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関西発の4人組ロックバンド・dpsが11月7日にシングル「タイムライン」でメジャーデビューする。
ソロギタリストとして活動していた森丘直樹(G, Cho)、ギタリストとしてバンド経験のある安井剛志(B, Cho)、そしてバンド活動のみならず作曲家としても活動していた川村篤史(Dr, Cho)の3人は、2016年5月に発表されたZARDのトリビュートアルバム「d-project with ZARD」のレコーディングにも参加したメンバー。そこに、ボーカルコンテストをきっかけに音楽の道を歩み出した現役大学生の木村涼介(Vo)が加わり結成されたのがdpsだ。
デビュー曲「タイムライン」は読売テレビ・日本テレビ系全国ネットアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとしてオンエア中の楽曲。経験とスキルのある3人が奏でるハードかつポップなバンドサウンドと、未知の可能性を秘めた木村のフレッシュな存在感とエネルギッシュな歌声が特徴的なナンバーに仕上がっている。今回音楽ナタリーでは、インディーズでの約1年間の活動を経て「dpsらしさを確立した」という4人にインタビューを実施。バンド結成のいきさつや個々のこれまでの音楽経歴などもくわしく語ってもらった。
メジャーデビューの夢をつかんだきっかけ
──シングル「タイムライン」でいよいよメジャーデビューです。皆さん、現在はどんな心境ですか?
木村涼介(Vo) 個人的には高校生のときからメジャーデビューに憧れていたので、夢が1つ叶った気持ちです。バンドとしてはまだまだスタート地点に立ったばかりなので、これからがんばっていきたいです。
川村篤史(Dr, Cho) 「名探偵コナン」のオープニングテーマという大きなタイアップを付けていただいてのメジャーデビューなので、半年ほど前にこのお話をいただいてから「いいものを作ろう!」と4人で一丸となって取り組むことができました。そこからはバンドとしての足並みがよりそろったと言うか。曲を作るペースが早くなったし、「タイムライン」以外にもすでに5、6曲デモができて、みんなで盛り上がっています。
安井剛志(B, Cho) 僕はdpsを結成する前からずっとバンドをやってきた中で、今回初めてメジャーデビューという経験をするんです。「インディーズとメジャーってどんな違いがあるのかな?」っていうところも含めて楽しみにしています。
森丘直樹(G, Cho) これまでのdpsはライブ会場限定とか関西限定とか、限られた場所でCDを販売してきたけど、こうしてメジャーデビューすることでよりたくさんの人に知っていただける機会が増えるので、気を引き締めてがんばっていかないとなと思っています。
──まずはそれぞれの音楽経歴を教えてもらえますか?
川村篤史(Dr, Cho)
川村 僕は家にエレキドラムがあったので小学校のときにドラムを始めたんですけど、中学生でバンドを組んでミクスチャーロックを聴くようになってからはトラックメイクもやるようになって。以降はいろいろなバンドをやりながら、ドラマー、作曲家として活動してきました。一度は作曲家メインで裏方として活動していたんですが、こうしてドラマーとしてまたステージに立てることがうれしいです。一番影響を受けたアーティストはBLANKEY JET CITYで、小学生のときから聴いていました。
森丘 僕は父親が昔のロック好きで、車でKissとかLed Zeppelinが流れているような環境で育ちました。小4くらいになると自分からKissのCDを親に借りて聴き始めたり、お小遣いを握りしめて中古CD屋でDeep Purpleを買ったりするようになって。小6のときにギターに挑戦したんですけど、Fのコードも押さえられないし、全然うまくならなくて一度止めてしまったんです。でも中学生になってメタルを聴くようになってからもう一度ギターを始めて、それまでやっていたサッカー部の練習にも行かずに家でギターを弾き続ける生活でした。中学卒業のタイミングでYouTubeにギターを弾く動画の投稿を始めたんですけど、それが1万回再生くらいいくようになって。外国の方からコメントが届いたりしたこともうれしくて、「ギタリストとしてやっていきたいな」という気持ちが芽生えました。高校卒業後は音楽の専門学校に行って、dpsに入るまではギタリストとしてソロ活動をしていました。
