トーキング・マイノリティ

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バグタッド・スキャンダル 18/米・加・デンマーク合作

2019-08-22 21:40:04 | 映画

 コピーは「200億ドルの巨額マネーはどこへ消えた?」。国連史上最悪の政治スキャンダルとされる石油食料交換プログラムの裏で、行われていた巨額不正事件をテーマとしたのがこの作品。以下は映画サイト Movie Walker でのストーリ紹介

2002年、イラク戦争直前のバグダッド。24歳のアメリカ人青年マイケル(テオ・ジェームズ)は、外交官であった父の跡を継ぎ、念願だった国連事務次官の特別補佐官に任命され、国連主導による「石油・食料交換計画」の担当者となる。これはイラクがクウェートに侵攻したことで行われた経済制裁の影響で貧困にあえぐイラク民間人を救う人道支援計画であり、国連管理のもとイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配るというプロジェクトであった。
 一見理想的な政策に見えるこの計画、実はイラクの大統領フセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構が関わっていることが判明。200億ドル(約2兆2,000億円)という巨額マネーが消え、国連史上最悪の政治スキャンダルへと発展していく……。

 石油食料交換プログラム自体、日本ではあまり知られていないだろう。映画へのネット・レビューでも、日本のメディアではまず見かけなかったという意見が複数あった。宮城の地方紙・河北新報にもこれを報じた記事を見た記憶がない。wikiの冒頭ではこう解説されている。

石油食料交換プログラム(英語:Oil-for-food program)とは、1995年に国際連合が国連安保理決議986に基づいて行い、1996年から開始され、2003年末頃終了した7年間累計で輸出640億ドル(当時の為替レートで7兆3600億円)輸入370億ドル(4兆2250億円)に至った交換プログラムである。
 このプログラムは、イラクが軍隊を再構築することなく、食品・医薬品その他のイラク市民にとって人道的に必要な物資と交換に、イラクが石油を輸出できるようにすることが目的であった。

 このプログラムは、湾岸戦争の勃発にともなってサッダーム・フセイン政権下のイラク非武装化のために行われた経済制裁の影響が、イラクの一般市民に及びすぎている、という議論へ対抗する形で、アメリカ合衆国ビル・クリントン大統領政権により1995年に提案された。経済制裁が終了したのは、イラク戦争および連合国暫定当局への人道的支援引き継ぎが終了した後の、2003年11月21日であった。
 このプログラムが終了してから、プログラムの資金に関する18億ドル(約2000億円)を超える汚職が明らかになった。後にアメリカ合衆国政府会計局(GAO)による調査では、汚職の一部(フセイン大統領の取り分)だけでも推定101億ドルと、1兆円を超える汚職であった可能性が指摘されるも、国連は調査協力を拒否した為に全容不明である……

  実は私自身、石油食料交換プログラムに絡んだ巨額不正をネットで知った。おそらく他の地方紙も同じだろうが、とにかく河北新報は国連至上主義と言ってよいほど国連礼賛一色記事ばかり載せていた。国連は公正無比な国際機関だと言わんばかりに国連中心、国連指導で解決等々のお題目で紙面を埋めていたものだ。国連指導を訴える政治家も少なくなかった。
 国連、国連の掛け声が最近はあまり見られなくなったのも、国連機関の怪しさが知られるようになってきたからだろう。殊にデイヴィッド・ケイ如き国連特別報告者では特亜の白猿と見なされて当然だし、反日圧力機関の一種と化しているのは明らかだ。

 日本人が国連の要職に就くとメディアは挙って持ち上げるし、緒方貞子は未だに称賛されている。しかし、彼女が国連難民高等弁務官を努めていた時も事務所では汚職が蔓延り、国連職員がビザ発給を条件に難民女性に肉体関係を迫った事件もあった。緒方以前から常態化していたかもしれないが。
 それでも少なからぬ日本人は国連をはじめとする国際機関を公正なものと信じているが、ロビー活動次第で不正義がまかり通るのが世界の実態なのだ。日本人の国連神話を作ったのはメディアの喧伝工作の功績である。

 映画では巨額不正事件に関わった国々の実名が挙げられており、wikiにも多数の個人・組織名が載っている。米英中仏露の常任理事国はもちろんスイス・マレーシア・シリア・ヨルダン・エジプトの国名も見える。
 国連からイラクに支援物資が送られたのは確かだが、期限切れの医療品や食品が多く、横流しされた巨額のカネはフセイン政権の元にも流れたという。ちなみに映画やwikiには日本の名は出てこないが、これを清廉と思うか、単に大金を出しただけの阿呆と見るか……

 発覚しないだけで国連の人道支援に絡む不正事件は他にもあるはず。映画の原題は Backstabbing for Beginners 、元国連職員マイケル・スーサン(映画ではマイケル・サリヴァンとなっている)が自身の体験をもとに執筆した小説と同名。全く国連外交の場で日本は 未だに Beginners である。



