その①、その②の続き
米国から厖大な支援を受けているイスラエルなら、さぞ忠実な同盟国と思いきや、米国政府要人や大統領の面子を潰すこともしばしば行っている。中東に交渉に行ったパウエルやライスもイスラエルから「鼻であしらわれた」り、米国の制止を無視した行動も取る。米国の最先端技術の供与を受け、それで製作した兵器を中国に売ったり、第三国を通じてにせよイランとも商売をしたりする有様。米国の援助金で私腹を肥やすイスラエル人担当者も少なくないとされ、イスラエル政治家も汚職の疑惑が絶えない。
正当な批判でも、“反ユダヤ主義”と目を剥くイスラエルだが、実態はアパルトヘイト体制下の南アと変わりない。首相以下、イスラエル要人の発言は度し難い人種差別が表れている。「パレスチナ人は2本足で歩く野獣である」「瓶の中の気持悪いゴキブリのようだ」「よいアラブ人とは死んだアラブ人のことだ」…人種隔離が続いていた南アの白人政治家さえ、少なくとも公の場では黒人への蔑称は使わなかったし、イスラエルと異なり国際的な経済制裁を受けている。著者たちは言う。「ユダヤ人がアラブ人に乱暴な策を取らずに、自分たち独自の国を創ることなど、そもそも出来ることではない」。
一般にイラク戦争は石油目当てに米国が始めた戦争だと思われているし、私もそれを疑いもしなかった。だが、ミアシャイマー並びウォルト両教授はそれを否定する。石油会社の殆どはイラク侵攻を愚作と見ており、何年もの間ロビー活動をしていたのは、イラクへの経済制裁解除の為だったという。実は<イスラエル・ロビー>の強力な働きかけが背景にあり、イスラエルに尽力するネオコンが大きな役割を果たす。米国にとってイラクやサダム・フセインは脅威ではないが、イスエラルには建国以来イラクは脅威であり、シリア、イランも敵国である。戦争を支持した米国ユダヤ系紙「ジューイッシュ・ウィーク」発行者は、社説で記す。「ユダヤの律法でも、あなた方の敵が貴方を殺そうとしている時は、まず敵を殺せと教えている。自衛とは許されているものではなく、命じられているものなのである」。元イスラエル首相シャミルなど、こう述べていた。「ユダヤ教の論理もユダヤ教の伝統も、どちらも戦闘手段としてテロリズムを禁じてはいない」。
昨年夏、イスラエルは大規模なレバノン侵攻を行い、国際的非難を浴びる。唐突な侵攻に見えるも、『イスラエル・ロビー』にはヒズボラを叩きたくて、その機会を伺っていたことが伺える。著者たちは第11章内に“強力な支援の殿堂”の見出し付きで、こう書いている。
-既に見てきたように、普通イスラエルの最強の支持者は(米国)連邦議会である…あるユダヤ人活動家は、「議会メンバーは、自分の親イスラエル証明書の方がお隣さんのものより強いことを示すことで同僚議員に競り勝つ。そのように議員を仕向けるのはいいことだと私は思う」。
スペインの有力紙『エル・バイス』は記事で次のように書いたそうだ。「国の力が出来事や事件に対しどれ程の影響力を持つかという基準で計測されるとするならば、世界の超大国は米国ではなくイスラエルということになる」。
<イスラエル・ロビー>の実態を暴いた2人の著者は当然“反ユダヤ主義者”と凄まじいバッシングを受けるが、終章「何がなされるべきか」で、より開かれた議論の喚起を呼びかけて、こう述べる。
-より開かれた議論を活発に行うために、米国人は<イスラエル・ロビー>に属する一部の団体や個人が採用している、人々の発言を封じ込めるような方法を拒絶しなければならない。議論をさせないことや相手を中傷することは、民主政治が拠り所としている活発で開かれた議論という原理に反している。この非民主的方法に継続的に依存していると、将来、敵意に満ちたしっぺ返しが発生する危険性がある。
著者たちはイスラエルは民主国家で、中東一の軍事大国なので、米国は闇雲な支援を止め他の民主国家と同等の扱いをするよう主張する。今のイスラエルは米国にとって戦略的に既にお荷物(負債)になり、<イスラエル・ロビー>の活動は国益を損なっている、と。
米国のNSC(国家安全保障会議)の最重要人物で、ホワイトハウスでも影響力を持つエリオット・エイブラムスはユダヤ系であり、'97年に出版された著書でこう記していた。これだけでタキトゥスの時代からまるで変わっていないのが知れる。
-神とアブラハムとの間で結ばれた契約に忠実なユダヤ人たちは、彼らが居住する国の中で他の国民とは違った存在だ。ユダヤ人であることによって、他の国民とは違うというのは大いに自然なことなのである。
それにしても、米国の多くの議員や歴代大統領までもが、<イスラエル・ロビー>により大変な政治的圧力に晒されていたのは驚く。訳者あとがきで副島隆彦は言う。「これでは、何処かの国の卑屈な政治家たちの惨めな姿とちっとも変わりないではないか」!