木村 僕は小学生の頃から音楽番組を観たり歌うことが好きで、漢字練習の宿題をやりながらファンモン(FUNKY MONKEY BABYS)を歌ったりしていました。中学生になるとEXILEファンの友達に影響を受けて、R&Bとかソウル系の曲も聴くようになって。高校生になるとボーカルレッスンに通い始めて、いくつかボーカルオーディションも受けていました。それで高3の夏頃、今通っている大学のオープンキャンパスで開催されていたボーカルコンテストで賞をいただいて、今の事務所と育成契約する形になりました。事務所のスタジオで今のメンバーに出会ったので、dpsが初めてのバンド活動なんです。もともとあまりロックを聴かなくて、久保田利伸さんとか清水翔太さんのようなソロシンガーに憧れたこともあったんですけど、今は事務所の先輩であるB'zの稲葉浩志さんに憧れています。
──オープンキャンパスをきっかけに夢をつかんだというのがすごいですね。そしてベースの安井さんはもともとギタリストだったということですが。
安井 そうです。僕は高校生のときにギターを弾き始めたんですけど、初心者向けのスタンダードなものと間違えてハードロックやヘヴィメタルの教則本を買ってしまって(笑)。でも、そこからメタルが好きになって、ひたすら速弾きの練習をしていました。その頃から「将来は音楽をやっていきたい」と思っていて、演奏以外のことも学びたくて音楽専門学校のローディコースに入ったんです。それで学校に通いつつライブハウスのステージマンのバイトをしていて、そこのオーナーが今の事務所のオーディションに誘ってくれたのをきっかけにメンバーと出会って。ギタリストとしてほかのバンドのサポートや編曲などをやっていたんですけど、なぜか「ベースも弾け」と言われることが多くなってきて今に至ります(笑)。
──安井さんのベースプレイもすごくカッコいいですが、ギターへの執着とかは?
安井 今はどっちでもいいです(笑)。学生時代の友達にはベースを弾いてると「全然見慣れない」って言われたりとか、そもそも信じてくれなかったりするんですけど。
川村 昔から知ってるバンド仲間とかに「ほんまにベースやってるん?」って言われてる光景をよく目にします(笑)。
MetallicaのTシャツは着てたけど……
──バイオグラフィを拝見すると、最初は木村さんと森丘さんがスタジオで出会い、徐々にこの4人が集まってdpsが結成されたということなんですが。森丘さんから見た木村さんはどんな印象でした?
森丘 「今度リハを見させてください」って声をかけてくれたのが最初でしたね。当時彼はまだ高校3年生ですごく幼く見えたんですけど、MetallicaのTシャツを着てたんですよ。僕はメタルが大好きなので、もちろん食い付くじゃないですか(笑)。
木村 実は僕、Metallicaの存在自体はもちろん知ってはいたんですけど、当時はあんまり曲も聴かずに……バンドTが流行ってたので着てたところもあって。なので実際にバンド活動を始めてからは、恥ずかしいのであんまり知らないバンドのTシャツは着なくなりました(笑)。
──森丘さんがギターを弾いてる姿を見てどうでしたか?
木村涼介(Vo)
木村 ただただ「すごいな!」と思いました。僕も今でこそ簡単なコードぐらいは弾けるようになりましたけど、当時はほんとに右も左もわからない状態で。それで、ダメ元で「何か一緒にできたりしないですか?」って声をかけたら「じゃあ一緒に合わせてみる?」と言ってくれて。そのタイミングで、今のメンバーにも声をかけてくれたんです。
川村 まだバンドを組むとか何も決まってない状態で、4人でスタジオに集まって一度合わせてみるという日があって。
木村 2人(安井と川村)とは初対面だったので緊張しました。安井さんは特に怖かったです(笑)。当時はヒゲも生えてて真っ黒な服着てて。今はもちろん打ち解けましたけど。
安井 あはははは(笑)。
川村 そのときは涼介がまだ18歳とかでしょ。なかなか高校生と喋る機会もないので、こっちも緊張しました。でも彼の成長がすごく早くて、最初は綺麗な声しか出せなかったんですけど今はロックな歌い方もできるようになって。その成長がすごく面白いですし、最初に会ったときにみんなが彼の伸びしろを感じたから「バンドとしてやっていこう」と思えたんだと思います。
森丘 最初に集まったのが2016年の1月くらいで、バンド名もなくただ練習していた時期を経て、その年の春にはdpsとして最初のライブをして。そこから少しずつ方向性を探りながらやってきました。
インスパイアを受けたのはフォークソング
──「タイムライン」は作詞を安井さん、作曲を川村さん、編曲を森丘さんが担っていますが、この布陣はわりと多いんですか?
