連日トップニュースで報じられているウクライナ情勢だが、未だにウクライナにも悪いところがあるといったDD論を展開する著名人が一部いる。
しかし、ウクライナ侵攻により大量の市民が犠牲になっているにも関わらず、未だに「戦争放棄」を主張する文化人も健在らしい。昨日付の河北新報の日曜連載コラム『おじさん図鑑』のタイトルは「皆の衆」、以下はその全文。
「プーチンがウクライナに攻め込んだ。旧ソ連の日本の北方領土占領と同じ、汚い侵略だ。武力侵略とは大量殺人にほかならない。何もしていないのに戦争を仕掛けられたウクライナの衆には、命と自由の危機だ。先の大戦後、曲がりなりにも世界的な戦争危機が避けられてきたのに、まったくロシアはなんということをしてくれたんだ。
敵基地攻撃能力をうんぬんする国会議員の衆も、これで目が覚めただろう。ワシらは今こそ誇りを持って日本の憲法に掲げられている「戦争放棄」を世界中に広めなけれはならない。
そこでおじさんは一つの案を、ロシアの衆に提示したい。北大西洋条約機構(NATO)が旧ソ連を囲む軍事網だからどうしても嫌だというなら、ロシアはすでに旧ソ連ではないのだから、
「もう俺らを敵視しないでくれや。俺っちもNATOに入るからよ」
とあえて合してしまうのだ。「窮鳥懐に入る」ということわざ通り、NATO加盟国の衆も受け入れざるを得ない。これこそが期せずして「戦争放棄」の理想を実現する妙案ではないか。ついでに欧州連合(EU)にも加盟させてもらえばどうだ。
無理かなあ、皆の衆。」
このコラムを執筆したのはエッセイストの飛鳥圭介氏。氏のプロフィールが載っているサイトによれば、「1948年静岡市生まれ。静岡商高を経て法政大学社会学部社会学科卒。コラムニスト。日本ペンクラブ会員、日本文芸家協会会員」とある。
暫く前から飛島氏のコラムはサヨク臭が鼻につき、あまり見なくなっていたが、昨日は冒頭にプーチンの名があり、つい読んでしまった。
「皆の衆」というタイトルから村田英雄の歌を思い出した方もいただろう。皆の衆の歌詞を紹介しているサイトもあり、村田らしい豪快な歌詞である。だが飛島氏の主張はお花畑平和主義の見本で、見たことを後悔させられた。未だに目の覚めない売文業者もいるのだ。
飛島氏は本気で日本の憲法が掲げる「戦争放棄」を世界中に広められると思っているのか?内心では不可能事と思いつつ、国民を欺くために憲法の「戦争放棄」を称えているとしたら、氏の言葉を借りれば真の「国民の敵」である。「無理かなあ、皆の衆」の結びの一文から、当人も受け入れ難いことを自覚しているだろう。
ただ、これまでのコラムからはどうも本気で「戦争放棄」が他国でも受け入れられると思っている節がある。ここまでくれば空論的平和主義の道化だろう。
旧ソ連時代にもロシアはアフガン侵攻(1979年)をしており、この時も傀儡政権を樹立している。これが世界的な戦争危機にならなかったのは、アフガンという局地戦に留まったからだ。対照的にウクライナは地政学的にも欧州では重要な位置にあり、ロシアへの敵基地攻撃能力を欠いていた。
ロシアはすでに旧ソ連ではないが、旧ソ連領の復活を目指していることはあきらか。大ロシア主義の復活であり、「俺っちもNATOに入る」とは全く考えていない。むしろロシア人の気質からNATOを粉砕、支配下に置くことを目指すはず。窮鳥なら懐に入るが、熊は懐に入るどころか死に物狂いで漁師を攻撃する。人間に従った手負い熊の話など聞いたことはない。
そもそも、なぜ共産陣営だった東欧諸国がこぞってNATOに加盟したのか?西欧や米国の覇権主義よりも、ロシア支配やロシア化への恐怖が最大の原因なのだ。ロシアに支配されるなら西欧の方がマシということ。
こんなコラムを書く方も書く方だが、載せる新聞社も話にならない。尤も地方紙に寄稿するエッセイストに良質なコラムを期待すること自体、既にムダであるけど。
もちろん十人十色なので、飛島氏のコラムに賛同した新聞読者もいたかもしれない。総じて女性は軍事や政治に疎い傾向があるが、ロシアのウクライナ侵攻からまもなく、以下のコメントを頂いた。
Unknown (アミ)
2022-02-26 00:13:11
今回の事で、いくつかの事を痛感しました。
外交交渉は軍事力の裏付けがあってこそ、初めて成立する事。「話し合いで解決を」といくら絶叫しても、相手が話し合いに応じなかったら、それでおしまいですからね。軍事力がなければ、相手を交渉の場に引っ張り出すことすらできません。
そして、我が国の周辺国は、ロシア、韓国、北朝鮮、中国と約束事を守らない国ばかりで、これらの国の善意を信じた外交は、自殺行為である事をウクライナ侵攻は立証した事。
旧ソ連と闘ったフィンランド大統領マンネルヘイムはこんな言葉を遺している。
「自らを守りえない小国を援助する国はない。あるとすれば何か野心があるはずだ。」
「大国に頼りきることは大国を敵にするのと同じくらい危険なことだ」
さて、拙記事を読まれた皆の衆はどう思われますか?
