この問題に関しては、看護師の反応が非常に薄い。危機感を募らせているのは私だけだろうか。
最近辛口のコメントが少ないので私に対して期待している方もいるかもしれないが、できるだけ柔らかく説明するよう心がけたい。皆さんはこのフィリピン人介護士受け入れのニュースを見て、どのように感じただろうか。多くは
「そうか、将来の少子高齢化にむけてそういう手段があったのか。いい方法だ」と思ってはいないだろうか。
そう思った方がいるのであれば、即刻改めていただきたい。“共存共栄・助け合い”という言葉の元に根本の問題となるものが隠れてしまっていることに気付くべきだ。
できるだけわかりやすく説明してみる。
まず、フィリピンという国自体が外国で働くことを推奨しているということを頭に入れていただきたい。これは、介護士・看護師という職業に限った話ではない。そこに、小泉首相がフィリピンと約束を交わし日本の介護士・看護師不足にこの手立てを打とうとしたものが今回問題としたところである。
小泉首相も馬鹿ではない。もちろん、フィリピン人が日本で働く為のハードルは高くしている。言葉の壁と資格(介護であれば、ヘルパー資格ではなく、介護福祉士資格でなければならないなど)による調整だ。これで、大量の流れ込みを防ぎ、且つ政治的にも友好を示す為のカードをきったことにもなる。小泉首相からすれば、できるだけ受け入れたくない構えのように伺える。
だが、よく考えてみてほしい。医療関係の職業において、フィリピン人を受け入れることは私達看護師をも追いやる、そして、国益を損ねることにもなりかねないという事態が起こりうるのだ。
少子高齢化による人手不足
この言葉に、だまされてはいないだろうか。フィリピン人を受け入れる前にまずすることがある。64万人(2004年度)の可能性を秘めた日本人労働力の活用である。この数字は何かおわかりだろうか。
いわゆる、ニート(NEET)の人数である。この、可能性を秘めた労働力を何故放置するのか。この問題の根本的解決法を編み出す事が、労働人口の不足を補い、直接国益に寄与させることに繋がるもっとも手早い方法であることを国民全体に周知させたい。私に言わせれば、この問題を抜きにして外国人を日本に受け入れることはありえない。他にも大きなリスクがあるのに、それを何故受け入れられようか。様々な要因があろうが、完全失業率も300万人弱はいる。潜在的に看護師資格を有したものも考えると、今フィリピン人を受け入れることは、時期尚早。むしろ必要ない。まずは、NEET問題をはじめ、ここまでに述べた問題を解決することが先決である。
フィリピンは、発展途上国という位置づけ。国民一人当たりの所得平均も日本人のほうが高い。“出稼ぎ”という形をとっているフィリピン人も多い。外貨を獲得する為に、フィリピン人は必死に出稼ぎに来る。
問題は、いくら日本で就労するための介護・看護師のハードルを高めようと同じであるということ。ハードルが低ければ、質の悪い外国人が大量流入。治安の悪化も免れない。ハードルを高めても、ハードルが低いときに比べれば流入数は減少するだろうが、今度は質の高いフィリピン人介護・看護師が流入する。
外国人の質の高い介護・看護師の流入。これを「良いこと」と思っていないだろうか。今回の問題においてそう思ったのならば、医療関係者であるあなたは完全に危機感が薄い。
給与体系がどのようになるかという問題もあるが、確実に私達医療関係者の一部は職場を追いやられる。患者に満足な介護・看護を提供できないとしても、施設としては経営上人数が満たせている。数は不足しているのに、日本人看護師は就職できないなどということもありうる。景気は回復しているとはいえ、全体的な有効求人倍率は1.0倍程度。看護師のそれは別と見ても、将来看護師の就職難もありえない話ではなくなる。
人手不足解消に打って出た策が、解決しないだけではなく、無駄に労働問題を大きく複雑にしてしまったということにもなりかねない。さらには、差別問題へと発展し不要な文化摩擦も起こりうる。そこまでの危険をはらんで、今するべきことなのかどうか。政府には慎重に考えていただきたい。
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最近ますます面白くない記事になってきて重症ですが、一つずつクリック願いま~す。面倒くさいのはわかってます!!でもお願いします!!!