安井 ほかの組み合わせでもできますけど、この流れだと曲が作りやすいというのはありますね。
森丘 けっこうスムーズに進みますよ。
木村 僕、見ててびっくりしますもん。「曲ってこんなに早くできるんだ?」って。
川村 それぞれ得意分野を生かした役割分担っていうのは確かにありますね。僕は歌詞は書けないですし、アレンジはしたくないんですけど、楽曲のうちのワンコーラスだけだったら量産できるので。アレンジは直樹任せです(笑)。
──アレンジを任せてもらうことで、森丘さんはdpsの楽曲の聴きどころの1つでもあるギターソロも入れ放題ですね(笑)。
森丘直樹(G, Cho)
森丘 そうなんです(笑)。カップリングの「さよなら愛しい日々よ」なんかは好き放題にやらせてもらった感じですね。「タイムライン」も速弾きを入れようと思えば入れられる曲だと思うんですけど、こっちは結果的にはそうはしていなくて。ずっとアレンジをやっていく中で、流れ的に「ここで弾いても邪魔かな」っていう適量がわかってきた感じがします。アレンジをするとき、今は「いかにdpsらしくするか」を一番に考えています。
──安井さんは、以前から歌詞は書かれていたんですか?
安井 いや、dpsを結成する前は一度も書いたことがなくて。でも書いてみたら意外と楽しくて、じゃあ本格的にやってみようと。そしたら今のような制作スタイルになりました。テーマは曲ごとに違うんですけど、いつも頭の中で映画を作るようなイメージで作詞しています。
──「タイムライン」の制作はスムーズでしたか?
森丘 アレンジは苦戦しましたね。
川村 デモがフォークソングみたいだったんですよ。と言うのも、プロデューサーの薦めで吉田拓郎さんをすごく聴いていた時期があって、「自分もこういう曲を作りたいな」と思ってたんです。
──「タイムライン」の早口な歌メロって、フォークソングからインスパイアされてるんですね。
川村 そうなんです。アコギで弾くとより雰囲気が出るかもしれないですね。でも全然違うイメージに直樹がアレンジしてくれたんです。
森丘 最初は歌とアコギだけのデモだったので、バンドサウンドをどう入れていくか、どうdpsらしくするかは難しかったですね。dpsの楽曲はリフが大事だと思ったのでまずはリフを作ろうと思ったんですけど、2、3日いいのが全く思い浮かばなくて。疲れたのでもう全部忘れてリラックスしよう、と思ったときに浮かんだのがこのリフでした。スリルとか緊張感をテーマにアレンジしています。
──アニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマという部分はどう意識しましたか?
安井剛志(B, Cho)
安井 歌詞は最初に書いていたものから、アニメに寄せる形でけっこう修正していきました。もともとはもっとメッセージ性の強い尖った感じの内容だったんですけど、より多くの人に聴いてもらいやすいものになったと思います。
──「声が枯れるまで僕は歌う」という歌詞もありますが、バンドとしてのメジャーデビューにあたっての宣誓のようにも感じさせますね。
安井 そうですね。「さよなら愛しい日々よ」にも「空の向こうへ 届くような歌声を」という歌詞がありますけど。僕は「僕はこうする」と言い切る歌詞が好きなんです。なので、どちらの曲にも主人公の背中を押すようなメッセージを入れています。
木村 「歌う」とか「歌声」という言葉が入ってると、ボーカリストとしての僕自身の気持ちも乗せやすいですね。
刺激を受けたマーティ・フリードマンとのコラボ
──カップリング曲「さよなら愛しい日々よ」の制作はいかがでしたか?
