3@mail.goo.ne.jp宛てにご連絡ください。募金に関しては、使途を明確にし医療の発展に役立てたいと思います。
---------------------------------------------
振込先:三菱東京UFJ銀行和泉支店(店番210)
普通口座 4631947
口座名義 泉州精神看護研究会 ナカオ
---------------------------------------------
※NPO泉州精神看護研究会の会員を暫定的に募集いたします。ご興味のある方は、まずはmoth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。
---------------------------------------------
※拙著「精神科看護師、謀反」をご入用の方は、moth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。送料は、当方負担で無料送付(本代別途)させていただきます。
ランキングのクリックが6つもあり、不評ですが地道にお願いいたします↑↑
看護師に求められる要素。それは、端的に
※看護師として必要な能力
と捉えて差し支えないだろう。そう考えると、まず最低限必要なものに、
①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術
が挙げられる。これは、基本的には身に付けば付くほど邪魔になるものはなく、これから述べる能力に付加して看護師としての能力にシナジー(相乗効果)的に作用する要素であるといえる。
マクロ的技術とは、肉眼的と表現しているように、精神科には精神科の、外科病棟には外科病棟の、ICUにはICU独特の知識と技術がある。これらのことを言っているのだが、精神科に勤務していても、また、ICUに勤務していても、その他の技術があるからといって邪魔になることはなく、むしろ広い視野で思考する事が出来、その技術が、役に立つ事もある。もちろん、その視野の広さが仇となって、当該病棟のstaffと折り合いが付かず、チーム医療が遂行できないということもないことはない。しかし、これは、マクロ的技術が豊富だから起こった問題ではなく、またべつの“看護師としての要素”が欠けているからであることをまずは理解して欲しい。ここで“欠けている”と表現しているものの、誰しもどこかの能力はあったりなかったりするものであることも同時に理解しおいて欲しい。
次に、
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力
これは、ごく基本的なことであるが、これが欠けてしまえば、信頼を損ねたりする事もあるし、一つの技術を磨く事の弊害となることは明白。また、これが物事の“持続力”に大きな影響を及ぼし、多少の能力の問題もカバーする事が出来る。ここでも誤解のないように説明しておく必要があろう。能力の問題は、多少を問わず誰しもがもっている。つまり、2と能力は双方が相対的に成り立っていることを意味していることを理解していただけるだろうか。
③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
指揮・監督する能力は、プリセプターやナーシングチームのリーダーなど、管理職でなくとも必要である事は周知の事実であるが、仮に新人であってもそれは必要である。そこで求められるのが、指揮・監督能力の冷静な考察力である。指揮・監督しているものの難しさは、その立場に立った人間が一番よく理解している。その立場にたった事のない人間は、当たったか当らずかは関係なく、好き放題注文をつける。そこで、一度振り返ってもらいたいのが、冷静に考察する能力である。少なくとも、一定の役職についている人間は、何かの部分で目立っているから抜擢されたのであって、全く無能であるというわけではない。世間からいえば、無能とされる者が役職についていると疑問視される事も多いが、これら、必要とされる能力のどれかが経営者の目にとまり出世できたのであるから、その点は見習うべきであろうし、ここを冷静に理解する必要があるところである。もし、評価される点が間違っていても個人を恨むのではなく、その企業体を冷静に評価すればよいだけの話である。
④チームを中心とした意識を持つ
“私だけ動いているのに”
“これほど忙しいのに何故、あなた達は、そこで手をとめて話をしているのだろうか”
このように、色々と思ったことはないだろうか。これは、自分自身が中心となっているために現れてくる発想である。変化を求めなければ、このような感情は、おおよそどの場面でも浮き出てくる。作業効率の良いスタッフであれば、尚更であろう。これは、個人プレーとしては、せかせかと業務をこなしており、一部としては評価されても良いが、チームプレーとしては評価されがたい。この詳細を見極めて評価できる管理者がどれだけいるかというのも疑問であるが、そこは置いておくとして、まずは、我々一個人の意識の改革を重要としなければならない。
※まずは、一見動いていない様に見えるスタッフは、どのように優先順位を考えているかを、相手の立場になって、長時間考えてみる。
このことが重要となってくる。その時は、業務に忙しく、考える時間もないだろうが、家に帰ってゆっくり相手の立場になって考えてみれば、少しは状況が把握できてくる事もある。逆に、自分自身が、その立場になり、そう見られてるとはしらずに平然と業務をしているときもあることにも気付くだろう。
そこで、期待されたような答えが出なかったとしても、固定観念を持ってはいけない。そこで、周りが見えなくなっている人間をどのように業務に導けばよいかを考えればよい。さらに、自分自身が業務をおこなっていることの正当性をあわせて評価し、相手の当番や役割分の立場も合わせて冷静に見てみる必要があろう。最終的には、業務に導けない自分への評価、そして、自分は仕事が出来ているという自己陶酔への評価もしてみると良いかも知れない。
ここに、自分がチーム医療を育むという事の意識と、相手をチーム医療に引き込むという意識の相補関係が成り立つ。
⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。
システム上のフォローとは、書類、事務的な処理、管理職からのフォローの事。人的フォローとは、その後の個人的フォローをいう。管理職の人間が、個人的フォローに回れば、これは、人的フォローともなり得ることはいうまでもない。
ヒューマンエラーは、確実におこり得る。医療においては、人命に直結することも少なくない事から、許されがたいものとされているが、ヒューマンエラーをゼロにすることは不可能である事は世間にも理解されているところであり、そこには大きな拮抗関係が生じている。ただし、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づける努力は惜しんではならず、その努力の一環としてのシステム上のフォローと、人的フォローは、双方重要なウェイとを占める。
相手のミスを責め立てたり、見つけて指摘し、放置するだけの事であるなら、自己満足の域を超えない。ミスの指摘から、共同してミスに対して見つめあうことが最も求められている事であり、同時にこれは、4で述べたようなチーム医療に大きな影響を及ぼす事項であることも理解されたい。
以上、
①看護師としてのマクロ的(肉眼的)技術
②継続して勤務する事の出来る体力と精神力
③指揮・監督能力、またはそれを考察する冷静な能力
④チームを中心とした意識を持つ
⑤ヒューマンエラーに関して、システム上のフォローに加えて人的フォローを忘れてはならない。
という①~⑤の要素を、まずは強烈に意識してみる事を目標に1年取り組んでみてほしい。1年後には、自分のキャパシティの変化に気付ければ儲け物というもの。またその頃には次の課題が明確になり、看護師としてだけではなく、“人間として”の大きなステップを踏む事になる。
☆お知らせ☆ 当NPOのロゴDesignを請け負ってくださった
田辺 富士男氏のHPは
こちら!!!
