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中東に無関心な今の若者の中には、1979年に起きたイラン・イスラム革命や同年のイランアメリカ大使館人質事件を知らない人も少なくないだろう。特に後者の人質事件は未だに続く米国のイラン敵対政策の原因ともなり、日本でもイランのイメージを決定的に悪化させた(※ただし、当時の中東贔屓の左派文化人には、イラン革命を持ち上げる者も一部いた)。イランアメリカ大使館人質事件にまつわる出来事を扱ったのがこの作品。映画公式サイトに載っているあらすじは以下の通り。
―全世界を震撼させた、イランアメリカ大使館人質事件が起きたのは、1979年11月4日。だが、この事件にまつわる真相は、謎に包まれたままだった。事件発生から実に18年後、当時の大統領クリントンが機密扱いを解除し、前代未聞の人質救出作戦が、初めて世に明かされた。その全容を映画化したのが、『ザ・タウン』に続く監督・主演作となるベン・アフレックと、プロデューサーを務めるジョージ・クルーニー。それは、CIAが企画を持ち込んだ、ハリウッド史上最も危険な〈映画製作〉だった──!
革命の嵐が吹き荒れるイランで、過激派がアメリカ大使館を襲撃、大使館員を人質にとった。彼らの要求は、悪政の限りを尽くして失脚、アメリカに入国した前国王パーレビの引き渡しだった。大混乱のなか裏口から6人の大使館員が脱出、カナダ大使の家に身を隠すが、見つかれば彼らの命はもちろん、人質の身も危ない。絶望的な状況を打破するため、CIAの人質奪還のプロ、トニー・メンデスが呼ばれる。
トニーの“名案”は、ウソの映画を企画し、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げ、出国させるという作戦。特殊メイクの第一人者、ジョン・チェンバースが協力、瞬く間にプロデューサーと脚本が用意され、SFファンタジー『アルゴ』の盛大な記者発表が行われた。イランどころかアメリカまでも欺き、タイムリミット72時間のハリウッド作戦が始まった!ところが─絶対にバレると反発する6人、脱出者がいることに気づくイラン、緊迫のなかCIAから作戦中止の命令が!果たして6人の命の行方は──?
この人質事件は予想以上に長引き、大使館員の人質全員が釈放されたのは事件後444日目だったことが映画のラストクレジットにも出ている。その間、黒人と女性は早めに解放されたが、これを以て異教徒のマイノリティや女に寛容と勘違いした間抜けな中東シンパも、日本にはいたかもしれない。
それでも脱走した6人の米大使館員をカナダ大使がかくまっていたことは、私もこの映画で初めて知った。英大使やニュージーランド大使は彼らの引き受けを拒否したという。カナダ大使の決断は立派だし、隣国ゆえに友好姿勢を取ったことも考えられるが、この時カナダが拒んでいたら後でそれ相応の“礼”をするのが米国だと思う。
ハリウッド映画の国にせよ、架空の映画『アルゴ』制作を元にして人質救出作戦を立案・決行するという発想自体がスゴイ。さすがに提案時には、あまりにも非現実的、無難な英語教師の設定にせよと反論が出たが、映画作戦が功を奏したのだ。ハリウッドの協力者の台詞がふるっている。「大衆を欺くにはマスコミを利用すること」
映画制作発表のパーティで、「“アルゴ”とはギリシア神話のアルゴ号?」とスタッフに質問があったが、作品の最後までその意味は明らかにされていない。「アルゴ?クソ食らえ!」の台詞があるだけ。
米国から描いた大使館人質事件ゆえ、革命時のイラン社会をよく描くはずがない。反体制派と見れば即刻銃殺するイスラム革命防衛隊、処刑後にクレーン車で吊るされたままになっている男などが登場する。街で死体をテルテル坊主よろしく吊るしていたのは事実であり、その光景だけでも慄然とした日本人も多かっただろう。イスラム革命を称賛していた日本人シンパなら、姦通罪や公開処刑、遺体晒しにもイスラムは道徳に厳格で不正を許さない宗教ゆえとでも擁護するかもしれないが、イスラム主義者でもイランやサウジに行かず、欧米に向かう事実は何を意味するのか?