森丘 この曲はデモのときから疾走感があってカッコよくて。初めて聴いたときに、これだったら今まで僕が弾いてきたスタイルを思い切り出せるんじゃないかと思って。「タイムライン」はリフを思いつくのに2、3日かかったんですけど、この曲は半日くらいで全部アレンジができました。ここで思い切りいかなかったらメタル好きは語れないなと(笑)。
──なるほど(笑)。イントロから森丘さんのギターリフが炸裂してますもんね。
木村 僕もアレンジが出来上がって最初に聴いたときからハイテンションだったんですけど、歌ったらさらにテンションが上がって(笑)。なのでレコーディングも勢いのままに録れた感じがします。
──ちなみにYouTubeでは森丘さんとマーティ・フリードマンさんが一緒に「名探偵コナン」のテーマをプレイしている動画もアップされましたが、これはどういった経緯で?
森丘 「タイムライン」は「名探偵コナン」のオープニングということで、この曲をより多くの人に届けるために、僕たちもコナンにちなんだ何かができないかな?といろいろと考えてたんですけど。そんな中で、SNSに僕が楽器店で試奏した時にちょっとだけ弾いたコナンのテーマを投稿してみたら意外と反響があって。そこから「テクニカルなギターアレンジでコナンのテーマを弾いて、その動画を公開するのはどうだろう」とアイデアを出したら、誰かとコラボするのが面白いんじゃないかという話になって。そこで名前が挙がったのがマーティさんだったんです。その後スタッフから「マーティさん正式に決まりました!」って言われたときは全然現実とは思えなくて「そうですか」くらいの反応をしてしまって。僕が中学1年生から聴いていた方なので……人間ってびっくりしたら言葉が出ないんだなと思いました(笑)。最初は自分がアレンジしたものをマーティさんに聴いてもらったんですけど、「もっとコナンだって一発でわかるほうがいいんじゃない?」と言われて、2人で7時間くらいかけてアレンジをし直して。マーティさんはすごくストイックな方で、1つでも気になることがあったらとことん突き詰めていくんです。その姿勢はすごく大事だなと思って、刺激を受けました。今後、マーティさんとのコラボで得たものをdpsで生かしていけたらと思っています。
──これから4人の中でいろいろな組み合わせで曲作りをされるでしょうし、その中でどんな楽曲が生まれてくるのか楽しみです。
川村 今度は先にリフから作って、そこにメロディを乗せるやり方で曲を作ってみようかと話をしているんです。ツェッペリンとかが昔やっていたようなやり方で。
──では最後に、今後の目標を聞かせてください。
木村 僕らはインディーズでの活動期間が1年くらいあったんですけど、この1年間でdpsらしさを確立できた自覚があるので、そのスタイルは崩さずにこれからも前に進んでいけたらと思っています。
川村 涼介が最近、ステージ上で吹っ切れたようなパフォーマンスをする瞬間があって。バンドとしてのライブでの成長を感じられて楽しいですし、その成長を皆さんにも見ていただけたらと思います。
森丘 dpsは歌を届けるのはもちろんなんですけど、楽器をやっている人たちにもいい影響を与えられるバンドでありたいなと思っています。昔の海外のギターヒーローに憧れますし、僕らもそんなふうに誰かの目標にされるような存在になりたいです。
安井 そして、フェスでたくさんのお客さんが目の前にいるという光景を経験してみたいです!