最後までご閲覧いただきありがとうございます。ここで宣伝。拙著本「精神科看護師、謀反」も一人5冊ずつ買うべし。
面白くなかったらごめんね。よろしく。
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そう思った方がいるのであれば、即刻改めていただきたい。“共存共栄・助け合い”という言葉の元に根本の問題となるものが隠れてしまっていることに気付くべきだ。
できるだけわかりやすく説明してみる。
まず、フィリピンという国自体が外国で働くことを推奨しているということを頭に入れていただきたい。これは、介護士・看護師という職業に限った話ではない。そこに、小泉首相がフィリピンと約束を交わし日本の介護士・看護師不足にこの手立てを打とうとしたものが今回問題としたところである。
小泉首相も馬鹿ではない。もちろん、フィリピン人が日本で働く為のハードルは高くしている。言葉の壁と資格(介護であれば、ヘルパー資格ではなく、介護福祉士資格でなければならないなど)による調整だ。これで、大量の流れ込みを防ぎ、且つ政治的にも友好を示す為のカードをきったことにもなる。小泉首相からすれば、できるだけ受け入れたくない構えのように伺える。
だが、よく考えてみてほしい。医療関係の職業において、フィリピン人を受け入れることは私達看護師をも追いやる、そして、国益を損ねることにもなりかねないという事態が起こりうるのだ。
少子高齢化による人手不足
この言葉に、だまされてはいないだろうか。フィリピン人を受け入れる前にまずすることがある。64万人(2004年度)の可能性を秘めた日本人労働力の活用である。この数字は何かおわかりだろうか。
いわゆる、ニート(NEET)の人数である。この、可能性を秘めた労働力を何故放置するのか。この問題の根本的解決法を編み出す事が、労働人口の不足を補い、直接国益に寄与させることに繋がるもっとも手早い方法であることを国民全体に周知させたい。私に言わせれば、この問題を抜きにして外国人を日本に受け入れることはありえない。他にも大きなリスクがあるのに、それを何故受け入れられようか。様々な要因があろうが、完全失業率も300万人弱はいる。潜在的に看護師資格を有したものも考えると、今フィリピン人を受け入れることは、時期尚早。むしろ必要ない。まずは、NEET問題をはじめ、ここまでに述べた問題を解決することが先決である。
フィリピンは、発展途上国という位置づけ。国民一人当たりの所得平均も日本人のほうが高い。“出稼ぎ”という形をとっているフィリピン人も多い。外貨を獲得する為に、フィリピン人は必死に出稼ぎに来る。
問題は、いくら日本で就労するための介護・看護師のハードルを高めようと同じであるということ。ハードルが低ければ、質の悪い外国人が大量流入。治安の悪化も免れない。ハードルを高めても、ハードルが低いときに比べれば流入数は減少するだろうが、今度は質の高いフィリピン人介護・看護師が流入する。
外国人の質の高い介護・看護師の流入。これを「良いこと」と思っていないだろうか。今回の問題においてそう思ったのならば、医療関係者であるあなたは完全に危機感が薄い。
給与体系がどのようになるかという問題もあるが、確実に私達医療関係者の一部は職場を追いやられる。患者に満足な介護・看護を提供できないとしても、施設としては経営上人数が満たせている。数は不足しているのに、日本人看護師は就職できないなどということもありうる。景気は回復しているとはいえ、全体的な有効求人倍率は1.0倍程度。看護師のそれは別と見ても、将来看護師の就職難もありえない話ではなくなる。
人手不足解消に打って出た策が、解決しないだけではなく、無駄に労働問題を大きく複雑にしてしまったということにもなりかねない。さらには、差別問題へと発展し不要な文化摩擦も起こりうる。そこまでの危険をはらんで、今するべきことなのかどうか。政府には慎重に考えていただきたい。
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最後までご閲覧いただきありがとうございます。ここで宣伝。拙著本「精神科看護師、謀反」も一人5冊ずつ買うべし。
面白くなかったらごめんね。よろしく。