「政策形成を誘導する」「社会的風潮を支配する」集団なら、我国にも溢れかえっている。イスラエルは時には周囲を敵に囲まれた弱国を装い、ユダヤ人迫害の歴史を繰り返し述べ、直接迫害に加わらずとも傍観していた異教徒を叱責する。だが、米国ユダヤ系の大半は同胞の非民主的方法には口をつぐんでおり、これは日本在住の外来民族と完全に重なる。
◆関連記事:「標的は11人」
「ユダヤ人テロ組織」
「ローマとユダヤ-古代ローマの宗教戦争」
「常に被害者を装う-聖書から見るユダヤ人」
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米国から厖大な支援を受けているイスラエルなら、さぞ忠実な同盟国と思いきや、米国政府要人や大統領の面子を潰すこともしばしば行っている。中東に交渉に行ったパウエルやライスもイスラエルから「鼻であしらわれた」り、米国の制止を無視した行動も取る。米国の最先端技術の供与を受け、それで製作した兵器を中国に売ったり、第三国を通じてにせよイランとも商売をしたりする有様。米国の援助金で私腹を肥やすイスラエル人担当者も少なくないとされ、イスラエル政治家も汚職の疑惑が絶えない。
正当な批判でも、“反ユダヤ主義”と目を剥くイスラエルだが、実態はアパルトヘイト体制下の南アと変わりない。首相以下、イスラエル要人の発言は度し難い人種差別が表れている。「パレスチナ人は2本足で歩く野獣である」「瓶の中の気持悪いゴキブリのようだ」「よいアラブ人とは死んだアラブ人のことだ」…人種隔離が続いていた南アの白人政治家さえ、少なくとも公の場では黒人への蔑称は使わなかったし、イスラエルと異なり国際的な経済制裁を受けている。著者たちは言う。「ユダヤ人がアラブ人に乱暴な策を取らずに、自分たち独自の国を創ることなど、そもそも出来ることではない」。
一般にイラク戦争は石油目当てに米国が始めた戦争だと思われているし、私もそれを疑いもしなかった。だが、ミアシャイマー並びウォルト両教授はそれを否定する。石油会社の殆どはイラク侵攻を愚作と見ており、何年もの間ロビー活動をしていたのは、イラクへの経済制裁解除の為だったという。実は<イスラエル・ロビー>の強力な働きかけが背景にあり、イスラエルに尽力するネオコンが大きな役割を果たす。米国にとってイラクやサダム・フセインは脅威ではないが、イスエラルには建国以来イラクは脅威であり、シリア、イランも敵国である。戦争を支持した米国ユダヤ系紙「ジューイッシュ・ウィーク」発行者は、社説で記す。「ユダヤの律法でも、あなた方の敵が貴方を殺そうとしている時は、まず敵を殺せと教えている。自衛とは許されているものではなく、命じられているものなのである」。元イスラエル首相シャミルなど、こう述べていた。「ユダヤ教の論理もユダヤ教の伝統も、どちらも戦闘手段としてテロリズムを禁じてはいない」。