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dps(ディーピーエス)
森丘直樹(G, Cho)、安井剛志(B, Cho)、川村篤史(Dr, Cho)、木村涼介(Vo)からなる4人組ロックバンド。森丘、安井、川村が参加していたプロジェクト「d-project」から派生し、フロントマンの木村を加えて“d-project+special”を意味するdpsとして2016年にバンド活動をスタートさせた。2018年11月17日にシングル「タイムライン」でGIZA studioよりメジャーデビュー。表題曲は読売テレビ・日本テレビ系全国ネットアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマに選ばれた。
関西発の4人組ロックバンド・dpsが11月7日にシングル「タイムライン」でメジャーデビューする。
ソロギタリストとして活動していた森丘直樹(G, Cho)、ギタリストとしてバンド経験のある安井剛志(B, Cho)、そしてバンド活動のみならず作曲家としても活動していた川村篤史(Dr, Cho)の3人は、2016年5月に発表されたZARDのトリビュートアルバム「d-project with ZARD」のレコーディングにも参加したメンバー。そこに、ボーカルコンテストをきっかけに音楽の道を歩み出した現役大学生の木村涼介(Vo)が加わり結成されたのがdpsだ。
デビュー曲「タイムライン」は読売テレビ・日本テレビ系全国ネットアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとしてオンエア中の楽曲。経験とスキルのある3人が奏でるハードかつポップなバンドサウンドと、未知の可能性を秘めた木村のフレッシュな存在感とエネルギッシュな歌声が特徴的なナンバーに仕上がっている。今回音楽ナタリーでは、インディーズでの約1年間の活動を経て「dpsらしさを確立した」という4人にインタビューを実施。バンド結成のいきさつや個々のこれまでの音楽経歴などもくわしく語ってもらった。
メジャーデビューの夢をつかんだきっかけ
──シングル「タイムライン」でいよいよメジャーデビューです。皆さん、現在はどんな心境ですか?
木村涼介(Vo) 個人的には高校生のときからメジャーデビューに憧れていたので、夢が1つ叶った気持ちです。バンドとしてはまだまだスタート地点に立ったばかりなので、これからがんばっていきたいです。
川村篤史(Dr, Cho) 「名探偵コナン」のオープニングテーマという大きなタイアップを付けていただいてのメジャーデビューなので、半年ほど前にこのお話をいただいてから「いいものを作ろう!」と4人で一丸となって取り組むことができました。そこからはバンドとしての足並みがよりそろったと言うか。曲を作るペースが早くなったし、「タイムライン」以外にもすでに5、6曲デモができて、みんなで盛り上がっています。
安井剛志(B, Cho) 僕はdpsを結成する前からずっとバンドをやってきた中で、今回初めてメジャーデビューという経験をするんです。「インディーズとメジャーってどんな違いがあるのかな?」っていうところも含めて楽しみにしています。
森丘直樹(G, Cho) これまでのdpsはライブ会場限定とか関西限定とか、限られた場所でCDを販売してきたけど、こうしてメジャーデビューすることでよりたくさんの人に知っていただける機会が増えるので、気を引き締めてがんばっていかないとなと思っています。
──まずはそれぞれの音楽経歴を教えてもらえますか?
川村篤史(Dr, Cho)
川村 僕は家にエレキドラムがあったので小学校のときにドラムを始めたんですけど、中学生でバンドを組んでミクスチャーロックを聴くようになってからはトラックメイクもやるようになって。以降はいろいろなバンドをやりながら、ドラマー、作曲家として活動してきました。一度は作曲家メインで裏方として活動していたんですが、こうしてドラマーとしてまたステージに立てることがうれしいです。一番影響を受けたアーティストはBLANKEY JET CITYで、小学生のときから聴いていました。
森丘 僕は父親が昔のロック好きで、車でKissとかLed Zeppelinが流れているような環境で育ちました。小4くらいになると自分からKissのCDを親に借りて聴き始めたり、お小遣いを握りしめて中古CD屋でDeep Purpleを買ったりするようになって。小6のときにギターに挑戦したんですけど、Fのコードも押さえられないし、全然うまくならなくて一度止めてしまったんです。でも中学生になってメタルを聴くようになってからもう一度ギターを始めて、それまでやっていたサッカー部の練習にも行かずに家でギターを弾き続ける生活でした。中学卒業のタイミングでYouTubeにギターを弾く動画の投稿を始めたんですけど、それが1万回再生くらいいくようになって。外国の方からコメントが届いたりしたこともうれしくて、「ギタリストとしてやっていきたいな」という気持ちが芽生えました。高校卒業後は音楽の専門学校に行って、dpsに入るまではギタリストとしてソロ活動をしていました。