人の命を預かる職場に働いていらっしゃるわけですから、質の高い一体に取って代わるのは仕方のないことでしょう。
もっさんの感じている危機というものは存じ上げているつもりですけどね。
それとNEETの問題ですが、彼らがどの程度の可能性を秘めているのかは、多少の疑問を感じずにはいられません。
彼らが自分に対してどの程度の危機感があるのかアヤシイものですし、それを半ば容認している親にも問題がありますよね。
もちろん彼らが能力を身につけ就職をすれば、今回のような外国人労働者の受け入れなど有り得ない話ですが、NEETと呼ばれているにも関わらず、その言葉に対する疑問も抱かずに親の脛を囓り続けている人間がなんと多いことか・・・
人種差別の問題や、文化摩擦は間違いなく起きる問題ですし、一見すると安易に可決するつもりなのか?と疑いたくなるような、今回の政府の動きには多くの??が付きまといます。
ですが今回のこの問題は、看護士・介護士の方だけではなく、現在、職に就いていない方たちにも問題視していただきたいと思います。
今後全ての職に関して、同様の問題が出て来るでしょう。
フランスのようなことになる可能性もあります。
私はそれがとても怖いと思っております。
今、ダヴィンチコードのTVを見ながらコメントしています。
デスさんのおっしゃるように、外国人が増え、一部の日本人医療者が追いやられることで一時的に医療の質が上がったとしても、それは本の一瞬の出来事だと思います。医療の質が奇跡的に向上したとしても、日本人失業者等々の問題から、間接的に影響し間違いなく、すぐにでも医療の質は再低下してしまうでしょう。これは医療単独の問題ではありません。完全な政治問題です。デスさんのように、危機感のもってらっしゃる人が多ければ安心ですが、医療従事者の中に政治問題に疎い人間が多すぎる。医療と政治はまったく別物だと思っているものが大半だと私は感じております。
NEETの問題ですが、これは個人の能力の問題も少なからずあるのでしょうが、やはり国家のあり方に問題があり、その結果生じたものだと私は思っています。今の日本でも、平等・共存・など表面だけの幻想に夢を描いている平和ボケの日本人ですから、移民問題にも何の疑問も思っていないでしょう。むしろ、移民は大歓迎といったところではないでしょうか。その結果、フランスのようなすぐに暴動が起きる国になるともしらずに・・・。
今回は、看護師として医療従事者の観点から述べましたが、デスさんのおっしゃるように他職種にも同様に起こりうる問題であると思っております。
バシッとコメントくださって、ブログが引き締まりましたよ^^
医者はそれに見合う待遇を受けていますが、看護師の待遇は労働環境からするとあまりにもお粗末だと思えます。医療の場では医師と看護師は対等の立場、対等の労働条件であるべきです。患者として看護師の待遇改善を心から支持します。
ニートの問題ですが、これは我々団塊の世代の責任のような気がします。親が丸抱えだからニートでおられるのです。私たちの時代には学校を卒業したら働くのが当然でした。健康な人間が働かないでおられること自体が信じられません。
ニートの人たちも親がいなくなれば働かざるを得なくなるわけですから、その働き口として介護の仕事、雑役等が考えられるのかも知れません。
日本には世界一難しい日本語という障壁がありますから、西欧諸国のようにはならないと思いますが、真面目に働く外国人には門戸を開いておくべきでしょう。
コメントありがとうございます。どの問題点に着目するかにもよりますが、NEETが親の責任であるとすれば、それが国の責任に繋がるということはおわかりかと思います。ですので、dochinnさんなどのいわゆる団塊の世代が、ということでもないと思いますよ。また、親がいなくなれば、働くのかというと単純にそうも行かないような気がいたします。もちろん、大半はそうなるでしょうが、一部は犯罪等に加担するものもあるのではないでしょうか。犯罪だけではなく、他にも新たな問題が出現するような気がいたします。
移民問題ですが、日本語というものがそのブロックにはるとは決して思えません。そして、まじめに働く外国人だけを受け入れるということも物理的に不可能だと思っています。移民問題は、日本の将来がかかっております。議論する価値はありますが、受け入れるにはリスクが高すぎます。
