2020年8月5日
↑(薬師池公園ハス 花もそろそろロ終わりです。)
日本経済新聞 朝刊には文化欄の枠に必ず私の履歴書という
記事がある。私はあまり新聞は見ない怠け者なのですが
7月ひと月に渡って連載されていた現代美術作家の
杉本博司氏の履歴書は興味をもって拝読しました。
1948年生まれ。大学卒業後、ロサンゼルスでデザインを学んで世界を放浪。ニューヨークで写真が認められアーティストに。生活のため日本の古美術を買い付けニューヨークで店を持つようになる。
それが契機となり日本歴史、文化を深く研究するようになっていく。私が興味をひかれたのはその後の履歴書の後半部分。
彼は太平洋戦争の推移を調べていて戦争遺品のオークションに参加して硫黄島で米軍が兵士に向けて発行した「Jap Hunting License」No Limitー「日本人狩猟許可証」期限なし(現在でも有効という意味か!) という物から東京裁判で検事が使用していたA級戦犯全員の顔写真、その他ほとんどを落札している。能「巣鴨塚」で戦犯が獄中で
死覚悟の心境を演出したり、杉本文楽 曽根崎心中を演出・上演している。
日本が戦争に突入していく過程は「昭和初期、国家が魔法をかけられてしまったようだ」と司馬遼太郎の言葉を引き、
次いで杉本は言う。
「当時の陸軍省、海軍省という国家組織の官僚たちが、省益を優先させて国家を顧みなかったのだ。私は今も同じようなことが起きているように思う。戦前の官僚体質はなんの自己批判もないまま今も連綿と引き継がれている」
(↑薬師池公園にて)
寡聞にして聞かずという言葉を言うも愚かですが、
私は彼のことをこの履歴書を読むまで知りませんでした。
彼は日本文化をこよなく愛しんでそれを世界に発信している。
大学を出てすぐに人種のるつぼであるアメリカに渡り
自分の作品で勝負した。
72年の人生で外国で生活してた時間の方が長い。
ニューヨークで活躍をしていたようだ。
多くの人に認められルモンド紙の一面トップに
文楽 曽根崎心中の記事が載ったこともある。
能「巣鴨塚」でシテ(板垣大将)の霊は焦土と化したこの国に
春の便りが永遠に来ないことを祈っている。
その板垣(戦犯で処刑)の願い通りこの国は永遠の冬に
閉ざされて今日に至っている。と杉本は言っている。
(薬師池公園ハス)
もし、興味を持たれた方はどうぞ、日経新聞「私の履歴書」を
読んでみてください。拙い私の文では彼の文明観、歴史観を
うまく伝えられないです。
読まれれば日本文化の伝道師たる彼の熱意も伝わってきます。
去る7月30日に亡くなられた李登輝総統も
日本は戦後、弱腰の外交で残念だと述べていた。
日本国を見る視点が杉本氏の弁と少し関連がある気がする。
(町田 梅雨明けの薬師池公園)↑
7月9日に友人が行田のハスを撮って送ってくれました。↑
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