木村 僕は小学生の頃から音楽番組を観たり歌うことが好きで、漢字練習の宿題をやりながらファンモン(FUNKY MONKEY BABYS)を歌ったりしていました。中学生になるとEXILEファンの友達に影響を受けて、R&Bとかソウル系の曲も聴くようになって。高校生になるとボーカルレッスンに通い始めて、いくつかボーカルオーディションも受けていました。それで高3の夏頃、今通っている大学のオープンキャンパスで開催されていたボーカルコンテストで賞をいただいて、今の事務所と育成契約する形になりました。事務所のスタジオで今のメンバーに出会ったので、dpsが初めてのバンド活動なんです。もともとあまりロックを聴かなくて、久保田利伸さんとか清水翔太さんのようなソロシンガーに憧れたこともあったんですけど、今は事務所の先輩であるB'zの稲葉浩志さんに憧れています。
──オープンキャンパスをきっかけに夢をつかんだというのがすごいですね。そしてベースの安井さんはもともとギタリストだったということですが。
安井 そうです。僕は高校生のときにギターを弾き始めたんですけど、初心者向けのスタンダードなものと間違えてハードロックやヘヴィメタルの教則本を買ってしまって(笑)。でも、そこからメタルが好きになって、ひたすら速弾きの練習をしていました。その頃から「将来は音楽をやっていきたい」と思っていて、演奏以外のことも学びたくて音楽専門学校のローディコースに入ったんです。それで学校に通いつつライブハウスのステージマンのバイトをしていて、そこのオーナーが今の事務所のオーディションに誘ってくれたのをきっかけにメンバーと出会って。ギタリストとしてほかのバンドのサポートや編曲などをやっていたんですけど、なぜか「ベースも弾け」と言われることが多くなってきて今に至ります(笑)。
──安井さんのベースプレイもすごくカッコいいですが、ギターへの執着とかは?
安井 今はどっちでもいいです(笑)。学生時代の友達にはベースを弾いてると「全然見慣れない」って言われたりとか、そもそも信じてくれなかったりするんですけど。
川村 昔から知ってるバンド仲間とかに「ほんまにベースやってるん?」って言われてる光景をよく目にします(笑)。
MetallicaのTシャツは着てたけど……
──バイオグラフィを拝見すると、最初は木村さんと森丘さんがスタジオで出会い、徐々にこの4人が集まってdpsが結成されたということなんですが。森丘さんから見た木村さんはどんな印象でした?
森丘 「今度リハを見させてください」って声をかけてくれたのが最初でしたね。当時彼はまだ高校3年生ですごく幼く見えたんですけど、MetallicaのTシャツを着てたんですよ。僕はメタルが大好きなので、もちろん食い付くじゃないですか(笑)。
木村 実は僕、Metallicaの存在自体はもちろん知ってはいたんですけど、当時はあんまり曲も聴かずに……バンドTが流行ってたので着てたところもあって。なので実際にバンド活動を始めてからは、恥ずかしいのであんまり知らないバンドのTシャツは着なくなりました(笑)。
──森丘さんがギターを弾いてる姿を見てどうでしたか?
木村涼介(Vo)
木村 ただただ「すごいな!」と思いました。僕も今でこそ簡単なコードぐらいは弾けるようになりましたけど、当時はほんとに右も左もわからない状態で。それで、ダメ元で「何か一緒にできたりしないですか?」って声をかけたら「じゃあ一緒に合わせてみる?」と言ってくれて。そのタイミングで、今のメンバーにも声をかけてくれたんです。
川村 まだバンドを組むとか何も決まってない状態で、4人でスタジオに集まって一度合わせてみるという日があって。
木村 2人(安井と川村)とは初対面だったので緊張しました。安井さんは特に怖かったです(笑)。当時はヒゲも生えてて真っ黒な服着てて。今はもちろん打ち解けましたけど。
安井 あはははは(笑)。
川村 そのときは涼介がまだ18歳とかでしょ。なかなか高校生と喋る機会もないので、こっちも緊張しました。でも彼の成長がすごく早くて、最初は綺麗な声しか出せなかったんですけど今はロックな歌い方もできるようになって。その成長がすごく面白いですし、最初に会ったときにみんなが彼の伸びしろを感じたから「バンドとしてやっていこう」と思えたんだと思います。
森丘 最初に集まったのが2016年の1月くらいで、バンド名もなくただ練習していた時期を経て、その年の春にはdpsとして最初のライブをして。そこから少しずつ方向性を探りながらやってきました。
インスパイアを受けたのはフォークソング
──「タイムライン」は作詞を安井さん、作曲を川村さん、編曲を森丘さんが担っていますが、この布陣はわりと多いんですか?