昨年夏、イスラエルは大規模なレバノン侵攻を行い、国際的非難を浴びる。唐突な侵攻に見えるも、『イスラエル・ロビー』にはヒズボラを叩きたくて、その機会を伺っていたことが伺える。著者たちは第11章内に“強力な支援の殿堂”の見出し付きで、こう書いている。
-既に見てきたように、普通イスラエルの最強の支持者は(米国)連邦議会である…あるユダヤ人活動家は、「議会メンバーは、自分の親イスラエル証明書の方がお隣さんのものより強いことを示すことで同僚議員に競り勝つ。そのように議員を仕向けるのはいいことだと私は思う」。
スペインの有力紙『エル・バイス』は記事で次のように書いたそうだ。「国の力が出来事や事件に対しどれ程の影響力を持つかという基準で計測されるとするならば、世界の超大国は米国ではなくイスラエルということになる」。
<イスラエル・ロビー>の実態を暴いた2人の著者は当然“反ユダヤ主義者”と凄まじいバッシングを受けるが、終章「何がなされるべきか」で、より開かれた議論の喚起を呼びかけて、こう述べる。
-より開かれた議論を活発に行うために、米国人は<イスラエル・ロビー>に属する一部の団体や個人が採用している、人々の発言を封じ込めるような方法を拒絶しなければならない。議論をさせないことや相手を中傷することは、民主政治が拠り所としている活発で開かれた議論という原理に反している。この非民主的方法に継続的に依存していると、将来、敵意に満ちたしっぺ返しが発生する危険性がある。
著者たちはイスラエルは民主国家で、中東一の軍事大国なので、米国は闇雲な支援を止め他の民主国家と同等の扱いをするよう主張する。今のイスラエルは米国にとって戦略的に既にお荷物(負債)になり、<イスラエル・ロビー>の活動は国益を損なっている、と。
米国のNSC(国家安全保障会議)の最重要人物で、ホワイトハウスでも影響力を持つエリオット・エイブラムスはユダヤ系であり、'97年に出版された著書でこう記していた。これだけでタキトゥスの時代からまるで変わっていないのが知れる。
-神とアブラハムとの間で結ばれた契約に忠実なユダヤ人たちは、彼らが居住する国の中で他の国民とは違った存在だ。ユダヤ人であることによって、他の国民とは違うというのは大いに自然なことなのである。
それにしても、米国の多くの議員や歴代大統領までもが、<イスラエル・ロビー>により大変な政治的圧力に晒されていたのは驚く。訳者あとがきで副島隆彦は言う。「これでは、何処かの国の卑屈な政治家たちの惨めな姿とちっとも変わりないではないか」!