先進国といわれる国々では安い人件費で人を雇え、人手不足が解消するのだからOK、来る人も自国に居るよりお金が稼げてハッピー。そんな単純な問題ではないですよね。
途上国の農民が先進国に輸出する換金作物をつくり、自分達の食生活を危うくする。同様に人材流失でその国の保健医療福祉は停滞したまま。簡単な感染症で子供がコロコロ死んでいく。この状況を作り出しているのは先進国の消費と自分達さえ良ければ、貧しく、困る人が出ても構わない(そういう状況を知ろうともしない訳ですが)ことが背景にある。看護・介護労働者の移動の問題はこういう側面も考えながら議論して欲しいと思います。
コメントありがとうございます。おそらく、今回の問題に関しては、外国からこられた方が安い賃金で雇われるということはまずありえないと考えております。選び抜かれた方が、外国人という理由から公に低賃金で雇われるということがわかれば、世論騒ぐのは目に見えております。
次に、以下
>途上国の農民が先進国に輸出する換金作物をつく
>り、自分達の食生活を危うくする。同様に人材流失
>でその国の保健医療福祉は停滞したまま。簡単な感
>染症で子供がコロコロ死んでいく。この状況を作り
>出しているのは先進国の消費と自分達さえ良けれ
>ば、貧しく、困る人が出ても構わない(そういう状
>況を知ろうともしない訳ですが)ことが背景にあ
>る。看護・介護労働者の移動の問題はこういう側面も>考えながら議論して欲しいと思います。
ということですが、今回の医療人員問題と外国の貧困状況をつなげて考えることはかなり無理があります。これは、政治問題にも関わってくることですが、外国の人を救う為、受け入れるというのであれば、移民・難民問題も理論的に受け入れOKということになります。また、今の日本のように中国への矛盾したODAなどの問題も肯定する意見となります。まずは、その点を確認してよろしいですか?
日本にも貧しい人間はおります。日本を救う前に外国にも救いの手を差し伸べるという安易な構想は、日本国を衰退させる幻想。平和な日本が生み出した左翼的イデオロギーに他なりません。
ですから、外国の貧困問題を理由に今回の問題を直結させるとすれば、それは完全な偽善であると考えております。本当に外国のことを考えるのであれば、直接的にそのような手段をとることは、間接的に外国に対してもわが国日本に対しても不幸であることはすぐにわかると思います。
まずは、美談化された論点の是正の後、議論したくお願い申し上げます。
賃金については私の勉強不足で、低賃金でないということに対するきちんとした反証はありません。
ただフィリピンの教育制度を考える時に、所謂高卒が10年生であり、例え4年生大学を卒業していても日本流に換算すれば高卒後2年生短大卒、ということになります。
また少し古い経験になりますがフィリピンの看護大教育の中では日本で言うところの保健師教育というか公衆衛生看護教育という点は明確で内容に思われます。「保健師」という資格が看護師と分かれていること自体日本が特殊なので単純比較はできませんが。こういう点を考慮すると日本の4年生看護大学卒と同じレベルとは必ずしも言えないと考えます。
以上のような点から日本できちんとした有資格者、大卒者としてどこまで扱われるのか疑問をいだいています。
後半部分についてはイデオロギー的な議論は私も好みません。
自分が途上国といわれる国々で働く中で実感していることを書いたまでです。
貧しい人を救えと言っているのではなく、日本が他国の頭脳流出を助長することに疑問を持っているだけです。
特にフィリピンは人材流出甚だしく、人材不足で多くの地域に看護師・医師が配置されず、最小限のサービスさえまともに行われていないのが現実です。
前文でも書きましたが、もちろんこれはフィリピン国内の問題です。しかし輸出入という視点で考える時、目に見えない部分で様々な波紋があるということに無関心であることに私は疑問を持っています。
私の言いたいことの中心は貧困問題ではなく、私たちが自分の生活を快適にするために自分達と離れたところに様々な影響を与える可能性があるということを認識しておくことも必要ではないかという問題提起として書いています。
ますので、この流れは予想してました。結局職場での育成を放棄、即使える者は何でも・・という事です。