この作品は改めて、ハリウッドと政府機関との強い連帯が伺える。政治と文化は別などの建前論を真に受けているのは日本のナイーブな知識人くらいかもしれない。アメリカに限らず映画業界はお上の意向に沿ったプロパガンダ作品を作るのは当たり前だし、政府は業界に介入する。映画制作は宣伝戦の一環でもあり、国益のために映画界と政府が手を組める状況にある他国は羨ましいと切に思う。
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韓国経済の調べ方を教えて頂き、有難うございました!シンシアリーさんのブログも参考になりますね。このブログに軽く目を通したのですが、韓国人というとイメージされるガチガチの反日ではないし、本当に韓国人?と言いたくなる記事もありました。
実は私は韓国には全く関心がなく、あの国の経済や国情を調べようという気持ちさえ湧かないのです。このような姿勢はあまりいいことではありませんが、あの国については韓国ウオッチャーが調べればよいと思っているので。仮に韓国事情をある程度知った所で、決して好感は抱かないでしょう。
シンシアリーさん(日本語の達者な韓国人)のブログ
http://ameblo.jp/sincerelee/
にも面白い話が色々とあります。
>>カナダの軍事的価値は、陸路でアメリカの首都を突ける唯一の国
成る程、仰る通りですね。同盟国でなければ昔の仏独のように、陸路で首都を占領することが出来ます。国境を接するメキシコは軍事面よりも不法移民を送り込んできますが。少なくともカナダは今のところ自国の権力闘争で、他国を巻き込むことはしていません。
韓国では国が会計面や公共料金で財閥を全面支援していたのですか??経済面はまるで疎いため、初めて知りました。日本のメディアではやけに韓国経済は絶好調、日本企業は敵わないというニュースばかりですが、ウォン安が庶民生活を直撃していることは報じませんよね。サムスンのような巨大企業が儲かっているはずなのに、韓国人が米国や日本に密入国、不法滞在するのもこのような背景があるのですか。
一般の日本人には米国に比べ、カナダはあまり知られていませんよね。私自身、カナダと聞いても殆ど知らないし、カナダドライくらいしか思い浮かびません。もしかすると、カナダは米国とゴッチャにされることに複雑な感情を抱いているのでしょうか。
ソウルオリンピックでカナダのベン・ジョンソンと米国のカール・ルイスが対決し、前者が金メダルをとったことがあります。この時カナダ首相が早々にジョンソンに電話をかけて祝福したのを憶えていますが、ルイスが勝てば米大統領は祝電をしたでしょうか?おそらくしなかったと思います。カナダは米国を破って狂喜していたのかも(※もっともドーピング使用が発覚して、ジョンソンはメダルをはく奪されました)。
米国が「禁酒法」をしていた頃、カナダは酒の密輸出で儲けていたのですか。これではザル法になったのは無理もない。確かイラク戦争でも「別路線」をとったような。アングロサクソンのプロテスタントの国家同士でも、隣国は複雑な関係にあるようですね。
「ねちねちと嫌がらせする、嫉妬深い隣国」は英仏関係にも当てはまるのではないでしょうか?英仏の小説を見ると、隣国の政治家がねちねちと嫌がらせする類の話がありました。どちらも自国を被害者として描いているのは興味深いです。
アメリカが海洋国家であるためには(カナダとの国境線に軍を張り付けずにすむには)カナダが同盟国である必要があるということです。
カナダから見ると対ロシアはアメリカの仕事(上記の理由でカナダを守る必要がある)と割り切れば気楽な立場です。
朝鮮半島での状況にも少し似てますね。朝鮮の場合は、自国内での権力闘争に大国を引き込んで大戦争を起こす癖があるのでく厄介ですが。
韓国の経済面については、ウォン安政策より会計面や公共料金での国の全面支援がよほど大きく、まさかここまで自国民を搾取しつづけて財閥を支援するとは思わなかったというのが本当でしょう。
カナダが、対米関係で複雑な感情を抱いているらしいことは、かねてからどこかで読んだことですが、詳しくは覚えていません。
しかし、加は、国内に仏語地域(ケベック州)を抱えているし、中国人、韓国人などのアジア系の移民も、米国よりは「簡単に」移民として受け容れているようにも思えます。
これは、経済面での対米競争力、というライバル心が強いからかと思う。
米国が「禁酒法」で突っ走った頃、加が酒の密輸出で稼いだり、色々な方法で、隣国は「別路線」で利益を得ることも可能と思う。
