平成17年3月29日(火)
アナザーストーリー
-2005年7月-
早朝の東都中央病院救命救急センターに、佐倉亮太(大泉洋)が走りこんでくる。一週間の休暇で実家に帰っていた佐倉は、申し送り中の看護師たちの輪に加わった。土産を渡し、実家での出来事を話そうとする佐倉だが、須藤昌代師長(鷲尾真知子)たちには相手にされない。震災以降、救命救急センターを看護師として手伝っていた磯辺望(京野ことみ)は、この日が最後の勤務だった。申し送りを終えた昌代に黒木春正医局長(香川照之)が話しかける。テレビの取材クルーが来たのだ。大友葉月(MEGUMI)たちにも土産を受け取ってもらえない佐倉は、昌代に会議室へ連れて行かれる。
会議室には、昌代のほかに黒木とテレビディレクターの妻木建夫(隈部洋平)がいた。妻木は、震災から半年間の病院業務を検証する番組を作ろうとしている。番組の目線を看護師にしたいと言うことで、佐倉が呼ばれたのだ。佐倉は、喜んで密着取材を引き受ける。
早速、テレビカメラが追いかけ始めるが、佐倉はカメラを意識して仕事がわざとらしくなってしまう。そんな時、水道の復旧作業中に電柱が倒れ、頭に大怪我を負った芹沢将生(岡田義徳)が運び込まれる。同時に、ICUの患者の容態が急変。医師、看護師たちの動きはにわかに慌しくなった。
この喧騒が一段落した時、佐倉は葉月に話しかけるが元気がない。佐倉は、妻木に葉月を紹介し、震災直後の話をさせようとする。だが、葉月は自宅に帰ってしまったことを悔やみ、自分にはその資格がないと断った。
佐倉は、葉月の様子の変化に戸惑い事情を尋ねる。すると、葉月は救命救急センターで働くことに虚しさを感じ始めたと…。
その夜、看護師たちは望のためにささやかな送別会を開く。望は再び看護師になり、救命救急センターに帰ってきたいと語る。話を聞きながら、辛い表情をしていた葉月が席を立った。追いかけた昌代は、葉月に真意を問う。救命救急センターを辞めるか否かだ。葉月は、他の診療科に行きたいと答える。彼女たちを追ってきた佐倉は、葉月に今の仕事を続けるよう説得するが無駄だった。
次の日、昌代が望の進退を黒木に話していると、橘ゆかり(尾野真千子)が芹沢の意識が戻ったと報告に来た。ICUに向かった黒木が、日比谷学(小市慢太郎)や河野純介(川岡大次郎)と芹沢の容態を見る。そこに和也(小栗旬)が顔を出した。和也は、再開した大学に戻ることを純介に告げ、小島楓(松嶋菜々子)に教科書をもらいに来たと言う。だが、楓はサンフランシスコの学会出席中で留守。と、日比谷が和也に紙袋に入った荷物を渡す。日比谷は楓から和也に渡す教科書を預かっていたのだ。喜ぶ和也を、日比谷は医者になったらここに戻って来いと励ます。
一方、佐倉は葉月をなんとか救命救急センターに引きとめようとしていた。ケアした患者はきっと感謝していると佐倉は言うのだが、葉月は聞こうとしない。
その後、佐倉は芹沢と会話。配管の修理をしているという芹沢は、震災後、自分が直した水道管で再開した銭湯に入る人々のことを話す。喜ぶ人々の顔を見ていると、自分が水道管を直したことなど、どうでも良くなったと言うのだ。誰にも感謝されなくても、自分の仕事がやりがいのあるものだとわかったと。芹沢の話は、葉月と黒木も聞いていた。
しばらくすると、葉月は黒木と昌代に呼ばれる。そこには、救命救急センターで孝雄という息子が葉月の世話になったという母の智子がいた。智子は葉月にある問いを投げかける。ICUに孝雄がいた時、その手を握っていたのは葉月なのかと言うのだ。葉月は、ケアする時はいつもそうすると答える。実は、退院した孝雄は寝る時、智子に手を握って欲しいとねだるようになった。だが、いざ智子が握ると、この手ではないと言うのだ。そこに、父の信一に伴われて孝雄が来た。葉月の手を握った孝雄は「この手だ」と微笑み、入院中にずっと励ましてくれたと感謝する。葉月の目には涙が浮かんだ。
泣きながら歩く葉月を、事情を知らない佐倉が見つけた。葉月を心配する佐倉は、もう一度、救命救急センターに残って欲しいと頼み込む。そんな佐倉に葉月は笑顔で「辞めない」と答えた。
救命救急センターでは、今日も看護師たちの奮闘が続く…。