安井 ほかの組み合わせでもできますけど、この流れだと曲が作りやすいというのはありますね。
森丘 けっこうスムーズに進みますよ。
木村 僕、見ててびっくりしますもん。「曲ってこんなに早くできるんだ?」って。
川村 それぞれ得意分野を生かした役割分担っていうのは確かにありますね。僕は歌詞は書けないですし、アレンジはしたくないんですけど、楽曲のうちのワンコーラスだけだったら量産できるので。アレンジは直樹任せです(笑)。
──アレンジを任せてもらうことで、森丘さんはdpsの楽曲の聴きどころの1つでもあるギターソロも入れ放題ですね(笑)。
森丘直樹(G, Cho)
森丘 そうなんです(笑)。カップリングの「さよなら愛しい日々よ」なんかは好き放題にやらせてもらった感じですね。「タイムライン」も速弾きを入れようと思えば入れられる曲だと思うんですけど、こっちは結果的にはそうはしていなくて。ずっとアレンジをやっていく中で、流れ的に「ここで弾いても邪魔かな」っていう適量がわかってきた感じがします。アレンジをするとき、今は「いかにdpsらしくするか」を一番に考えています。
──安井さんは、以前から歌詞は書かれていたんですか?
安井 いや、dpsを結成する前は一度も書いたことがなくて。でも書いてみたら意外と楽しくて、じゃあ本格的にやってみようと。そしたら今のような制作スタイルになりました。テーマは曲ごとに違うんですけど、いつも頭の中で映画を作るようなイメージで作詞しています。
──「タイムライン」の制作はスムーズでしたか?
森丘 アレンジは苦戦しましたね。
川村 デモがフォークソングみたいだったんですよ。と言うのも、プロデューサーの薦めで吉田拓郎さんをすごく聴いていた時期があって、「自分もこういう曲を作りたいな」と思ってたんです。
──「タイムライン」の早口な歌メロって、フォークソングからインスパイアされてるんですね。
川村 そうなんです。アコギで弾くとより雰囲気が出るかもしれないですね。でも全然違うイメージに直樹がアレンジしてくれたんです。
森丘 最初は歌とアコギだけのデモだったので、バンドサウンドをどう入れていくか、どうdpsらしくするかは難しかったですね。dpsの楽曲はリフが大事だと思ったのでまずはリフを作ろうと思ったんですけど、2、3日いいのが全く思い浮かばなくて。疲れたのでもう全部忘れてリラックスしよう、と思ったときに浮かんだのがこのリフでした。スリルとか緊張感をテーマにアレンジしています。
──アニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマという部分はどう意識しましたか?
安井剛志(B, Cho)
安井 歌詞は最初に書いていたものから、アニメに寄せる形でけっこう修正していきました。もともとはもっとメッセージ性の強い尖った感じの内容だったんですけど、より多くの人に聴いてもらいやすいものになったと思います。
──「声が枯れるまで僕は歌う」という歌詞もありますが、バンドとしてのメジャーデビューにあたっての宣誓のようにも感じさせますね。
安井 そうですね。「さよなら愛しい日々よ」にも「空の向こうへ 届くような歌声を」という歌詞がありますけど。僕は「僕はこうする」と言い切る歌詞が好きなんです。なので、どちらの曲にも主人公の背中を押すようなメッセージを入れています。
木村 「歌う」とか「歌声」という言葉が入ってると、ボーカリストとしての僕自身の気持ちも乗せやすいですね。
刺激を受けたマーティ・フリードマンとのコラボ
──カップリング曲「さよなら愛しい日々よ」の制作はいかがでしたか?