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (牛蒡剣)
2019-08-23 20:41:25
ぼんやりと石油食料交換プログラムの報道を見た記憶がありますが、今日の今日まで思い出すこともなかったし、詳細も答えられないですねえ。

日本は大口スポンサーなんだからこそこういう
腐敗につけ込んんでカネを値切るなり中韓のように
敵対国にとって厭らしい決議を出せるような部署
のポストを分捕るとかもっとアグレッシブかつ
貪欲な外交をしてほしいですよ。
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Unknown (鳳山)
2019-08-23 23:42:16
国連って結局は連合国の事ですからね。汚職もあるでしょう。日本人は国連信仰が酷すぎます。だから騙されるのです。
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牛蒡剣さんへ (mugi)
2019-08-24 22:12:46
 河北新報では石油食料交換プログラム関わる巨額不正報道は見た記憶がありません。或いは見落としたのかもしれませんが、取り上げてもベタ記事だったと思います。
 首相になる前に鳩ぽっぽが国連の拠出金を減らすと言った時、河北ではその発言を批判、「大人げない」と書いていました。これまでどおり「大人の対応」を続けろというのです。

 日本は大口スポンサーにも関わらず、最小限の結果して得ていない。アグレッシブかつ貪欲な外交ができないのはBeginners そのものです。
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鳳山さんへ (mugi)
2019-08-24 22:14:30
 国連のように利権が絡むプロジェクトを扱う巨大機関ならば、汚職は相当あると思います。日本人の国連信仰はマスコミの影響が大てすが、「国際人」の意見を鵜呑みにしたのは能天気でしょう。
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河野太郎www (のらくろ)
2019-08-25 12:22:52
エントリーには無関係かな? カスリはするのかな?

ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1993213.html
ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1993220.html

どこぞの国もそのマスゴミもとんでもなく自意識過剰なのを露呈したと思ったら、今度はマッド・ジャップが喚く喚く

ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1993250.html

ASEAN50周年行事の記念品でフィリピン製だそうな。のらくろも金属アレルギーで、夏には腕時計跡に水膨れができたりしたので、ここ30年は腕時計というものを着用しなかったが、この竹製はいいかもしれない。

とにかく、ツッコミでなく、ボケでこれだけできる河野太郎は只者ではない。安倍の後は菅-河野-安倍で2順ぐらいして、その間に次世代総理総裁候補を育てていくようにするべきと思う。

え、横須賀のボンボン、だめだありゃ。
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Re:河野太郎www (mugi)
2019-08-25 22:04:25
>のらくろ さん

「痛いニュース」、私も既読ですが吉方べきや新村紘宇二って、本当に日本人でしょうか?前者は韓国在住が長く、後者はググるとかなりヤバい過去があるようです。これでは「恥の上塗りおじさん」呼ばわりされて当たり前。
https://kininaruweb.com/niimura/

 例え両者とも日本人でも、吉方べきの見解は完全に半島系だし、新村は慎ましさの矜持ゼロのマッド・ジャップの見本。尤も前者はああでないと半島に居住できませんから。
 金属アレルギーではありませんが、私も夏には金属の腕時計だと痒みがあるので、家では外しています。しかし竹製なら大丈夫ですね。竹製の腕時計ならば、記事にした巨額汚職事件とは比べものになりません。

 父親がアレなので河野太郎は全く期待していませんでしたが、思った以上に仕事しています。少なくとも首相になる気だけは満々の前外相よりはずっとマシです。
 横須賀のボンボン?特技は女子アナの尻を追いかけることだったでしょうか。
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やっぱり高麗野獣連盟 (のらくろ)
2019-08-30 01:55:16
ttp://agora-web.jp/archives/2041184.html

ついでに、
#Me tooの正体見たり、プロパガンダ
ttp://agora-web.jp/archives/2041191.html

伊藤和子の見苦しいこと
「我、フェミニズムに殉じ、一身を捧ぐ」と啖呵切って、アンチフェミニストに「特攻」してこい!
返信する
Re:やっぱり高麗野獣連盟 (mugi)
2019-08-30 22:45:22
>のらくろ さん、

「高麗野獣連盟」とは言い得て妙ですね。尤もホンモノの野獣の方が高麗よりも節度があるように思えます。いかにスポンサーが朝日でも高野連は本当に情けない。正に「隷韓」そのもの。

 #Me tooの正体は予測がついていましたが、今回の韓国♂による暴行事件で馬脚を出しましたね。青木理の妄言で「本来ならニュースにならないニュース」は実に意味深。つまり、これまでならニュースにしなかったニュース(報道しない自由)と言えます。

 伊藤和子に限らず日本の人権・女性団体が挙ってダンマリ、これだけで連中の本性を物語っています。彼女らこそ反日国の“慰安婦”でしょう。この種の♀がコメンターとして登場、ワイドショーなど見る気も起きません。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1993398.html
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