日本が円の価格維持、という消極的、保守的な手法を採っている隙に、韓国がウォン安政策で、サムソン、LG両家電メーカーの競争力を高めて、Panasonic、Sony、Sharpなどを倒産の危機状況にまで追い込んでいる。この韓国と同様のことを加が対米経済競争で行ってきたということでしょう。「ねちねちと嫌がらせする、嫉妬深い隣国」・・・韓国と似ているかも。
カナダ側が米国とライバル関係にあるだけでなく、日頃から前者が嫉妬深く、ねちねちと米国に嫌がらせする性向があるとは知りませんでした。政治、経済、軍事的に圧倒しているため、米国側がカナダを「社会主義者の国」と見下す傾向があると聞いたことはありますが。
北米大陸でカナダは米国に比べ影が薄いし、才能のあるスポーツ選手や映画俳優、ミュージャンも米国に移住しています。カナダ映画など日本では殆ど公開されませんよね。
カナダの政治家たちを描いた『権力者たち』(アーサー・ヘイリー著)という小説があります。主人公のカナダ首相は米国との「統合計画」を考えていますが、単純な親米という訳ではなく、その方がカナダの国益に繋がるという信念からです。米国要人との交渉で、米側が高圧的な態度に出る場面がありましたが、戦争に関してでした。
第二次世界大戦で既に参戦、米軍が欧州で死闘を繰り広げている間、カナダは議会で参戦するかどうかを長々議論していたと、米要人が責めるのです。カナダ首相は反論したい気持ちはあっても、その場では堪えている。実際にありそうなケースでしょう。
日本の自衛隊が未だに信用されず、「インナーサークル」には入れてもらえないのは無理もありません。加、豪両国と違い有色人種の異教徒の国だし、たとえ第二次世界大戦で敵対しなくとも、信用は難しかったのではないでしょうか?米国人はクリスチャンのアジア人のほうを信用しているかもしれません。
小生も、キッシンジャーがいなくとも、米国は、もしカナダが支援しなかったら、嫌がらせの「お礼」をきちんと返したと思う。「お花畑」は、米国の大衆レベルで、国家レベルの思考ではありません。
そもそも、米加関係は、隣国の、元英国植民地同士という、ライバル関係ですから、日頃からカナダ側が、嫉妬深く、ねちねちと米国に嫌がらせする性向があるのです。自分らの方が、より英国本国に近い感覚、という、奇妙な「自負の念」すら、カナダ側にはあるのです。
他方で、安保、軍事面では、カナダの安全は、ほぼ米国に「寄生」している側面もあるから、日頃から、国防面ではしっかりと提携、友好関係も築いているのです。
日本の自衛隊は、未だに信用されておらず、米国の安保、国防、諜報面での「インナーサークル」には、入れてもらえないのですが、加、豪両国は、元来が「安保、情報、諜報」などの面では米国と深い同盟関係にあります。
だからこそ、この例のようなケースで、カナダは、日頃の「恩返し」をきちんと果たしたのでしょう。ここで義理を欠いたら、それこそカナダに対する米国の軍事面での信用はゼロとなってしまうのです。
この映画では『光の王』について全く触れられませんでした。主人公が作戦を思い付いたのは息子と電話で話している際、息子がТVで『猿の惑星』を観ていたと言ったのがきっかけです。『光の王』原作にしては、架空の映画『アルゴ』は単に独裁者を倒すといったストーリーでした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E3%81%AE%E7%8E%8B
キッシンジャーについて、ブルガリア研究室さんも「キッシンジャー著『外交』について」という記事を書いています。室長さんも嫌な奴と思っていたそうですが、優れた外交官だったのは確かでしょう。
http://79909040.at.webry.info/201210/article_2.html
侮日のキッシンジャーでしたが親中傾向があり、米中交渉では毛沢東に手玉に取られたことが『マオ』に載っていました。まさに彼の言ったとおり、「国家間に友人は存在しない」。私が後で“礼”をするのが米国と書いたのも、キッシンジャー外交=米外交のイメージが強いからだと思います。
それにしてもパーレビ元国王をアメリカに亡命させたのはキッシンジャーなんですね。大嫌いな人物です。
>この時カナダが拒んでいたら後でそれ相応の“礼”をするのが米国
いえ、本来 米国はそういう国ではありません。日本と同じくお花畑な国なので。
ただし、キッシンジャーはそういうことを平気でします。(田中角栄が良い例。)