◆関連記事:「国民の敵」
「島国根性」
「パワハラおじさん図鑑」
NATO には PfP(平和のためのパートナーシップ)という取り組みがあります。
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/平和のためのパートナーシップ
ttps://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf
PfPに加盟後、条件が合えば NATO に加盟という流れになります。ロシアはこの PfP に加盟しているのです。
G7 にロシアを入れた G8 もそうです。
ロシアをこっち側(積極的に国際秩序を守る側)に引き入れるためでした。
しかし、クリミアで破綻しました。(だから、周回遅れ。)
####
>これらの国の善意を信じた外交
こんな外交は、日本を含めてしていません。
ある程度信じているのは「合理性」です。
要するに「利益にならないことはしないだろう」ということです。軍事力がその担保で、核兵器による相互確証破壊(MAD)がその最たるものです。
中露に対しても、経済的に結びつくことで、経済的利益を失いたくないなら、国際秩序を守るのではないかという期待をしていました。
ただし、相手が短期的利益だけを見る場合があり、その多くは国内における権力闘争(外国からは良く分からないことが多い)だったりするので、破綻することもあります。
相手が韓国やISISのような原理主義的狂信者の場合は合理性が成り立ちませんので最悪です。中露もそれが少しあって怖いのです。(ただし、そう思わせてリスク管理をさせないのも常套手段です。北朝鮮が良くやります。やり過ぎて「狼少年」になっていますが。)
ウクライナが侵略されたのはまさに専守防衛、平和憲法、非核三原則が原因なのに、いまだに話し合いで解決とかほざいている阿呆がいることに呆れました。
こんなのを信じる新聞読者は居るんでしょうかね?だとすれば逆に驚きなんですが。
恥ずかしながら、NATO には PfP(平和のためのパートナーシップ)という取り組みがあったことを初めて知りました。ロシアはこの PfP に加盟していたことも知りませんでした。
こうなると飛島氏の意見は必ずしも荒唐無稽とは言えませんね。但し「今こそ誇りを持って日本の憲法に掲げられている「戦争放棄」を世界中に広めなけれはならない」は、周回遅れ平和主義そのものですが。
外務省の対応は「これらの国の善意を信じた外交」と一般に見られがちですが、ある程度信じているのは軍事力がその担保の「合理性」でしたか。どおりでこれらの国の走狗どもが非武装や安保反対を唱えていたワケです。
結果論ですが、今となっては中露は短期的利益だけで経済的に結びつき、目的は国内における権力闘争の具だったとしか思えません。破綻するのは時間の問題でした。牛蒡剣さんの他のブログでのコメントは考えさせられます。
「ポストプーチンとなりうる人物や政党があって軟着陸ができるかなあと思って少し調べたら与党も野党も主だった政治家は帝国主義者しかいない現実に絶望しました。本当にプーチンはあのクソの中では一番マシで1番穏健という酷い有様。そりゃあまともなロシア人はあれを支持するしかないと思いました。
第1野党 ロシア共産党(版図を冷戦時代まで戻す!そして1党独裁!第2 公正ロシア 社会主義政権の確立 1番リベラルでも失われた領土は・・・・・ 第3 ロシア自民党 ロシア帝国の版図を取り戻す。対日米戦争か公約 ロシアとアラスカは我が領土。東京は核で滅ぼすと公言。見事にゴミです。これは滅ぼすしかない」2022-04-05 22:40:46
https://ameblo.jp/houzankai/entry-12735745631.html
読者コーナーには高齢者を中心に専守防衛、平和憲法を訴える声ばかり。洗脳とプロパガンダはやはり効果があります。
基本的には、国連憲章第2条3項や第6章の「紛争の平和的解決」と同じなのです。憲法第九条と国連憲章は同じ思想の産物なので。
