トーキング・マイノリティ

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国際支援団体への疑心

2009-08-21 21:26:34 | 世相(外国)
 ネットをする以前まで、赤十字やユニセフのような国際支援団体は世界の恵まれぬ人々に対し、懸命に人道活動を行う組織だと私は露疑わなかった。他の団体と同じく寄付金を横領する不心得者も中にいても、他のメンバーは皆真摯に活動をされているとばかり思い込んでいた。しかし2ヶ月ほど前、拙ブログへのコメントで「賀川豊彦の闇」というブログ記事の紹介があり、赤十字社のようなキリスト教系支援組織への疑心が描かれてあった。

 この記事で私は初めて賀川豊彦なるクリスチャンを知ったが、ブロガー「心に青雲」氏は末尾でこう結んでいる。
-国境をなくしましょう、との大号令は、みんなユダヤの戦略から出ている。「国境なき医師団」とか、「国境なき記者団」とか、国連のさまざまな機関であるユネスコ、ユニセフ、WHO、あるいは赤十字やロータリークラブ、共産主義運動などなど、みんな国境をなくそうというユダヤの謀略が隠されている。だから調子に乗ってユニセフに寄付なんかするものではないのだ。慈善事業はみんな怪しいのである

「心に青雲」氏はよく“ユダヤ・イルミナティの陰謀”の表現を使うため、揶揄する者もいる。ただ、時事問題に関し鋭い見解も述べるため、安易なユダヤ陰謀論者とばかり言い切れない面もあるのだ。拙ブログにこの記事を紹介された「のらくろ」さんは、ここでもコメントされており、入院され空き家になったご尊父の家に「国境なき医師団」や「ユニセフ」の郵便物が届いたそうだ。しかも、空家となった時期からまるまる1年半も定期的に郵送されていたという。「のらくろ」さんはその背景を次のように推測されており、私もこれには納得させられた。
郵送、運送料だってタダではない…儲かっているとは思われないユニセフなどが、こうもパブリシティをバラ巻き続けられるというのは、当然に「我々には見えない」強力な資金源があるからだと考えるのが妥当だろう。つまり、我々貧乏人の寄付などなくても、彼らは平然と活動を続けられる。我々の寄付などには感謝するフリをして、結局は「またカモが引っ掛かった」とせせら笑っているのであろう…

アラブの怒りを和らげる赤十字活動-平和実現への具体的な活動」という記事を先日見かけた。このブロガー氏はカトリックで、それまでホロコーストと日本の関連性は幾度も取り上げながら、帝国主義の先兵たるキリスト教宣教師の行動やパレスチナの惨状は黙殺状態だった。今回は弁解がましい冒頭から、赤十字運動への賛辞の本文、末尾では「皆様はこのようなアラブ社会を含む平和活動へ寄付をしたくなりませんか?」と呼びかけている。「多額の寄付金も歓迎します」、当り前だ。
 この管理人氏がそれまで赤十字活動をされたのか不明だが、春頃の記事に友人からボランティア活動に誘われても参加せず、ネットや別荘、ヨットの1人娯楽を満喫していたのが伺えた。つまり、悠々自適のご隠居生活を送られているご身分なのだ。

「赤十字運動は宗教を超越してアラブ圏でも受け入れられているのです」と、件の管理人は書く。もちろんそれは間違いではない。しかし、中東では赤十字のマークは十字軍が連想され、日の丸が憎まれる中韓同様厭われるため、赤新月という白地に赤い三日月のマークが一般に使われている。赤十字のマークの付いた対象を平気で攻撃するイスラム過激派もおり、活動家の身体の保障のため赤新月を使った方がより安全なのだ。イスラエル軍となればさらに赤十字マークでも容赦しないことがある。ダビデの星なら神聖なマークだが、十字架に忌まわしい記憶があるのはユダヤ教徒も同じである。ただ、平和活動でアラブの怒りが和らぐと日本人は考えがちだが、かなり疑問である。

 カトリックの作家・曽野綾子氏は第三世界でのボランティア活動体験が豊富であり、ブログ記事「根深汁」で氏がパレスチナで活動した体験が載っている。氏がガザの難民キャンプで出会った女教師の話は興味深い。教師が抗戦的な態度でアメリカを口を極めて罵るので、氏は「あなたたちはそのアメリカに経済的に助けられているんです」と言う。当時もパレスチナに対する支援額は、一位がアメリカ、二位が日本だった。だが、曽野氏に指摘された女教師は逆上、アラビア語でこう捲くし立てた。
アメリカが金を出すのは、パレスチナに悪いことをしたという自覚があるからだ。もっと取ってやればいい。そしてこういうことをいう女(私)は誘拐してやればいい!

