2020年10月15日庭の千草)
何年か前読もうと思っていた本があってこの夏コロナ禍で暇だったので、
ブックセンターに行ってみた。
まぁ皆さん、考えることは一緒だったみたいで
人がわんさといました。学生も多くいてマンガ本コーナーは満員!。
まったくの密集。こんなんで感染したら・・・|д゚)
探すのをやめて帰ってきました。
ところが涼しくなって、我が家の本棚やその辺にやたら摘んだりして
ある本の中に買おうと思っていた本がありました。
藤原正彦著「国家の品格」(新潮選書)以前かなり、話題になってましたね。
どうやら相方が昔に買って読んでいたようでした。
ダブって買わなくてよかった!
藤原正彦については新田次郎と藤原てい夫妻の子供で数学者とは
知っていたのですが鼎談(阿川佐和子、壇ふみとの)やら、
新聞の記事等で見て気にかかっていた人でした。
読んでみました。この本に関して言えば軽い語り口ですが
言っていることは結構硬派で、刺激的。
日本人の現在のありかたに問題提起という感がありました。
(愁明菊)
私が成人する頃に学校等で学んだ事は自由、平等、民主主義
の大切さでした。それが理想で世の中はそれが基調で回って
いかなくてはならないということだった。
社会思想で国民主権、ジョン・ロックやベンサムの功利主義
近代資本主義の祖のアダム・スミス は社会通念として
信じてきたのですが。それを突き詰めていくと・・・。
彼は言います。
◎重要なことは論理で説明できない。論理には出発点が必要。
論理だけでは人間社会の問題解決は図れないし論理だけでは
世界は破綻する。現在の世界の荒廃は西欧的な論理
近代的合理精神の追及の結果だという。
もう皆様は既に読まれておられると思うのですが
今回私は「あぁそうだろうな」とうなずくことが多かったです。
はっきりこうなんだと言われるとそれでもかなり動揺しましたが。
なるほど、主権在民とはいえこのごろ私は、衆愚政治には
困ったものだと思っています。
(愚かな国民が多くなればなるほど国は恥ずかしい国になる民主主義!)
哲人政治がいいのではないかとさえ思ってしまう。
経済学者がノーベル賞はもらえるのは眉唾だなとか
(いろいろな説を打ち立ててもそれを裏切る経済現象が起きたり)
経済学って役に立つの?心の中では思っていたのですが・・・。
計算や理論で説明できても社会はそう動いていないようにみえるから。
この本で心に残ったことは
◎新渡戸稲造の武士道精神の提唱。
日本人はこれらを取り戻せと言っている。
●「敗者への共感」「劣者への同情」「弱者への愛情」
を最高の美徳とする。
● 卑怯を憎む心
● 桜の花のような潔さ、美しさを感じる感受性を養う。
◎画一化されて進むグローバリズム・市場経済は人を幸福にしない。
◎美しい情緒の源である日本人の自然との調和で世界に問いかける。
◎精神性を尊ぶ風土が大切。
◎何かにひざまずく心・敬虔なる心を持て。
◎日本の伝統を重んじ、それに自信を持て。
というようなことでした。
今は本が出た頃より時がたっています。世界がコロナ禍の真っ只中、
作者はこの現象をどう思っているのでしょう。
キリスト者の言う神の見えざる手の所為と言うでしょうか?
振り子が大きくマキシマムに達して、それがいま一気に下りて
反対側に振れようとしてるようなこの社会現象!
ブリューゲルのような画家だったら一枚の絵に
振り子にぶら下がり振り落とされまいとする奇怪な動物のような人間や、
獣や魚や怪獣みたいに右往左往する人間をカリカチュアライズ
して描くでしょうか・・。
ブリューゲルの描いたバベルの塔は今世紀のコロナ禍と
同じ物かもしれない。人々が疎遠になるというか・・・。
こんな見方をする人もいました、少しガッカリ
「国家の品格」というトンデモ本 という記事http://kitamaruyuji.com/stillwannasay/2006/12/post_10.html
ご訪問いただき有難うございます。
コメントも嬉しいです!
国家の品格の本は雑談という感はありますね。
もう少しつっこんんで詳しく話を聞けるかと思いきや次に移ってしまう・・。本格的に書いたらあのような小さい本では収まらないでしょうね。
私にはちょい読みで向いてました・・。