国連憲章は第50条で自衛権に関しても制限を課していて「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」なのです。
主権国家である以上、自衛権は憲法や条約では否定できません。(奴隷契約が無効なのと同じ。契約する能力を失わせる契約はできない。日本国憲法の学者は分かっているくせに、文言を整えるために改憲すべきだといわないのはホントごみ。)
しかし、自衛権を盾に他国を侵略する(今回のロシアもそう)ことも多かったわけで、それを抑止するために、(WWIIの日独に対するような)侵略国に対する反攻は国連(安保理)でやることにしているのです。
憲法第九条を全部破棄しても国連加盟国であれば日本の行動はほとんど変わりません。だから、日本の憲法をことさらに「平和憲法」と言う意味はないのです。
問題は、日本ほどの大国が(集団的自衛権により)国連軍に参加する義務、特に侵略国に対する反攻に参加する義務を果たしていないことです。
権利ではなくて義務。「平和を守る」義務。(日本が防衛義務を負う方が戦争抑止力が高まることも含む。)
日本の軍事力を抑えたい国際社会(特に東側だがアメリカの半分もそう)と、義務を果たしなくない(経済に注力したい)日本の思惑が一致してしまった結果ですが。
もっとも、今回のロシアのウクライナ侵略で「九条」は止めを刺されました。
九条信者が駅前で必死なの笑う。共産党が「防衛に自衛隊を使う」って言ってしまって突っ込まれてあわあわしているのも笑う。
先に私はこうレスしました。
「読者コーナーには高齢者を中心に専守防衛、平和憲法を訴える声ばかり。洗脳とプロパガンダはやはり効果があります」
私的には日本国憲法を「平和憲法」とは思っていませんが、河北新報は日本国憲法ではなく殊更「平和憲法」と表現しています。やはり私もプロパガンダで知らず知らずのうちに影響されていたのでしょう。
日本の憲法学者は一般人からすれば、護憲について殆ど神学論争をしているようにしか見えませんが、本当は知っているくせに改憲すべきだといわなかったのですね。本当にゴミと利敵、利権の集団です。
未だに国連の「敵国条項」は消滅していませんよね。それでも↓の見解はとても参考になりました!
>>憲法第九条を全部破棄しても国連加盟国であれば日本の行動はほとんど変わりません。だから、日本の憲法をことさらに「平和憲法」と言う意味はないのです。
自衛隊が国連PKOに参加した時でも、サヨクは海外派兵に繋がると激しい反対運動を行っていました。国際社会の「平和を守る」義務を軍国主義復活に結びつける行為は腹立たしい。
東側はともかく、日本の軍事力を抑えたいと思っているアメリカの大物政治家が共和、民主党共にいますね。自民党にも経済優先で義務を果たしなくない政治家が少なくない。だから何時までも改憲出来ず、それをしようとする政治家はタカ派と徹底的に叩きます。
九条信者の筆頭・社民党の女党首が来仙し、何時もの九条護持を訴えていました。武力では平和は維持できない、参院選で九条を守る勢力が増えることを目指すとかなんとか。
ただ九条には触れず、ロシアのウクライナ侵略と日本の満州国建国と重ね合わせている左翼言論人もいるので笑えません。
>自民党にも経済優先で義務を果たしなくない政治家が少なくない
50~60年台は9条を盾に経済優先というのはまちがってなかったでしょう。ただ70年台になって国力も技術力も上がってきて先進国になった時点で
政策転換すべきでした。所得倍増計画で有名な池田勇人は先見の明のある人物でした。現在の基地反撃の根拠となる答弁や核武装も可能性を保持できる答弁を残したのは現代になって生きてきました。
池田内閣で構想されていた軍備も21世紀になって日の目を見たものも多く、この方軍事の面でも大変有能だったと。あと5年生きて首相をしていたらなあと。先進国と認められた時に生きていれば、(具体的にはG5として共産圏に対抗するプレーヤと認められた時)憲法改正 敵基地反撃 核武装この辺は実現できていたかもしれません。多分戦後最も軍事面を真剣に考えていた政治家だったと思ってます。
>>憲法第九条を全部破棄しても国連加盟国であれば日本の行動はほとんど変わりません。だから、日本の憲法をことさらに「平和憲法」と言う意味はないのです。