 私は中東にいささか知識があるつもりだったが、曽野氏の体験から改めてイスラム世界の認識の違いを痛感させられた。パレスチナに悪いことをしないはずの日本も所詮不信仰な異教徒に過ぎず、異教徒が豊かなのはあこぎなことをした結果であり、信仰正しきムスリムがその異教徒の金をとって何が悪い、と考えているのは確実だろう。かつてイスラム世界で異教徒はジズヤ(人頭税)を負担させられていたが、それは義務であって感謝などされなかった。そして、欧米に怒っているのはアラブだけではなく、トルコやイランも事情は変わりない。

 マキアヴェッリは『政略論』で、絶対に軽視してはならないことを二つ挙げている。第一は忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと、思ってはならない。第二は報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。

◆関連記事:「海外援助について
 「日本人医者によるガザ報告

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今日、また届きました (のらくろ)
2009-08-22 23:47:38
「国境なき医師団」の郵便物。

勿論、「払込票」やら返信用封筒同封でね。

それにしても、なんでこういうNGOとかNPOがあれこれしなきゃいけないんでしょうね。本来、国連が担うべき役割なんじゃないでしょうか。しかも、我が国の分担率はアメリカに次いで多い約20%、で、滞納率はゼロだそうで、スポンサーならもう少し発言権あってもいいんじゃないの?

あ、UNITED NATIONSはもともと「枢軸諸国」に対抗するものなんだから、日本は敵性国家、敗戦国家でしたね。そこからいくらふんだくろうが、勝者の当然の権利、そういうことですか。

共産支那のUNITED NATIONSの翻訳は、「連合国」だそうで。

さて、あの種の配達はいつまで続くんでしょうか。今後も定点観測を続けます。
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曽野綾子さんのポリシー (madi)
2009-08-23 05:25:00
日本財団にかかわっていたときは現地に直接届けることにしかやってはいけない、という方針を実行されていたようです。
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Re:今日、また届きました (mugi)
2009-08-23 22:07:27
>のらくろ さん

 私の元には今のところ「国境なき医師団」の郵便物は届いていませんが、何年か前にユニセフから「払込票」やら返信用封筒同封で届いたことがあります。私の元にユニセフから郵便物が来るはずがないし、振り込め詐欺のようなものだと思い、ゴミ箱に捨てました。今にして思うとあれは国連のそれでなく、香港出身タレントの「日本ユニセフ」だったのでしょう。
 
 2月初め、河北新報の外電に「国境なき医師団」創設者で、クシュネル現フランス外相の公私混同をめぐるニュースが載っていました。アフリカでの保健衛生事業で利権を得ていたとか。フランスといえば一応カトリックの国、国際人気取り日本人クリスチャンも盛んに寄付を呼びかけてますが、果たして本人は寄付をしているのやら。案外ヤクザのような上納金システムがあったりして。
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Re:曽野綾子さんのポリシー (mugi)
2009-08-23 22:08:08
>madiさん

 記事「根深汁」にあるとおり、曽野さんは「贈り物にも監視は必要」と題し、末尾は「日本が出す援助金の使い道については、パレスチナでは人道的に使ってくれるだろうと日本人は思うが、着服もあるだろうし、その金で武器を買う人もいるだろう。贈り物にも監視が必要なのは世界の常識だ」いう要旨で結んでいるそうです。

 さすが現地でボランティアをされた方は違いますね。金も出せば口も出すのが世界で一般的。寄付を呼びかけるだけの人は、世の中知らずのお人よしでなければ詐欺の意図があると私は見ています。
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Unknown (通りすがり)
2009-08-25 20:47:02
また投稿させて頂きます。勉強させてもらってます!

ワタクシ、国境なき医師団に寄付してまして、果たして続けていいものかと思案していました。。。何度か止めようと思ったのですが、例えマージン取られてても、幾らかでも現地の人の助けになっているならと思って。実際助けている人も助かっている人もいるわけですし。悩みどころです。。。

ところで、ユダヤ人には収入の一割の寄付という習慣がありますが、このようなある意味美徳を有するなら、どうして嫌われているんでしょうか?自分たちの中だけで寄付しているんですかね?

ビル・トッテン氏は、ビル・ゲイツの財団は、実は投資対象となるもの、市場を形成するようなものにしか寄付をしていないと暴露していますが、彼らの寄付は、投資を意味するのかな?

国境なき~に寄付するのがますますバカらしくなってきましたね(汗
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通りすがり さんへ (mugi)
2009-08-26 21:55:33
 再びコメント、有難うございました!私もネットをしていなければ事情を知らなかったでしょう。

 私の元には「国境なき医師団」の寄付の勧誘は来ていませんが、「心に青雲」氏のブログ記事を見て、しないことに決めました。他国より日本国内での災害の寄付の方が優先だし、こちらは止めるつもりはありません。もっとも、外国の赤十字系にピンハネされていないか、気になりますけど。

 以前の記事「ノブレス・オブリージュ」でも触れましたが、金だけ払っても体を張らない者は特に西欧社会で侮蔑されたようです。ユダヤ人も異教徒は徹底して蔑視していますから、見返りを求めぬ無償の援助はあまりしなかったのやら。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/7361af438753728f521b7c4b56f2b69b

 またイスラム圏でも異教徒にはジズヤと呼ばれる人頭税が課せられましたが、高い人頭税を払っても感謝どころか出して当然の義務であり、徴収も極めて侮辱的でした。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/45d01d06b0d3361bc6d1f97d2d16f987

 ビル・トッテン氏は米国人なのにかなり自国に批判的ですが、何処か左派的なニオイが気になります。マスコミ受けする“親日派”はむしろ胡散臭いと私は見ていますね。親日の衣をまとった親中韓の可能性が高い。
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