かもうな
養子縁組 第二之巻
その後、何とか佐藤長十郎を説得して支度金として二十両だけ袱紗に包み
受け取って貰った。
仙台に立つのは五日後に決まり、佐藤長十郎家族は鎌先温泉へと向かうの
だった。治郎にとっては楽しい旅が父母兄との最後の別れの旅になったの
である。
三人さっさと鎌先温泉
白石堤のコスモスすすき
あっくてふだふだ(豊富な)旅籠のお風呂
木ぼこ買って抱いて寝る。
治郎は父兄とふだふだな湯ぶねに浸りながら、一人になる寂しさと我が身に
きるであろう出来事が走馬灯のように浮かんでは消えその寂しさは一層とつ
のるのであった。
湯ぶねに浸りながら「熱い 熱い」と云いながら流れ落ちる涙を拭く治郎の
健気さを受け止めるかのように長十郎はやさしく治郎を抱くのだった。
・・・次回は「すず風」です・・・
予告
「すず風」は治郎の愛馬、白い七斑(はん)ある珍しい馬。
次郎とすず風との触れ合いから、大町の豪商只野家との縁、
勘定奉行星清左衛門並びに伊達六代藩主宗村公との出会い
まで、その時代を逞しく生き抜いた、または儚くも散った
人物などを描いて行くつもりです。
読みぐるしい点はご容赦ください。
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