ムック『AERA in Rock クイーンの時代』を先日購入にした。ブーム便乗本なのはタイトルだけで分るし、いかにクイーンファンでも私は買う予定はなかった。既にシンコー・ミュージック版ムック『MUSIC LIFE Presents クイーン』を購入していたし、AERAは朝日新聞社の雑誌である。
浅野裕見子なる下劣記者もいて、この者が電子版で投稿した記事を紹介しているサイトもある。アマゾンにも辛口な批評が結構あり、買う価値なし、と思った。
にも関わらず、私が購入したのは青池保子さんのインタビューが掲載されていたのを知ったからだ。この件はアマゾンではなく、あるクイーンファンのツイートを見て初めて知った。アマゾンの紹介には青池さんのインタビューのことは書かれていない。表紙の左側に「特別インタビュー 青池保子「イブの息子たち」「エロイカより愛をこめて」誕生秘話」の見出しがあり、これは絶対に見逃せないと思った。
私は高校時代から青池漫画のファンで、既に40年近くもなることに今更ながら驚く。'96年からハマったクイーンよりファン歴が長いのだ。私が青池作品を知ったのは、クラスメートの友人から「イブの息子たち」を紹介されたことがきっかけ。友人いわく、「これ面白いよ。世界史の勉強になるよ」
AERAのインタビュー記事は3頁(66-68)に亘っており、インタビュアーは何と浅野裕見子だった。さすがに今回は観相学から見た青池さんへの言説はなかったが、特集見出しには「ロックと少女漫画の蜜月関係」とあり、見出し文はこうあった。
「日本での洋楽ロックの歴史を語るうえで、切り離せないのが少女漫画だ。漫画家はロックに影響され、読者は漫画でロックを知った。時代をぐいぐいと推し進めた。あのパワーは何だったんだろう」
「イブの息子たち」は青池さんの出世作である。デビューから10年ほど鳴かず飛ばず状態だった彼女が、これを境に作風を大きく変えていく。連載開始は1976年、それまでの少女漫画といえば純愛を描く「恋愛もの」が主流で、ベルばらもその王道の作品なのだ。
しかし青池さんは、「固定観念を壊したい」「面白いものが描きたい!」の一念を新作「イブの息子たち」にぶつけたそうだ。それまでは主に講談社の「週刊少女フレンド」に投稿していた青池さんが、秋田書店の「月刊プリンセス」で活動を始め、ヒット作を生み出していく。青池さんも、「秋田書店でなかったら、『イブの息子たち』も『エロイカより愛をこめて』も描けなかったでしょうね」という。
「イブの息子たち」を青池さんは「破壊の漫画」と呼んでいる。主人公は詩人のバージル、ピアニストのヒース、ロック歌手ジャスティン等英国青年3人組で、彼らは或る日天使ドジエルから、イブの肋骨から作られた男性だけの一族ヴァン・ローゼ族であることを告げられる。
この設定自体も実にユニークだが、歴史上の実在の人物や架空の人物が時系列にお構いなしに登場、ヴァン・ローゼ族と敵対する女たちとの騒動に主人公3人組は毎回巻き込まれるというストーリー。コピーのひとつは「ハチャメチャコメディー」で、青池さんも「面白いこと、新しいことをこれでもか、これでもか、っていう日々でした」と振り返る。
それまでの純愛少女漫画路線からの完全な転換であり、以前のファンからは、「あなたは堕落したんですね。さようなら」という手紙が来たこともあったことは、以前のインタビューで知っていた。ちょっとショックだったが、「でも面白いのよ。止められない。描きたかった」と語る青池さん。
そのモチベーションの背中をぐいぐい押してくれたのがロックだった。「イブの息子たち」のヒースのモデルはキース・エマーソン(エマーソン・レイク・アンド・パーマー(EL&P))なのも知っていたが、ジャスティンのモデルがピーター・フランプトンだったとは、今回初めて分かった。その理由を青池さんはこう話している。
「私の作品は硬派だっていわれるんです。東西冷戦を描いたり、男性も筋肉質だったりしますから。音楽の趣味もわりと硬派で、ハードロックやプログレッシブ・ロックが大好き。ピーター・フランプトンみたいなアイドルっぽいのはあんまり好きじゃない。だから、なよなよした女の子っぽいキャラクターで、いじめられ役にしちゃったんです(笑)」
その②に続く
◆関連記事:「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」
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で、青池保子氏の好きなモノはフレディーとの共通点が多いのです。
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日本酒(しかも辛口)好きの白鳥ニジンスキーを覚えているでしょうか?
実はフレディーもニジンスキー大好きなことが" I Want To Break Free"のMVを観てワカッテしまった。
ブログに書いたので見てニンマリしてください。
https://blog.goo.ne.jp/mobilis-in-mobili/e/3deda7f5d095d5d6dd114863eaad52a1
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『イブの息子たち』って話全体が・・・いってみれば大和和紀『はいからさんが通る』の楽屋オチ総集編で成立しているような漫画でしたので、原典がワカルととても嬉しかった記憶があります。
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後年になるまで分からなかったのが『タルカス』と『マンティコア』・・・エマーソン聴いていなかったからなあ。
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そして最終回に登場するベレー帽のイケメン。
あれがチェーザレ・ボルジアだと分かった時は感動したなあ・・・。
白鳥ニジンスキー、強烈なキャラだったので憶えております。『イブの息子たち』のおかげでニジンスキーという実在のバレリーナがいたことを知りました。
フレディはバレエ好きだし、ニジンスキーを当然知っていたでしょうね。" I Want To Break Free"のMVでのフレディは、白黒まだら牛柄のレオタード姿で登場しており、初めて見た時はキモいおっさんとしか思えなかった。『イブの息子たち』のニジンスキーも白黒ダイヤ柄で登場したこともあったから、青池さんもクイーンは嫌いではなかったのでしょう。
私もエマーソンは聴いていなかったので、『タルカス』と『マンティコア』のことは今回のコメントで初めて知りました。
あるクイーンファンがツイートで、ジャスティンのバンドメンバーのドラマーとベーシストのモデルはクイーンではないか、と言っていました。確かにドラマーは金髪だし、ベーシストはたれ目で髪にはアミが掛かっている。2人はどう見ても女たらし、というバージルの台詞もありますし。
毒薬カンタレラを使っていることから、ベレー帽のイケメンがチェーザレ・ボルジアであるのが分りますよね。尤も私にそれを教えてくれたのは、『イブ』を紹介してくれた友人でした。