2020年東京オリンピックのマラソンと競歩が急遽札幌に変更となったことに、日本国民の多くは戸惑いと不安を覚えているだろう。IOC(国際オリンピック委員会)が会場変更を公表したのは11月1日。強権を振りかざすIOCやそれに唯々諾々として従った日本の組織委員会に怒りを露わにした意見はネットでも少なくない。
これに関連した投稿が11月2日付の河北新報の読者コーナー「声の交差点」に掲載された。タイトルは「五輪マラソン 仙台が最適」、記事名もここから取った。投稿者は静岡県湖西市の著述業・池月龍氏(75歳)、以下はその全文。
これに関連した投稿が11月2日付の河北新報の読者コーナー「声の交差点」に掲載された。タイトルは「五輪マラソン 仙台が最適」、記事名もここから取った。投稿者は静岡県湖西市の著述業・池月龍氏(75歳)、以下はその全文。
「2020年東京オリンピックのマラソンは「札幌で行う」と、国際オリンピック委員会が突然、表明しました。
「東京は猛暑だから選手を守るため」と報じられましたが、暑い時と暑い場が懸念される競技は、マラソンばかりではありません。炎天下で競技に汗する選手たちは「私たちも」と思うに違いありません。
オリンピックの華とも言われるマラソンは、私たち観衆側にとっても関心の高い競技ですから、早く開催地を決定し、とりわけ選手たちには雑念がない準備の時をつくってあげたいものです。
さて私は、マラソンは杜の都「仙台」での開催こそ最適であると提案します。東日本大震災からの復興オリンピックと言うならば、東北の中心である仙台は最適地と言って過言ではありません。東京からのアクセスもスムーズ、東北新幹線で1時間半余りで結ぶことができます。マラソン当日に新幹線や飛行機の増発も可能です。
もし、実現すれば、復興の大きく貢献することになるでしょう。オリンピックの華、マラソンは杜の都で!」
河北新報読者の中には池月氏の提案に賛同した人もいるだろう。だが一仙台市民である私には、戯言としか思えなかった。いくらトップダウン型のIOCでも再度の変更はしないはずだし、札幌より小規模な東北の地での開催は経済効果も薄い。その程度のことは卑しくも著述業ならば、想像がつくはず。
池月龍で検索したらプロフィールが載っているサイトがヒット、サイトでの紹介はこうあった。
―本名・上遠野征男。1944年生まれ。詩やエッセイなど多数創作。著書に小説「龍が棲む里」がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)『世相を見張れ』より
著述業と名乗る割には著書でヒットしたのは、「神楽王(かぐらおう)」「世相を見張れ」「龍が棲む里」くらいだった。売れない作家はゴマンといるが、「世相を見張れ」は中日新聞に投稿したものをまとめたものという。
宮城の地方紙なのに、河北新報は暫く前から他県からの投稿が目につくようになった。東北ばかりか関東や九州からの声まで載る始末。今回は静岡からの投稿だったが、多様性を装った編集部の意向なのは明らか。仙台でマラソンを開催すれば復興の大きく貢献することになる、と余所者に言わせているのだ。
実に無責任極まる。震災復興を大いに妨げるだけであり、地元開催で収益を得るどころか赤字は目に見えている。潤うのはメディアと建設業くらい。私的には東京オリンピック開催自体に反対だったが、メディアで反対者の意見はまず見なかった。オリンピックで大いに稼げるメディアは異論反論を取り上げることもしないのだ。
こうしてオリンピック開催世論を盛り上げるのがメディアの常套手段。庶民としては世相ではなくメディアを見張るべきだろう。
先日見た「今更遅いんだけど、小池都知事は札幌マラソンの警備とテロ対策問題をIOCに付きつければよかったね」というブログ記事にはハッとさせられた。テロ対策問題は全く念頭になかった私も平和ボケ日本人だが、マラソンの警備だけでも手に余るのに、テロ対策となれば仙台では無理にちかい。
「五輪マラソンの札幌開催は「IOC幹部の保身」だ」(2019/11/08付)というプレジデントオンラインの記事は、河北と違って納得できる内容だった。執筆者のジャーナリスト・沙鴎 一歩(さおう・いっぽ)氏は、「アスリートのため」は後出しの詭弁と断言する。
全国紙の社説すべてが「札幌変更」を肯定していたことにも呆れるが、組織委員会のトップが元首相の森ではどうしようもない。
思い起こせば、2020年東京オリンピックは始めからトラブル続きだった。前回の1964年東京オリンピックは日本の戦後復興と高度経済成長を象徴する大会だったが、今回は日本の凋落を印象付けるイベントにならないことを願いたい。
思うのですよ。1964年は10月10日開始でした。本来この時期が一番いいはずですよね。
それだったら問題なく東京でよかったでしょう。
この記事の仙台案はいくらなんでも・・・・
筆者の歳を見てなんか悲しくなりました。
バカにして叩くどころかもう・・・・
学生だったらまあ許せる戯れ言ですが・・・・。
あと選手が気の毒では?選手村からあまりに遠すぎるので札幌に拠点必要でしょう?
そして何と言っても警備の問題。鳳山さんの指摘は
ホント目からウロコでした。道警察の警備部は本当に気の毒です。
筆者は75歳なので、未だにオリンピック発展幻想の虜になっていると思います。そんな投稿を載せる編集部の方が始末が悪い。選手村から比較的近いため仙台案が出たにせよ、これだけでアスリートファーストなど後出しの詭弁ですよね。今時の学生の方が返って冷静に見ているかもしれません。
牛蒡剣さんのコメントを目にするまで、すっかりボストンマラソン爆弾テロ事件を忘れていました。今のところ日本では大規模なスポーツ大会を狙ったテロは起きていませんが、この先は分かりません。
細かく分ければ9日間くらいで終わるでしょうから、アメリカのスポーツ日程との衝突も許容できる範囲に収まるのではないかと・・・
代替戦争はワールドカップや世界選手権に任せて、綱引きやってた時代に戻るのが、一番良いと個人的には思っています。
オリンピックよりもワールドカップの方が視聴率も高く、世界選手権まであるのだから、それほど注目されない大会になりつつあるかも。