森丘 この曲はデモのときから疾走感があってカッコよくて。初めて聴いたときに、これだったら今まで僕が弾いてきたスタイルを思い切り出せるんじゃないかと思って。「タイムライン」はリフを思いつくのに2、3日かかったんですけど、この曲は半日くらいで全部アレンジができました。ここで思い切りいかなかったらメタル好きは語れないなと(笑)。
──なるほど(笑)。イントロから森丘さんのギターリフが炸裂してますもんね。
木村 僕もアレンジが出来上がって最初に聴いたときからハイテンションだったんですけど、歌ったらさらにテンションが上がって(笑)。なのでレコーディングも勢いのままに録れた感じがします。
──ちなみにYouTubeでは森丘さんとマーティ・フリードマンさんが一緒に「名探偵コナン」のテーマをプレイしている動画もアップされましたが、これはどういった経緯で?
森丘 「タイムライン」は「名探偵コナン」のオープニングということで、この曲をより多くの人に届けるために、僕たちもコナンにちなんだ何かができないかな?といろいろと考えてたんですけど。そんな中で、SNSに僕が楽器店で試奏した時にちょっとだけ弾いたコナンのテーマを投稿してみたら意外と反響があって。そこから「テクニカルなギターアレンジでコナンのテーマを弾いて、その動画を公開するのはどうだろう」とアイデアを出したら、誰かとコラボするのが面白いんじゃないかという話になって。そこで名前が挙がったのがマーティさんだったんです。その後スタッフから「マーティさん正式に決まりました!」って言われたときは全然現実とは思えなくて「そうですか」くらいの反応をしてしまって。僕が中学1年生から聴いていた方なので……人間ってびっくりしたら言葉が出ないんだなと思いました(笑)。最初は自分がアレンジしたものをマーティさんに聴いてもらったんですけど、「もっとコナンだって一発でわかるほうがいいんじゃない?」と言われて、2人で7時間くらいかけてアレンジをし直して。マーティさんはすごくストイックな方で、1つでも気になることがあったらとことん突き詰めていくんです。その姿勢はすごく大事だなと思って、刺激を受けました。今後、マーティさんとのコラボで得たものをdpsで生かしていけたらと思っています。
──これから4人の中でいろいろな組み合わせで曲作りをされるでしょうし、その中でどんな楽曲が生まれてくるのか楽しみです。
川村 今度は先にリフから作って、そこにメロディを乗せるやり方で曲を作ってみようかと話をしているんです。ツェッペリンとかが昔やっていたようなやり方で。
──では最後に、今後の目標を聞かせてください。
木村 僕らはインディーズでの活動期間が1年くらいあったんですけど、この1年間でdpsらしさを確立できた自覚があるので、そのスタイルは崩さずにこれからも前に進んでいけたらと思っています。
川村 涼介が最近、ステージ上で吹っ切れたようなパフォーマンスをする瞬間があって。バンドとしてのライブでの成長を感じられて楽しいですし、その成長を皆さんにも見ていただけたらと思います。
森丘 dpsは歌を届けるのはもちろんなんですけど、楽器をやっている人たちにもいい影響を与えられるバンドでありたいなと思っています。昔の海外のギターヒーローに憧れますし、僕らもそんなふうに誰かの目標にされるような存在になりたいです。
安井 そして、フェスでたくさんのお客さんが目の前にいるという光景を経験してみたいです!
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dps(ディーピーエス)
森丘直樹(G, Cho)、安井剛志(B, Cho)、川村篤史(Dr, Cho)、木村涼介(Vo)からなる4人組ロックバンド。森丘、安井、川村が参加していたプロジェクト「d-project」から派生し、フロントマンの木村を加えて“d-project+special”を意味するdpsとして2016年にバンド活動をスタートさせた。2018年11月17日にシングル「タイムライン」でGIZA studioよりメジャーデビュー。表題曲は読売テレビ・日本テレビ系全国ネットアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマに選ばれた。
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