技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

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免震について(5)

2006-11-19 13:37:58 | 工学
免震について5回目である
前回は制振について,動吸振器の原理について述べた.
今回は,制振と免震について再度確認すると伴に,動吸振器の意義について再度述べる事とする.
この図は,制振と免震の違いについて述べている.横軸が周期,縦軸第一象限が加速度,第4象限が変位である.制振は2の↓のように,同じ周期の加速度を下げる働きであり,免震は1の→のように周期を長くしている.この周期を長くするということが,建物などの免震に用いられている.しかし,近年の苫小牧の石油タンク炎上の問題など,周期が長い地震波が見直されつつある.つまり,周期が長い地震に対して免震は無力である可能性がある.そのため,免震の効果と長周期の地震に対しては制振の考え方を導入する必要がある.
さて,動吸振器であるが,わかり易い教科書として機械学会図書の機械システムのダイナミックス入門がある.その第8章2節が「振動絶縁」であり,免震や動吸振器による振動絶縁を述べている.
線形の計算において,動吸振器のパラメータは本体構造の質量と動吸振器の質量の比となる.当然のことながら,動吸振器の質量は本体の質量と比較して小さいほど良いと考えられる.しかし,小さいと制振効果は少ない.これをどのようにバランスするかが設計のパラメータとなる.大体,本体の5%から20%程度の質量を考えることが多い.しかし,大型構造物となると1%程度に押さえたいことから,2つの動吸振器を使うといった手法が用いられる.
数式を本ブログでは用いないので,概念的であるが詳しくは上記図書を参照されたい.
次回はアクティブ制御について述べたい.