技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

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免震について(4)

2006-11-18 18:27:45 | 工学
免震について4回目
今回は,制振の方法について見てみる
免震の考え方にて,有害な振動から構造物などを絶縁することが完全に出来ない場合,制振による振動の低減を図る事になる.
つまり,基礎に繋がっている構造物を完全に切り離せないことは地球に住んでいる限り難しい.地に足をつけている限り,地震とは縁が切れないのである.建物を考えてみると,免震住宅でも,積層ゴムなどで振動絶縁されているように見えるが,積層ゴムのばね定数が0でない限り,固有の振動を発生し,それが地震の持つ振動数と一致したら,共振してしまい,場合によっては危険になってしまう.
制振は,その振動を低減する方法であるが,受動的(パッシブ)の方法として,ダンパーを使う事は前回述べた.
しかし,1つの振動数に対する最適なダンパーは設計できるが,建物等の構造物は複数の振動数で揺れる.従って,複数の振動数に適したダンパーが必要となるが,都合のよいダンパ-を選定することが難しい場合もある.
そこで,アクティブに制御する方法が考えられるのである.
動吸振器の登場である.動吸振器とは,その名前のとおり,動いて振動を吸う機械である.身近なところでは,横浜にお住まいの方なら誰でも知っているランドマークタワーにそれはある.そんなもの見た事無いと言われるかもしれないが,ランドマークタワーの最上階の上(屋上ではない)に着いているはずである.
この動吸振器は,地震ではなく実は風による振動に対抗するものである.あれだけ高いビルともになると,風による荷重で振動することが地震よりも支配的になってしまう.高い階になればその振幅はメートル単位にもなる.とても居住できない.そこで,その揺れを制振するのである.動吸振器の原理は,ブランコの逆の原理と考えてもらうと良い.ブランコを揺らすのは,重心の移動により加振していく.これと逆に重心を移動させれば振動が収まるのである.

次回につづく