条約は憲法優先する原則と自然権の憲法に対する優位の原則に基づけばすでに9条は死んでいます。
自衛権に基づく反撃の権利を日本国が持つことは明らかです。いい加減死亡診断書を書くべきです。鳳山さんの所で何度か書いてますが、各国は国民と財産を守るために、敵の首都を核で焼き尽くすことから幇間外交までありとあらゆる手段を行使できるのに、好んで手段を制限し、生存と安全の可能性を削り日本人の命の値段を安くする、人権侵害の極みが憲法9条だと思ってます。
3月4日、河北新報の読者コーナーには、多賀城市の伊藤良博なる会社員(44歳)の、「対ロシア 言動注視したい」という批判コラムが載りました。「政治家は現実の危機に備えよ、と叫ぶだけではなく、力に頼らず平和を実現させるため、どう行動するかが問われているはずだ」の一文だけでどうしようもない。力なき者に平和の実現は不可能でしょ!『平和ぼけ』に擬態しているでしょうけど。
池田勇人といえば所得倍増計画よりも、「貧乏人は麦を食え!」発言で知られていますよね。池田が軍事の面でも大変有能だったことを遅まきながら知りました。池田内閣で軍備が構想されていたことも初耳。今にして思うと、メディアが殊更「貧乏人は麦を食え」発言を強調していたのは、軍備構想を潰す目的だったのでしょう。
>>条約は憲法優先する原則と自然権の憲法に対する優位の原則に基づけばすでに9条は死んでいます。
それを知らない国民も多いはず。何しろ新聞の読者欄は憲法九条、平和憲法墨守の意見ばかり載せており、紙面によるサブリミナル効果は侮れません。憲法改正=軍国主義という“識者”の真意は、日本の生存と安全の可能性を削ることにあるのだから。
日本独立の際、アメリカから独立する際、独自の軍事力の整備が求められ、自衛隊の設立と最初の防衛大綱をまとめてアメリカの要求をクリアしつつ防衛費を抑えることに成功(まだ経済が弱体だったのでアメリカの要求通りの軍備は大変だった。)池田氏が密使として渡米(マッカッサー秘匿する必要があった)ドッジラインで有名な銀行家のドッジ氏は軍歴もあり米陸軍省にコネもあり金融の仕事で池田と既知だったからこのラインから国務省の説得に成功。
60年台に核武装が進むなか核武装も憲法上可能である解釈をだしアメリカからの核供与交渉を水面下で交渉。核武装は失敗しましたが、法的に余地を残すことに成功。また敵基地への反撃が自衛権に含まれる解釈も打ち出し、いまの敵基地攻撃論の余地を作る。
初代あきづき型護衛艦の就役(当時の駆逐艦としては世界でも指折りの性能)を実現させこれをもって親善訪問外交と砲艦外交。安保闘争とアイゼンハワー来日失敗で失墜していた軍事的信用の回復。
(高度な兵器が作れる能力と西側の軍事問題にもちゃんとコミットしますよという意。軍艦をつかった外交はマスコミに叩かれやすいのだが意に介さず))
ヘリ空母構想の策定 この計画が50年を経て今の
いずも型ヘリ空母に。
今の防空体制の原型を構築。日本中にレーダーを張り巡らせ、探知と共に自動的に戦闘機の誘導ができるシステムを構築。対空ミサイルも完備して、現在の防空体制の基礎ができました。
兵器産業の整備 アメリカからの供与から抜け出し政治的独立性の確保を目指す。60年台から急速に国産新兵器が台頭してくるようになります。
本当に黎明期から自衛隊の基礎を作った有力政治家なんですこの人。経済力と軍事力を組み合わせた外交で日本を大国にすることが志だった人物です。経済だけでなく西側で大国の地位を築いた軍事外交の功績はもっと評価されるべきだと思ってます。
吉田茂に比べて池田勇人は何となく影が薄い首相ですよね。暫く前に放送した3人の首相を取り上げた番組でも、池田の功績は専ら経済面だけを紹介していました。しかし、軍事外交でも功績のあった政治家だったとは知りませんでした。番組スタッフが知らなかったのか、あえて無視したのか。
一般に池田が黎明期から自衛隊の基礎を作った有力政治家だったことは知られていません。マスコミも軍事外交の功績のある政治家は報道しないのでしょう。本当に勉強になるお話をありがとうございました!