宮城県美術館の特別展「ストラスブール美術館展」を先日見てきた。チラシの表の一文、「モネ、ゴーギャン、ピカソ……印象派からモダンアートまで、ヨーロッパの十字路、ストラスブールに集った名品をめぐる」だけで、大いに期待した。以下の青字は公式サイトでの紹介。
「ドイツの国境近く、フランス北東部アルザス地方の中心地ストラスブールは、10館にも及ぶ美術館、博物館を擁し、多岐にわたる優れたコレクションを所蔵しています。中でも1998年に開館したストラスブール近現代美術館は、印象派から現代美術までを網羅した18,000点に及ぶコレクションを誇り、フランス国内でも屈指の規模の美術館として知られています。
本展では、ストラスブール近現代美術館の多彩な作品によって、印象派の画家から20世紀美術の開拓者まで、近現代美術の流れを辿ります。モネ、シスレーなどの印象派の画家たちが描いた風景。ゴーギャンやシニャックといった印象派以降の画家たちの色彩とタッチの変化。ロダン、カリエール、そしてローランサン、ピカソといった画家たちの個性豊かな表現。そして、キュビスム、抽象、シュルレアリスムなど、印象派からモダンアートへの展開をさまざまな視点で紹介します。
西洋近代美術史を語る上では欠かせない画家から、アルザス地方ゆかりの画家まで、ストラスブールからやってきた名品の数々をお楽しみください」
特別展は3部構成となっており、1章「印象派とポスト印象派」、2章「近代絵画におけるモデルのかかわり」、3章「アヴァン=ギャルド」の順で展示されていた。出展数は111に上り、見ごたえのある美術鑑賞となるはずだった。
しかし、案外印象的な作品は少ないと感じた。期待外れではないが、あれだけ名高い画家たちが揃っているにも関らず、イマイチに思えた。西洋近現代美術に疎いこともあろうが、印象派は良くても20世紀のモダンアートはあまり好みではない。巨匠でも常に佳作とは限らず、凡作や駄作も少なくない。ひょっとして日本向けには二流作を中心に貸し出したのか?と邪推したくなる。
トップ画像はモネの《ひなげしの咲く麦畑・作品№7》、チラシにも使われている。モネと言えば睡蓮連作画で有名だが、麦畑も書いていたとは知らなかった。良い絵だが、睡蓮の絵を見たいと思った来場者は多かっただろう。ゴーギャンの作品も2点展示されていたが、あのゴーギャンとは思えないほど平凡な作品だった。
上はシスレーの《家のある風景・作品№6》の画。やはりシスレーの風景画は穏やかで良い。絵心のない素人でも風景画は分かり易いのだ。
2章は肖像画中心で、ローランサンの絵も2点あった。彼女の画は日本でも人気がありカレンダーにもよく使われているが、私的にはどれも似たような絵柄で特に好きな画家ではない。
絵自体よりもタイトルで驚いたのが、ジャック=エミール・ブランシュの《アンナ・ド・ノアイユ伯爵夫人の肖像・作品№47》で上はその作品。“ノアイユ伯爵夫人”といえば、マリー・アントワネットに同名の女官長がいた。試しに検索したら、やはり名門貴族ノアイユ家に関わりのある女性だった。
3章はほとんど知らない作者ばかりだったが、ここで初めてヴィクトール・ブラウナーを知った。フランス人ではなくルーマニアのシュルレアリスムの画家で、独特な作風だった。ブラウナーの作品は全7作で、特別展の中では最も出展数が多い。上はそのひとつ《霊媒・作品№103》で、私が最も気に入った作品。シュルレアリスムらしく奇怪で不気味な画が多い中で、この作品は色使いが明るく重さがない。
モダンアートの世界は解り難いが、よくあれほど個性的な絵が描けるものだと感心する。全般的には期待したほどではなかったにせよ、やはり見てよかった特別展だった。
ストラスブルク、エルサス、ロートリンゲンがドイツ側の呼び名。
100年ちょっと前の欧州太戦前までは、プロイセン(ドイツ)領だったので、2行目の呼び名だった。
今後、ドイツ側からの呼び名は2度と使われることはないだろう。これは、欧州の秩序維持のためには欠くべからざること。
だが、先の大戦後、国境を移動させた、甚だしくは国を拭い去った不届き国家(部族集団?)が存在する。
その筆頭は、東トルキスタン共和国を併呑したあれだ。私はあいつを、東トルキスタン復興まで絶対に許さない。
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/最後の授業
ドイツが再びアルザス地方占領を目論み、軍事侵攻することは考えられません。しかし、東トルキスタンのみならずチベットも併合した不届き国家は、バリバリの軍国主義体制。21世紀でもウイグルやチベットはわが国古来の領土と妄言を吐いています。
日本も他人事ではなく、全国の広大な土地が買い占められている。他国では規制するようになったのに、日本政府の無為無策は腹立たしい限りです。