毎週土曜日に行っている個人的なトレンド確認用の分析の4月2日分。2月28日から4月1日の動きをまとめている。
分析結果と各ペア動きのまとめ
まずは、毎週のトレンド分析のサマリ部分だけを以下に載せておく(見方の説明は2020年2月3日のブログ記事参照)。
分析結果と各ペア動きのまとめ
まずは、毎週のトレンド分析のサマリ部分だけを以下に載せておく(見方の説明は2020年2月3日のブログ記事参照)。
各通貨ペアの日足チャートは以下の通り。
出所:セントラル短資FX|為替チャート一覧(https://www.central-tanshifx.com/market/chart/)
ドル円は、米国のインフレ率上昇に伴う利上げ姿勢に対し、日銀の金融緩和継続と円安容認の姿勢で円安が加速し、3月28日には125.1円に達した。2015年6月10日に黒田日銀総裁が国会で円安けん制と受け止められる発言した時の125円前後の円安水準(黒田ライン)に達した訳だ。円の総合力を示す実質実効為替レートは、1972年以降、実に50年ぶりの円安水準にまで低下している。
3月4日および4月1日の米雇用統計の発表でも雇用者数の伸びは強く、インフレ率も高いため、ウクライナ戦争があってもFRBの利上げは止まりそうにない。3月17日は0.25%の利上げに留めたが、今後0.5%ずつの可能性もあり得る状況になっている。
一方、3月18日には黒田総裁が円安はプラスと発言、3月24日には日銀審議委員が追撃の円安容認発言、3月28日には金融緩和継続を行動で示す3日連続の指値オペの発表となり、日米金利差拡大が明確化され、円安の限度を試す動きとなった。元々の資源・穀物高に加え、円安による輸入物価の高騰で多くの品物の値上げラッシュになっているが、日本(日銀)は悪い円安を止める動きをしていない。既発債の暴落や国債の借り換えを心配して金利抑制を優先しているようにも思える。
ユーロドルは、ロシアのチェルノブイリ攻撃のニュースで下げが加速して3月4日には一時$1.09割れ、3月7日には一時$1.0806まで下げたが、その後は下げの反動と、ロシア・ウクライナの停戦期待で戻り歩調になっている。
ユーロドルの$1.09割れは、昨年10月2日のトレンド分析の記事においてチャート分析ではこういう目標になると示した水準だった。私は3月5日に以下のツイートをした。
ウクライナ戦争が1か月を超えて長期化してきたが、為替や株式の市場も織り込み済みという感じの動きにはなっている。ただ、トレンド分析とは関係なく個人的には、戦争が終結しても欧州への根本的な影響は長期に及び、ユーロは弱基調が続くのではないかと思っている。
ユーロ円はユーロドルの底打ちと円安加速によって強い上げ基調となり、3月28日には137.5円に達し、2018年2月の高値を突破した。ユーロ以外の通貨に対しても円は弱く、円の独歩安となっている。
ユーロ円はユーロドルの底打ちと円安加速によって強い上げ基調となり、3月28日には137.5円に達し、2018年2月の高値を突破した。ユーロ以外の通貨に対しても円は弱く、円の独歩安となっている。
各国の動きとニュース
3月2日のパウエルFRB議長の議会証言では、米国の利上げは、ウクライナの懸念もあってまずは0.25%に留めることに決めたという感じだ。
3月2日のパウエルFRB議長の議会証言では、米国の利上げは、ウクライナの懸念もあってまずは0.25%に留めることに決めたという感じだ。
3月4日の米雇用統計の発表では、雇用者数は予想上回る伸びを示した。
3月17日のFOMCでは、想定通り0.25%の利上げが発表され、さらに年内の連続追加利上げも示唆された。
3月21日にパウエル議長が全米企業エコノミスト協会の会合で講演し、インフレ抑制のためには0.5%利上げを排除しない考えを示した。これを受けて米国債券利回りが上昇し、翌日にはドル円もあっさり120円に到達した。
4月1日の米雇用統計の発表では、雇用者者数の伸びは堅調で、時給の伸びも加速していた。
米国側のニュースは以上で終わり。続いて日本側のニュース。
上記のような米国の動きで円安が進む中、3月18日に金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見があり、輸入価格の上昇による物価2%での金融引き締め適切でないとし、円安が全体として日本経済にプラスとの構造は変わらないと発言し、緩和継続と円安容認の姿勢を示した。
黒田総裁に続いて、片岡日銀審議委員が3月24日の記者会見で、円安に関して全体的な効果はプラスだと思うと述べて、追い打ちをかけている。
3月28日の午後、日銀は28日に続いて29、30日にも連続で指し値オペを実施すると発表した。円安が進んでいる状況で、初の連続指し値オペであるから、確信犯の円安誘導だったとも言える。逆に言えば、そこまでしても金利上昇を抑えたかったということだ。
3日連続の指値オペがとどめとなって円安が進み、一気に125円に到達した。
続いて解説記事を幾つか記録として載せておく。
3月7日。ウクライナ危機に対するECBの対応として想定される3つのシナリオを解説している記事。色々解説した上で、メインシナリオに基づく今後1年間のユーロ相場は、対ドルでは$1.09~$1.18、対円では126~140円としている。私が思っているのとは逆でユーロ高方向だ。
円安が進むにつれ、円安が当然だという見方が増え、円安の目処も後追いのように引き上げられてきた。専門家も後付けの解説が多い気がするが、そういう状況だからこそ円安が進んでいるのだろう。
3月14日。円安進行に 「まったく違和感がない」として、日本の成長率が低いこと、日本だけがゼロ金利であること、日本が債権取り崩し国になって需給が悪化したことの3つを理由に上げている。
3月18日。この時点ではまだ月内にも120円突破かという見方で解説が出ている状況だった。
ところが、週明けの3月21日のパウエル議長の講演を受け、3月22日には120円をあっさり突破した。そのことについての解説記事が以下。
3月25日。ドル円が150円まで下落するという見方も出始めた。
4月1日。ウクライナ侵攻で強力な経済制裁を受けてロシアのルーブルは急落しているが、日本の円はルーブルにも負けつつあり(対円でルーブルは戻している)、トルコ中銀の独自理論が招くリラ安に類似もしているとの解説まで出た。