なかなか粋なHPですよ。・・・ですが、重いので、結構なスペックがいるかもしれません。覚悟してごらんアレ。
---------------------------------------------
※NPO泉州精神看護研究会への寄付金・募金を正式に開始いたします。以下の振込先ですが、お振込みの際は必ずmoth3@mail.goo.ne.jp宛てにご連絡ください。募金に関しては、使途を明確にし医療の発展に役立てたいと思います。
---------------------------------------------
振込先:三菱東京UFJ銀行和泉支店(店番210)
普通口座 4631947
口座名義 泉州精神看護研究会 ナカオ
---------------------------------------------
※NPO泉州精神看護研究会の会員を暫定的に募集いたします。ご興味のある方は、まずはmoth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。
---------------------------------------------
※拙著「精神科看護師、謀反」をご入用の方は、moth3@mail.goo.ne.jpまでメールをお送りください。送料は、当方負担で無料送付(本代別途)させていただきます。
ランキングのクリックが6つもあり、不評ですが地道にお願いいたします↑↑
まず感じたこと、
①私の職場と同じ状況の病院があるんだ。精神科病院ってやっぱどこもこんなもんか。
②私と同じような考えの人がいるんだ。
です。
共感できる部分が多いです。
最後まで読んだ後また感じたことを書きます。
追伸
とにかく現状は寂しい限りです。病院なのに患者さんが忘れ去られています。
これ、もっさんの見解ですかー?
すばらしっ!このようにできるように頑張ろうと思います。というか、このようにできないから日々努力が必要なんですよね。
お返事遅くなりました。私が本で訴えたかったのは、さまざまな角度からのことなのですが、やはり奇麗ごとでの看護や自己満足の看護の感覚に陥ってほしくないという気持ちが強かったですね。
残念ながら、活字で全員に思いを伝えるということは、できませんが・・・。
私が本書で述べていることは、不可能なことでもませんし、人が入院している環境では、そうすべき当たり前のことを書いたまでです。ただ人というものは、当然私も含めて感覚が“麻痺”するいきものですから、この本が一つの薬になればと願っています。
はい。完全に私の見解ですね^^
読むのもだるいと兄に言われました(笑)
はじめまして^^コメントありがとうございます。
基本的に精神科とその他、厚労省の表記する一般病棟とは、看護基準、つまり、実質配置基準に伴う入院基本料は違います。
また、急性期を新設する上での注意点ですが、漠然としたご質問なのでここで語りつくせるものではないのですが、簡単に言いますと、
①設備上の問題・・・これは、後々救急搬送時、患者さんを搬入し易いかどうか、隔離拘束しやすいかどうか、試験開放等がしやすいか、眼が行きとどきやすいか、他にも色々ありますが、これらに関連した設備上のことがらを言います。
②隔離拘束の法的な問題。これは、精神保健福祉方を明確に理解し、適切で万全な対応が取れるようstaff、書類上とも完全にしておく事。
私が、まず触れておきたいことは、これらを中心とした事項ですね。
と・・・人間はフィードバック大事なはずなんで。正直たくさん勉強なります。私が勉強不足であることを日々痛感致します。だから認め方がわからなかったのでしょう。身近で共に働いていながら一つ一つを受け止めようとせず違う方向へあえて顔を背けたり、見ようとしなかったり、持論に偏ったり共感したり、自分を受け止めることさえもしなかったり・・・
もっと病棟のシステム改善や組織としてのあり方、自分を含め看護職員のスキルアップとあらゆる看護というもの、人を看るというものに対する認識の向上、あらゆる偏りすぎた価値観の変容が遂げられるよう日々研鑚につとめていきたく思います。同時に、まずは人を信じるという、人が人として生き、人として在るために必要且つ当たり前且つ一番難しい、しかし初歩的な部分から私は始めてみる必要があると今日は思います。明日はわかりません
法人認可取得改めておめでとうございます
法人認可取得おめでとうございます。
もっさんの仰る
※看護師として必要な能力
御意でごさいます。
考えていることを文章にする能力スゴイですね。
私は「個人技」としてにしていることがあります。
これらは、個人のキャラによって違うため
殆ど真似できません。
もし、単純に真似をすれば大怪我をします。
①距離感(相手とのピントの合わせ方)
②タイミング
③言葉持つのニュアンス
この3つを大切にしております。
おひさしぶりです。さほどほめられる文章でもないですよ。いつも仲間には誤字・脱字を指摘されますし(汗)
ゆる看さんのおっしゃる①~③、私も意識して起きたいと思います。大事なことですよね。