葉織る。

言葉の中にそれを紡ぎ織った人が見えても、それは虚像かもしれない。

甘くない微糖。

2021-02-07 11:24:18 | 雑感

 以前にこんな記事を書いて以来、ほぼ缶コーヒーを飲んでいない。
 全く飲んでいないわけではないが、それこそ例えるなら卒業したOBがフラリと母校を訪問する程度である。
 ところが半月ほど前に、通りがかりの自販機で、こんなコーヒーを見つけてしまった。

 
 プレミアムボス アロマロースト。 大阪特有の激安自販機で70円也。

 缶のデザインが非常に私好みだったのと、「香り高く、甘くない 微糖」という文句に惹かれてしまい、つい飲んでしまった。
 何に惹かれたって、「本当に甘くないのだろうか」という点にである。

 微糖が甘くないのは当然ではないか、という人は、普段缶コーヒーを飲まない人であろう。
 いや、以前は確かに微糖といえば本当に甘くなかったのだが、恐らくはアセスルファムKが使われるようになってからだろうか?微糖タイプの缶コーヒーの殆どは、糖質こそ少ないが、十分に甘味がついているものなのである。

 で、実際に飲んでみると、本当に甘くないのだ。

 後からネットで調べてみると、この商品は自販機限定で、本来夏向けに開発されたものだという。
 つまり、冬場にホットで提供された場合は本来のポテンシャルを発揮しきれないということだ。

 だが私には、独特の感慨を伴った美味しさが感じられた。
 思い起こせば三十年ほど前、まだ私が二十代独身だった頃に、住んでいたアパートの近所にあった伊藤園の自販機で、微糖のセミブラックコーヒーをよく飲んでいたのだが、何だかそれを彷彿とさせる味だったからだ。

 まあ本当は共通しているのは甘くないだけで、全然違う味なのかもしれない。
 或いは微糖で甘くない缶コーヒーというのが、それだけ珍しい、ということなのかもしれない。
 そしてこのデジャヴが、まだ自販機飲料が普通に100円だった頃の感覚とシンクロすると、ちょっとしたタイムスリップ感がオマケについてくるのである。

 …なんてノスタルジーに浸っていたら、この缶コーヒーを飲むのが習慣になりかけていた。
 この自販機のこのコーヒー以外は、さして興味が湧かないのだから不思議なものだ。
 いずれにせよ、定着させたい習慣ではないので、改めてこのブログで気持ちを切り替えようと思った次第である。

 ちなみにこの写真を撮った日は立春であった。
 季節の節目というのは気持ちに区切りをつけるモチベーションになるので都合がよろしい。
 猶、次にこの自販機の前を通りがかった時もその次も、この缶コーヒーは売り切れであった。

 モノが無ければ無駄遣いのしようがないし、ちょっと気に入ったものがちゃんと売れてくれるのは何だか晴れやかな気分である。

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