「政策形成を誘導する」「社会的風潮を支配する」集団なら、我国にも溢れかえっている。イスラエルは時には周囲を敵に囲まれた弱国を装い、ユダヤ人迫害の歴史を繰り返し述べ、直接迫害に加わらずとも傍観していた異教徒を叱責する。だが、米国ユダヤ系の大半は同胞の非民主的方法には口をつぐんでおり、これは日本在住の外来民族と完全に重なる。
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イスラエル・ロビーのお話を読みますと、ユダヤ人には度し難い選民思想しかないのですが、二ヶ月ぐらい前、読売新聞にネオナチとなったユダヤ人少年グループの話が出ていました。
幼少時にロシアから移民した少年達で、中にはアウシュヴィッツから生還した祖母を持つものもいるのですが、彼らは自分たちをユダヤ人と思わずに暴力沙汰を起こし、欧州のネオナチとも連絡を取っていたのだそうです。
ユダヤ選民思想とユダヤ人排撃思想が同じ人間の中でどういうバランスをとっていたのか理解できませんし、欧州のネオナチは彼らをどう受け入れていたのか興味があります。
読売新聞のお話はとても面白いですね。
元々ユダヤ人はコーカソイドなので、白色人種に連なるという意識があると思います。
アメリカの白人至上主義団体クー・クラックス・クランなど、初期にはユダヤ人もいたことがWikipediaに載っています。やはり少数民族の不利ゆえ、多数派と迎合しニセ白人に成り済まして、社会的に報われたい心理があったのかも。
欧州のネオナチにせよ、旧ナチにしろ、実は純血のアーリア人ばかりではなかったそうです。
かなり前、映画監督スピルバーグがユダヤ系ゆえに劣等感が常にあったと言っており、これには驚きました。ひょっとして、あの強烈な選民思想は被害妄想と劣等感の裏返しであり、何事にも過剰反応をする原因かもしれません。
mugiさんのおっしゃるこのことが、真実であってはいけないのにいつの間にやら「真実」といいくるめられていることが、ある種悲劇だと思います。
ユダヤ人にとって、一番の祖先は新約聖書のマタイ伝にあるとおり、アブラハムのはず。この人は現在のイラク、バグダッドの近くのウルの地に生まれ、神からの導きでパレスチナ地方にやってきて、そこを一生の住処と決めました。つまり、人種的にはコーカソイド
であり得るはずが無い。
それなのにユダヤがコーカソイドに「なって」しまっているのは、8世紀ごろ、黒海とカスピ海の間辺りの中央アジアに「ハザール帝国」なる国が誕生、西のビザンチウム帝国(東ローマ帝国)と東のイスラム帝国の間で、キリスト教とイスラム教の板挟みになり、国教を強引にユダヤ教にしたことから、いつの間にか「ユダヤ人」といえば「ハザール人」のことを指すようになってしまった。つまり、今のイスラエルという国に「ユダヤ人」の大部分は何の関係もないのに、先祖の住んでいた地域だと嘯いているのです。キリストが生きた時代にパレスチナにいた原住民たちならばユダヤを名乗っても「正統性」があるが、ハザールについては「インチキユダヤ」としか言いようが無い。ところが、ユダヤといえば白人だらけというのは、この「インチキ」がいつの間にか「真実」に化けて一人歩きしているからです。
「インチキ」がいつの間にか「真実」に化けて一人歩きということを、我々日本人は真剣に受け止める必要があります。「従軍慰安婦」、「南京大虐殺」その他もろもろ、重大なことですから。
コーカソイドとは白色人種のみを意味するのではなく、中東およびインド亜大陸の主要民族、並びに北アフリカの一部民族も、現在ではコーカソイドに分類されています。肌の色ではなく、外貌の特徴から「コーカソイド」の言葉を使いました。例えば、一般にインド人など日本人より色黒ですが、それでも彼らはアーリアを自称し、欧州人と同じ系統の人種だと思っています(イラン人も同じ)。
アラブ人やユダヤ人のような所謂「セム族」もまた、同じコーカソイドと分類されます。アラブ人も肌色はともかく、ほりの深い顔立ちであり、モンゴロイドとは明らかに違います。中国人は“深眼隆鼻”と上手い表現をしました。
コーカソイド http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E4%BA%BA
旧約聖書の創世記にも、「ノアが五百歳になったとき、ノアはセム・ハム・ヤペテを生んだ」とありますが、ヤペテこそ欧州人の祖。聖書も粉飾がかなりあり、真実ではない記述もあるでしょうが。
以前にも「インチキユダヤ」こと「ハザール人」のことは伺いました。「ハザール人」のことはともかく、アブラハムはユダヤ、アラブのようなセム族、ヤペテ(白人)双方の祖であり、それゆえ人種的に「コーカソイド」に当たります。古代ローマ時代のユダヤも“深眼隆鼻”の人々だったはず。
仰るとおり、「インチキ」が「真実」に化けてしまうのは歴史にありがちですね。キリストの復活やホロコースト犠牲者6百万人説など私は信じていません。